▼はじめにご挨拶
夫婦ともども、クラウドファンディングに初めて挑戦する青島と申します。三重県鈴鹿市の庄内地区に住んでいます。私たちは以前から地元三重県に残る里山での暮らしにあこがれていました。偶然、この地域で森と畑に囲まれた中古の一軒家に出会い、住み始めるようになったのが12年前のことです。
(国土地理院・航空写真データベースより)
今回、挑戦することになったのは、今から約3年前に起こった【前代未聞の出来事】に直面したことがきっかけです。私たち住人への事前説明が一切ないまま突然、自宅周辺の森や畑が伐採され、自宅が数千枚の太陽光パネルに包囲されたのです。もはや、里山の暮らしとは言えない状況に陥ってしまいました。
▼プロジェクトをやろうと思った理由
まさか先進国といわれる現代日本でこんなことが行われるなんて思ってもみませんでした。太陽光パネルに包囲されてすぐ、所有者の方や行政は当然のこと、弁護士さんにも交渉しましたが「このような開発でも法的に問題ない」と取り合ってもらえませんでした。最初の夏、太陽光パネルの照り返しで我が家の室温上昇がひどく、これを相手方に伝えてしばらくすると、我が家に近いパネルだけが取り外されました。私たちの要望を受け止めてくださったと思いきや、「自分たちの都合で外しただけ」とのこと。以降、何度か相手方と交渉を試みましたが、交渉に応じる素振りが全く感じられず、やむなく泣き寝入りしました。心が打ちのめされ、3年の月日が経過。その間、私たちの心は、まるで春が来ても冬眠から目覚めないカエルのようでした。でも、その3年間の長い冬眠から目覚める時が来ました。そのきっかけは『ちいさいおうち』という絵本との出会いです。ようやく気がつきました。カエルはいつまでも冬眠し続けるわけではない。そうだ、私たちもカエルのように冬眠から目を覚まそう!「中の人」だからこそ出来ることがあるはずだと考えるようになりました。
▼このプロジェクトで実現したいこと
そこで思いついたのが、かつての美しい里山と、そこに住む人々の暮らしを自分なりに【絵本】の形で描き残すことです。
岩波書店から出ている『ちいさいおうち』という絵本や童心社から出版されている『はらっぱ』という絵本をご存知でしょうか。それらの絵本のように、自分たちの周辺の移り変わりを定点で見つめる。私たちのこの家なら、それができるはず。特に『ちいさいおうち』は私たちの心の拠り所となりました。主人公である【ちいさいおうち】の視点で、周りの変化が描かれます。周りがどんどん都市化し、いつの間にかビルの谷間に埋もれてしまい、薄汚れてしまった【ちいさいおうち】。でも物語のラストシーンで【ちいさいおうち】は奇跡的に救出されます。
絵本を作るという発想は、初めのうちは単なるインスピレーションでした。でも、このプロジェクトを準備するにあたり、友人・知人からいろんな質問を受けるようになり、どういう説明をしたら分かってもらえるだろう…と自分の本心を探りながら回答するうち、「やはりオリジナル絵本を作るしかない」と思えるようになりました。
Q1.こんな境遇なら、絵本を作ること以外にやるべきことはあるんじゃない?
A1.自宅周辺がこういう事態になった原因の関係者、市・県・国などの議員さん、行政担当者、弁護士さんにも善処を求めて3年にわたって交渉してきましたが、「法的には問題がない」として、まともに取り合っていただけませんでした。やるべきことはこの3年間ですべてやってきたつもりです。
Q2.空撮画像や衛星画像を見るとたしかにかなりショッキング・・・これだけショッキングなのにどうして新聞やテレビが報道しないの?
A2.大手新聞社や全国ネットのテレビ局さんをはじめ、いくつかのマスメディアの取材の方がお見えになり、インタビュー取材を受けてきました。でも何故か報道されないんです。おそらく法的に問題ないからだと思います。地元鈴鹿市でも知らない人がほとんどです。
Q3.絵本のようなファンタジーっぽいものじゃなく、写真集とか事実をありのままに伝えるもので表現したほうがいいんじゃない?
