macOS 10.14 Mojaveへアップグレードする前の注意点をまとめました。詳細は以下から。
AppleはiPhone XSなどが発表された先のスペシャルイベントで現地時間2018年09月24日、日本時間09月25日に正式に次期Mac用OS「macOS 10.14 Mojave」をリリースすると発表しましたが、macOS 10.14 MojaveではOS X 10.11 El CapitanのRootless、macOS 10.12 SierraのGatekeeper、macOS 10.13 High SierraのSKELに続き、
“User Consent“や“Enhanced Runtime”といった新しいセキュリティ機能が採用されると共に、システム要件や新しい仕様が加わるため注意すべき点をいくつかまとめてみました。また、現在macOS 10.13 High SierraではなくOS X 10.11 El CapitanやmacOS 10.12 Sierraユーザーの方はmacOS 10.14 Mojaveの注意点を確認する前に以下の注意点を確認することをお勧めします。
システム要件
AppleはmacOS 10.14 Mojaveの発表にあたり、アップグレードできるMacのシステム要件をHigh Sierraから変更しました。後にMojaveへアップグレードできるMacは全てAppleのグラフィックスAPI「Metal」をサポートしている事が条件であるということが確認され、Appleは同時にiOS 12/Mojaev以降OpenGLおよびOpenCLを非推奨とすると発表していますが、macOS 10.14 MojaveへアップグレードしてもOpenGL/CLを利用したアプリが利用できなくなるということはありません。
macOSのシステム要件の変更はmacOS 10.12 Sierra以来で、MojaveへアップグレードできるMacは各モデルごとに以下の通りで、現在macOS 10.13 High Sierraを利用できているMacでも2010~2011年製のMacがMojaveへアップグレードすることができなくなります。
OS X 10.11 El Capitan |
macOS 10.12 Sierra macOS 10.13 High Sierra |
macOS 10.14 Mojave |
|
---|---|---|---|
MacBook | Late 2008アルミニウム製 またはEarly 2009以降 |
Late 2009以降 | Mid 2015以降 |
MacBook Air | Late 2008以降 | Mid 2010以降 | Mid 2012以降 |
MacBook Pro | Mid/Late 2007以降 | Late 2010以降 | |
Mac mini | Early 2009以降 | Mid 2010以降 | Late 2012以降 |
iMac | Mid 2007以降 | Late 2009以降 | |
iMac Pro | – | macOS 10.13.2以降 | 2017以降 |
Mac Pro | Early 2008以降 | Mid 2010以降 | Metalと互換性のあるGPUを 積んだMid 2010/Mid 2012 |
新しいセキュリティ機能
AppleはmacOS 10.14 Mojaveで新しいセキュリティ機能「User Consent」を導入します、これはサードパーティおよびApple製のアプリも含め全てのアプリが「ユーザーの同意なしにカメラやマイク、メールやメッセージ、Safari、Time Machineデータなどへのアクセスを禁じる」機能で、Mojaveでは以下のデータのアクセスにユーザーの同意が必要となります。
macOS 10.13 High Sierra | macOS 10.14 Mojave | |
---|---|---|
保護対象 |
|
|
これはWWDC 2018の基調講演でも触れられていましたが、多くの開発者がこの「User Consent」がユーザーにとって最も厄介な存在になるのではないかとコメントしており、その理由の1つとしてAppleのApple Event(AE) Sandboxのポップアップが分かりづらく、アプリによってはユーザーエクスペリエンスを非常に損なうとしてBeta段階から改善を求めてきましたが、Beta 11でも変更がなかったのでMojaveへアップグレードされる方はポップアップのしっかり確認してください。
APFS
Appleは2017年09月にリリースしたHigh Sierraで新しいファイルシステム「APFS」を導入しましたが、Mojaveではサポートが見送られていたHDDとFusion DriveもHFS+からAPFSへ自動的にアップデートされます。
High Sierraでは数々の不具合[1, 2, 3, 4, 5]を生んだAPFSですが、AppleはMojaveのインストーラーからストレージを現在のHFS+のままにしておけるオプション“converttoapfs“を廃止しているためオプトアウトはできないようなので、
/Applications/Install\ macOS\ Mojave\ Beta.app/Contents/Resources/startosinstall -v
startosinstall: option requires an argument -- v
Usage: startosinstall --volume
Arguments
--license, prints the user license agreement only.
