米軍の先制攻撃の権限拡大、新たなサイバー戦略を策定
(CNN) 米国防総省は23日までに、外国政府が関与するサイバー攻撃への米軍の対応をより積極的にし、先制攻撃に踏み切る権限の拡大なども盛り込んだ新たなサイバー戦略を策定した。
マティス国防長官が承認し、署名した。同省は新たな戦略を「前方防衛」と形容。選挙制度や電力網を防衛するためサイバー攻撃の出所での活動を中断、停止させる権限を軍に与えるとした。また、先制攻撃でより決定的な打撃力を持つ戦力を構築する考えも示した。
「前方防衛」の概念は2015年に公表された前回のサイバー戦略には含まれていなかった。
外国政府が背後にいるサイバー攻撃は、第三国を攻撃する前、別の国にコンピューターネットワークを構築するのが通常の手口となっている。ロシアが米国を攻撃するためにドイツ内のコンピューターを用いるといった形となる。
今回のサイバー戦略の策定を受け、米軍は友好国に設けられたネットワークに対してさえ自らの判断で攻撃が仕掛けられるより広い権限を握ることになった。これまでは米情報機関「国家安全保障局(NSA)」が西欧の1国でロシアがコンピューターネットワークを築いていることを察知しても、何らかの行動に出る前はホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の判断を待つ仕組みとなっていた。
ただ、新たなサイバー戦略に基づく米国によるサイバー攻撃は公共的なインフラ基盤などを標的にしていない。平和時にこれら施設に損壊を与える行為は国連合意で禁止されていることに配慮している。