A3.写真集だと「ここの画像」ばかりになるため、「ここだけの問題」だと受け取られてしまいます。それに問題は太陽光パネルに包囲されたことだけでなく、ゴルフ場や産廃処分場など、住人への説明なしに行われる開発のすべてを対象にしています。私たちのような状況に陥った方は、じつは全国各地にいらっしゃいます。絵本なら「ここだけの問題」でなく、「普遍的な問題」として表現できると考えました。また、絵本だと「事実の描写」も出来ますが、「創作」も出来ます。現状はつらい状況ですが、絵本の結末はほんの少しでいいから将来に希望が残るような形にしたいのです。これは個人的な希望にすぎませんが、とても強い希望です。『ちいさいおうち』(岩波書店)がまさしくそうです。『ちいさいおうち』の原書は1942年に米国で出版されました。そのあと多くの国で出版され、超ロングセラーになっています。その理由のひとつは、絵を見ただけで何割か理解してもらえる「分かりやすさ」にあると思います。言葉をあまり多く知らない子どもが読んだり聞いたりしても、絵の展開を追うだけでどういう流れでこうなったかを知ることができます。子どものときに読んだ絵本を大人になってから子どもに読み聞かせることがあります。親だけでなく幼稚園・保育園・学校の先生などもそうです。おばあちゃん、おじいちゃんになっても同じ作品を孫に読んで聞かせるケースがあるのは絵本だけです。国境も時代も飛び越えるのは絵本ならではだと思います。それほど多くの人に里山の大切さを知っていただきたいのです。
(絵本の読み聞かせの会で耳をすます子どどもたち)
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私たちも我が家の気持ちになって、かつての里山の豊かさやそこで朗らかに生きる人々の姿を【絵本】に描き、地元だけでなく全国の子どもたちに伝えたい。そうすればあの『ちいさいおうち』のように、いつか奇跡が起こるかもしれないという期待もあります。失ってから気づく里山の美しさや豊かさを謳った絵本を各地に広める、そうすることで、日本中の子どもたちが里山を失う前に里山の大切さに気づいてくれるようになる、いう奇跡です。
じつのところ、私たちにはこの家を買ったときのローンが20年分以上も残っており、現在、転居費用もなければ、絵本を作る費用も持ち合わせていません。思い悩んでいたとき、知人からクラウドファンディングという仕組みがあることを教えてもらいました。特にこのCAMPFIREさんは、自費出版から商用出版の企画まで幅広く取り上げていらっしゃいます。CAMPFIREさんを通じて私たちの望みに賛同し支援していただけるかたが多く現れれば、絵本を作る望みは実現します。ぜひ挑戦してみよう!カエルのように思い切ってジャンプしてみよう!と思いました。
参考URL
絵本『ちいさいおうち』岩波書店
https://www.iwanami.co.jp/book/b254677.html
絵本『はらっぱ』童心社
https://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494012343
▼これまでの活動
正直申しますと私たち夫婦はどちらも絵を描くのが得意ではありません。したがって、ほかの誰か上手な方、できればプロの作家さんに描いてもらって絵本を完成させることを計画しています。出来上がった絵本を私たちが中心となって一生懸命販売することで、作家さんにギャランティをお支払いしようと考えました。そこでまず、知人を通して、プロのとある作家さんにイメージボードなる絵を描いてもらいました。このページのイラストやリターン品に描いてある絵はその作家さんが今回のプロジェクトのために書き下ろしてくださった作品です。カエルのイラストは私たちを模したものだそうです(笑)。また、知人の中には、地域の学校や幼稚園で絵本の読み聞かせのボランティア活動をしている人がいます。そういう方々にも今回のオリジナル絵本を広める活動をお手伝いいただけるようお願いしてまいりました。私たちには子どもがおりませんが、この絵本を見た子どもたちが里山の大切さを少しでも感じてくれたら他に何も要りません。
●イメージボード1
●イメージボード2
▼資金の使い道