--agreetolicense, agree to the license you printed with --license.
--rebootdelay, how long to delay the reboot at the end of preparing. This delay is in seconds and has a maximum of 300 (5 minutes).
--pidtosignal, Specify a PID to which to send SIGUSR1 upon completion of the prepare phase. To bypass "rebootdelay" send SIGUSR1 back to startosinstall.
--installpackage, the path of a package (built with productbuild(1)) to install after the OS installation is complete; this option can be specified multiple times.
--eraseinstall, (Requires APFS) Erase all volumes and install to a new one. Optionally specify the name of the new volume with --newvolumename.
--newvolumename, the name of the volume to be created with --eraseinstall.
--preservecontainer, preserves other volumes in your APFS container when using --eraseinstall.
--usage, prints this message.
--volume, path to the target volume.
Example: startosinstall --volume /Volumes/Target
HDDやFusion Driveを搭載したMacを利用している方は「使用しているアプリがAPFSで不具合が発生していないか?」や「社内や自身の環境で利用しているMacとシステムが互換性があるか?(*1)」などを確認してからアップグレードすることをお勧めします。
ファームウェアアップデート
また、macOS 10.14 Mojaveのアップグレードでは一部のMacにファームウェア・アップデートおよびApple T1/2用のBridgeOSアップグレードが適用されます。このアップデートはHDD/Fusion DriveでのAPFS対応や新しいMetal対応GPUとの互換性、
そして一部のMacBook Pro (2018)で問題になっているスピーカーからクラッキング音が出る不具合やBridgeOSがmacOSを巻き込んでパニックを起こす現象の修正を行うもので必要なアップデートですが、特にApple T2を搭載したiMac ProやMacBook Pro (2018)ではファームウェア・アップデートに失敗すると、もう1台のMacを用意してDFUモードからの復帰が必要となるので、Mojaveへのアップグレードは時間と電源が取れる安全な場所を選んで下さい。
サードパーティ製アプリ
Adobe
Adobe系のアプリについてはBeta版の段階でInDesignやInCopyが起動時にクラッシュするという不具合が報告され、Adobeがパッチを公開している他、現在OS X 10.11 El CapitanでAdobeのCS6製品を利用されている方は、AdobeはmacOS 10.12 Sierra以降でCS6をサポートしていない点や、Adobeが次期メジャーアップデートでシステム要件を変更する点にも注意してください。
セキュリティ
セキュリティ系のアプリについてもESETやTrend Microなどが、リリース後の最終確認がされるまではアップデートを待つようにコメントしており、ESETの国内販売をしているキヤノンITSはMojaveがリリースされる2018年9月25日中に対応を発表するそうです。
- Free Norton Update for macOS Mojave – Norton
- macOS Mojave support – Trend Micro
Wacom
Wacomは日本時間2018年09月21日にサポートドキュメントを公開し、同社のタブレットデバイスがタブレットドライバV6.3.31-3でmacOS 10.14 Mojaveに対応するものの、上でもコメントしたとおり「User Consent」の制限により、新たに以下の2つのセキュリティ設定許可を行う必要があるとしています。
その他サードパーティ製アプリ
その他、サードパーティ製アプリやDAW、プリンター&スキャナのドライバーも毎年macOSのリリース後に検証が行われるため、仕事などで利用しているアプリや周辺機器がある方はメーカーの対応を待ったほうがいいと思います。
アップグレードの前にバックアップ
以上、macOS 10.14 Mojaveへアップグレードする前の注意点をまとめましたが、Mojaveでは背景と調和するダークモードやiOSライクなスクリーンショット機能、Finderのギャラリー表示など様々な機能が追加されるので、ユーザーの方はバックアップを作成してアップグレードするか、デュアルブートでMojaveを試してみてください。