愛媛県民が自慢したいもの
愛媛といえば何を連想するでしょうか? 柑橘類? 道後温泉? 絶景の下灘駅? どれも愛媛を代表する名物ですが、じつはもう1つ、全国1位のものがあるのです。
それはマダイ。
生産量は日本一。全国7万トンのうち、4万トンが愛媛。県の魚にもなっています。空港の壁画にもマダイ。
マダイを使った料理もたくさんあります。なかでも評判なのが「鯛めし」。鯛めしには2種類あって、炊き込みご飯の松山ふうと、刺身をのせる宇和島ふう。どちらも人気の郷土料理で、名店もたくさんあります。でも、どうせなら両方食べたいですよね? あるんです。今回はその2つが一度に食べられるお店を紹介しましょう。
愛媛名物は天然ものを超えるマダイ
訪れたのは松山市にある郷土料理 五志喜(ごしき)本店。創業は寛永12年(1635年)というから、なんと今年で創業383年の老舗です。
鯛めしはもちろん、新鮮な瀬戸内の魚介類、伊予和牛や媛ポークなどのお肉、伝統の五色そうめんまで、愛媛の郷土料理と地酒がたっぷり楽しめるお店です。
さっそく注文したのは松山(北条)鯛めし1人前(1,000円)と、宇和島鯛めし(1,000円)。
炊き込みの松山ふうは1人前で食べやすいサイズになっているのがうれしいところ。土鍋に1匹丸ごとドーンと入っている大鯛めしは5~6人のグループにおすすめです。
炊き込みご飯の上に、錦糸卵と水菜、そしてマダイ。マダイは契約している養殖場から仕入れています。愛情を込めて育てられ、一番おいしい時期に出荷されるため年間を通して味と品質が安定しているのが特徴。いまや、天然ものを超えるマダイとして愛媛が誇る名物になったのです。
茶碗に取り分け、きざみ海苔をぱらりとかければ熱々の湯気で海苔がダンス。一口食べれば、鯛のうま味が凝縮された出汁の味が広がります。
ほっくほくの鯛はご飯と別に炊いています。白身でクセがなくあっさりしている魚ですが、皮もおいしく、かみ締めると上品な味と香りが口の中でふくらみます。
ご飯がなくなりしだい終了なので、予約しておくとよいでしょう。
宇和島ふうは、もとは漁師のファストフード。刺身をタレに漬けて、ご飯の上にのせかき込むのが流儀です。
このタレが絶品で、しょうゆをベースに鯛の煮汁を加えた濃厚な味。新鮮なマダイの食感と非常に合います。以前、ご飯のおかわりがあったときは、タレだけで3杯はおかわりする猛者がいたそうです(笑)。
※現在、おかわりはありません
お好みで、山芋、わさび、薬味、きざみ海苔を加えて……
新鮮なマダイのぷりぷりした身に濃厚なタレが絡み、最高の食感です。
あっという間に完食。ごちそうさまでした。
自宅で作る「お手軽鯛めし」は1度に3種類も楽しめる
ところで、マダイは全国のスーパーや鮮魚店で売っていますね。そこで、鯛めしを自宅で手軽に作ってみましょう。作り方は簡単。まずはマダイの切り身とお刺身を買ってきます。切り身はちょうど半額になっているのがありました。みなさんも、安くなっているマダイがあれば、即買いしてください。
それに鯛めしの素。
炊飯器に切り身、鯛めしの素、お米を入れて炊きます。それだけ。
炊きあがるまで時間がかかるので、お刺身の下準備をしましょう。
しょうゆ1:だししょうゆ1の割合でタレを作ります。
あまり長時間漬け込みと味が濃くなりすぎるので、注意してください。
40分ほどで炊き上がりました。
この松山ふう鯛めしと刺身。別々に食べてもおいしいのですが、合わせ技で刺身をのせてしまいます。
それに、ゴマを一振り。薬味とワサビを少々。
これだけでも松山ふうと宇和島ふうの2種類が楽しめる豪華な鯛めしなのですが、さらに追加を。
連日の猛暑であっさりしたのが食べたいときは、よく冷えたお茶をかけます。
すると、鯛茶漬けに変身。さらさらと食べることができて、暑い日は最高にうまいです。どうです? 1度に3種類の味が楽しめるお手軽鯛めし。ぜひ試してみてください。
愛媛のマダイはとんでもない
ちなみに、愛媛はマダイ釣りも盛んです。先日、知り合いの釣り名人に「マダイが釣れたら鯛めしにするからください」と伝えておきました。
そして、「釣れたよ~」の連絡とともに来たのが……これ!
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78センチの大鯛です。
大きすぎて土鍋に入らないので、切り身にしてこんがり焼き上げました。
いやー、愛媛に住んでてよかった。
あっさりしているマダイもこんがりジューシーに仕上がりました。
いろんな料理に使えるマダイ。愛媛が誇るお魚です。
お店情報
郷土料理 五志喜 本店
住所:愛媛県松山市三番町3-5-4
電話番号:089-933-3838
営業時間:11:00~15:00(LO 14:30)、17:00~23:00(LO 22:30)
定休日:不定休
書いた人:星☆ヒロシ
夫婦で食べ歩きが趣味。夫は食べる専門で、妻は呑む専門。若いころは海外へも足を運んだが、最近は日本の良さを再認識し、旅をしながらその土地ならではのおいしいものを食べ歩く。