ご支援いただいた資金はオリジナル絵本の出版と、一部はリターン品のひとつであるオリジナル手ぬぐいの製造・発送にあてます。絵本の出版にかかる費用は、作家さんへのギャランティ、印刷・製本代、発送代等と考えています。もし運よくどこかの出版社さんがこの絵本の出版にご協力いただけることになれば、発行部数を増やすことができます。でも、そうならない場合でも自費出版の形ででも必ず作ります。そして、まず地元三重県下の小学校・幼稚園・図書館・児童館からこの絵本を納め、徐々に全国に広めていきたいと考えています。
オリジナル絵本の物語構成は、まだ推敲の余地ありですが、だいたいこんな感じを考えています。【序盤】と【中盤】は事実に基づいて描きますが、【終盤】は創作です。支援者の方々からアドバイスがあれば、それも参考にしようと考えています。
【序盤】
四季折々の、里山の森や田畑、そこに生きる人々、とりわけ自然の中で楽しそうに遊ぶ子どもたちの姿を数ページにわたって描きます。広い視野の見開き画面のあちこちにいろんな発見があるようにします。鹿やサル、カエルやトンボ、ホタルなどがたくさん生息していたことも分かります。ただ、森の一部の木が倒され、空いた土地に地元の人々の手によって1軒の家が徐々に建ち上がっていく様も同時に描きます。家が完成すると家のうちそとで子どもたちが楽しそうに遊んでいる…そんな姿も描きます。
【中盤】
20年ほど経ったある日、突然、その家の周りの森や畑が広範囲に伐採されはじめます。土がむき出しになった広い土地にはしばらくするとゴルフ場ができ、隣の場所には太陽光パネルが並び始めます。子どもたちだけでなく、動物たちの姿も見えなくなりました。家の北側の森も大規模に伐採され、ゴミ捨て場のようになります。1軒だけ置き去りにされた家の表情はどこか寂し気です。画面には暗い雰囲気が漂います。
【終盤】
さらに20年が経過。太陽光パネルは外されましたが土地は荒れ、種をまいても何故か芽が出ません。いろんな植物で試しても同じ。一方、北側のゴミ捨て場のような土地もゴミでいっぱいになり放置されました。こちらも同じく、どんな植物の種をまいても芽が出ません。土地がやせてしまったせいかもしれません。取り残されたあの1軒の家はボロボロになり、とうとう崩れおちてしまいます。家の朽ちた材木が腐って土になります。ある日、その土の上に小さな光が現れます。よく見ると発芽したばかりの植物の芽です。それが陽光に照らされ輝いていたのです。山からさわやかな風が吹くと、その新芽がわずかに揺れます。頼りなさそうに見えても、明るい未来を感じさせるシーンで絵本は終わります。
▼リターンについて
●オリジナル絵本(画像は試作品。タイトル・表紙絵ともに未定)
このプロジェクトのゴールであるオリジナル絵本が完成したらすぐにリターン品とします。その際の冊数はご支援金額によって異なります。自費出版会社で仮に1,000部製作した場合の見積もりを出してもらいました。素材や仕上がり、工程によって差があるものの、1冊あたり1,600円~2,000円になるとのことでした。
●オリジナル手ぬぐい(画像は試作品。デザインは未定)
支援者全員にもれなく、オリジナル手ぬぐいをリターンさせていただきます。
●地元三重県の有名な企業「モクモク手づくりファーム」の畜産加工物
三重県には山も海もあって、美味しい食べ物の種類が豊富です。農産物と畜産物が超有名な企業があります。伊賀の里モクモク手づくりファームさんです。その商品の中から今回のリターンのため特別に、ウインナーやハム、サラミなど贈答品で通用する畜産加工物の詰め合わせセットをご用意。必ず気に入っていただけると思います。
伊賀の里モクモク手づくりファーム http://www.moku-moku.com/
(このリターンの発送は、伊賀の里モクモク手づくりファームさんから直接行います)
●出張説明会
我が家の3年間の経験をお話しさせていただきます。50,000円のご支援で全国どこへでも出かけます(宿泊交通費込み。離島・僻地は多少別途加算いただきます)。日程は、当方と連絡を取り合ってご調整いただくことになります。聴講者10名以上としていますが、10名未満でも対応できる場合があります。講演時間は30分から2時間以内を目途に。1日1回でお願いします。
▼応援メッセージ
太陽光パネルの問題でお世話になった次の方々から応援メッセージをいただきました。一人でも多くの方に応援いただけると、冬眠から目覚めた甲斐があります。
■加藤和彦様(工学博士。PVRessQ!)
