tsuru_na_01_01今回は、ニッカの蒸留所限定ウイスキー、鶴を飲んでみます。

鶴は、1976年に一般販売された後、2006年に17年物としてリニューアルしましたが、原酒の枯渇が原因となって2015年で販売終了してしまいました。

しかし2016年、余市と宮城峡蒸溜所限定で、ノンエイジとしてリニューアル販売されました。

ただし、以前には発売されていた磁器製のボトルは、今回はラインナップされておらず、ガラスのボトルのみとなります。

ボトル自体は、鶴17年と同じデザインで、キャップのトップには「竹に鶴」の竹鶴家の家紋が薄くモールドされています。

しかしラベルは大きく変えられていて、「鶴」の文字は金色に、鶴のイラストも、裏面から表面に描かれています。
揮毫自体は、2台目マスターブレンダーである竹鶴威氏のものが引き続き使用されています。
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それではストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は濃い目のアンバー、香りはアルコールの揮発の奥からビネガーのような酸っぱさを感じます。

口に含むと、アルコールの刺激の後にパイン、ライム、レーズン、バナナ、バニラ、ピートと続きます。
味わいは、刺激ほどのアルコールの辛さは少なく、酸味、ビターが先に訪れ、後から甘さが加わります。
17年物と比べるとマイルドで飲みやすくはなっていて、レーズンの香りも抑えられています。

ロックにすると、アルコールの刺激はかなり抑えられ、レーズンが先に訪れてきます。その後ゴム、バナナ、カスタードクリーム、カカオと続きます。
味わいはビターを軽く感じた後は、ドライフルーツのような甘さがしっかりと広がります。
17年物と比べると、ライムなどの柑橘系の酸味はかなり抑えられ、甘い香りが支配しています。

最後にハイボールにすると、ほのかにバナナの香りが鼻をくすぐりますが、その後は余市由来のピートが現れてきます。
味わいはビターが比較的前に出てきて、甘さは比較的抑えられている印象です。

17年ものでは、どちらかといえば余市モルトの個性が前に出た印象でしたが、このノンエイジでは宮城峡の甘く繊細なモルトがメインになった印象です。
そのせいか、17年物でのストレートでの飲みにくさは解消され、オールマイティな仕上がりになっています。
ノンエイジだからと言って、若々しさ、とげとげしさは少なく、むしろまろやかで万人受けにシフトしたといえるでしょう。

700mL、アルコール度数43度、価格は14,000円。
簡単に手に入る価格ではないですが、限定ものであることを考えても十分買う価値はあります。
一部通販でも手に入りますが、値段は倍近いので、蒸留所への旅費とにらめっこして検討しましょう。

<個人的評価>

  • 香り A: パイン、ライム、レーズン、バナナ、バニラ、カカオと多彩。加水でピートが目立つ。
  • 味わい AA : 酸味の奥から甘さが引き立つ。ストレートでも辛さは感じにくい。
  • 総評 AA: 値段に躊躇うも、お土産品として十分な価値あり。