太陽光発電技術は、自然の恵みを人類が謙虚に享受し、その営みに用いるための技術であり、それを実践し実現することで、人類は自然との調和が促進される。このことを言い換えるなら、太陽光発電技術は「人類と自然が調和して暮らしていく」という目的を果たすための手段の一つにしかすぎない。したがって、「太陽光発電技術」という手段を、私たちが「私たちの目的」を果たすように使えない不徳な人間なのであれば、その手段は利用されてはならない。「太陽光発電技術」が、「特定の人間の苦痛と不利益」の上に「特定の人間の快楽と利益を獲得せしめるもの」であるならば、それは「偽善の技術」であり、すでに「公害」である。太陽光発電技術は「合法であればよい」というものではない。「徳」ある者のみにのみがその本来の価値を使う権利を有するのである。「徳ある者による太陽光発電技術」の普及にのみ、「人類と自然の調和」の未来がある。
■鈎 裕之様(電気主任技術者。公益社団法人東京電気管理技術者協会)
太陽光発電設備が発する電磁性ノイズの調査のため、現地入りしました。日の出頃から日没頃までの間、ラジオの音声が聞き取れなくなるほどの強いノイズを観測しました。素人の方でもAMラジオを現地に持っていくと強い電波障害が発生していることが分かるでしょう。でも問題は電波障害だけでないことが現地をひと回りしてみたら分かりました。いや、そもそも太陽光発電設備の施工だけでなく、「人と人」「人と自然」との「共生」とはいかにあるべきか、大きな命題をガツンと突きつけられました。こんな状況でも住み続けざるをえないお二人には大変申し訳ないですが、私の力では何もしてあげられません。現在の法令では違反はないのですから…。『ちいさいおうち』という絵本を読みましたが、このお宅の状況はまさに現代版『ちいさいおうち』だと思います。この環境ならではのオリジナル絵本が出来上がることを楽しみにしています。
▼最後に
「電気」は現代人の生活や産業に欠かせないと私たちは考えていますので、発電のための開発を頭から否定しているわけではありません。ゴミの処理問題も偉そうなことを言えません。私たちも毎日ゴミを出しているからです。また、私たちの住む家も地に生えていた木々を伐採したうえで建てられたものです。自然に対する人間の傲慢さ。時おり感じる申し訳なさ。そして自然を畏怖する心・・・そういうものは多少なりとも自覚しています。そのような自覚もこのプロジェクトを計画する際に再認識することができました。もしこの家に自分たち以外の人が住んでいたとしても、このような突然の大規模伐採は行われていたでしょう。このタイミングに、ここに住んでいたのが「たまたま私たちだった」のです。
とはいえ、この家に出会って住むようになり、そして、家の周りが激変する…なんてことを経験したのは私たちにとって運命的だったような気がします。ここまで長々としたこの記事を読んでくださった皆様の中に、もしこの記事を読んだことに対して「運命」のようなものを感じた方がいらっしゃったら、ぜひ今回のプロジェクトにご支援いただければ幸いです。
動画BGM https://www.youtube.com/watch?v=qiTRC_cAbLY&feature=youtu.be