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小川榮太郎と倫理研究所のただならぬ関係

創誠天志塾に大きな動きがあったのと、幾つか新たに判ったことがあるので記録。文芸評論家の小川榮太郎といえば最近では「放送法遵守を求める視聴者の会」での活動が注目されがちで、創誠天志塾についてはあまり知られていないので簡単に説明してから本題に入る。

創誠天志塾というのは小川榮太郎が主催する私塾で、青年真志塾を前身に持つ。青年真志塾は日本経済人懇話会を母体として2010年7月に設立され、塾長は生長の家監事や生長の家栄える会名誉会長の肩書きを持つ神谷光徳。神谷は母体となった日本経済人懇話会でも会長を務めている。小川は以前、この青年真志塾で幹事長を任されていた。

日本経済人懇話会は「立志の経済人集団」を育成することが目的とのことだが政治色が濃く、月例会の講師一覧には安倍晋三・稲田朋美・平沼赳夫・中山恭子などのタカ派議員から、八木秀次・石平・ペマギャルポ・阿比留瑠比といった保守派知識人やジャーナリストが並ぶ。ここは、宗教法人生長の家と宗教法人生長の家本部練成道場が会員企業になっているのも特徴。

青年真志塾も下村博文や衛藤晟一、田母神俊雄らを講師に招いて月例会を開く保守・タカ派的な体質で、安倍晋三も2011年12月の特別イベントで目玉講師として登壇している。このときのイベントは統一協会(現:家庭連合)系シンクタンクの世界戦略総合研究所や、幸福の科学との関係が窺われるインテリジェンス・アカデミーが共催し、宗教右翼と呼ばれる新興宗教が協調する様子も垣間見せた。(青年真志塾について

青年真志塾は2012年2月に、塾の解散および創誠天志塾の創立をウェブサイトで告げている。新たに創立された創誠天志塾の塾長には、青年真志塾の幹事長だった小川榮太郎が就任。天志塾もまた保守的な性格で、「僕は、 安倍晋三を総理にする!」をテーマに勉強会を開くなど安倍晋三を熱心に応援。こちらも、前述の統一教会系シンクタンクの関係者や汝矣島純福音教会の信者と思しき塾生が通うなど、いくつかの宗教団体との関係を覗かせた。(創誠天志塾について

一度は解散したかに見えた青年真志塾も、神谷を塾長として活動を続けている。真志塾から天志塾へ移った塾生もいることから、結果的には真志塾が分裂したような格好になる。以上が小川榮太郎が主催する創誠天志塾をめぐる大まかな経緯になる。

そして、今年2月に天志塾が一旦幕を下ろし、月例勉強会は「一般社団法人 日本平和学研究所」なる団体が主催する月例講座へ引き継がれる旨の発表が天志塾のフェイスブックでなされた。

この日本平和学研究所は、公式サイトで確認すると所在地が「東京都千代田区三崎町3-1-16 神田アメレックスビル9階」になっているのだが、ここは創誠天志塾が月例会を開いていたのと同じ場所。少し異なるのは天志塾は同ビルの6Fを使用していた点。

そこで、神田アメレックスビルの住所をGoogleマップで検索してみた。すると、隣(東京都千代田区三崎町3-1-11)に倫理研究所があることに気づいた。ストリートビューでは、左奥に見える神田アメレックスビルと隣接するビルの壁面に倫理研究所のマークが描かれているのも確認できる(画像クリックで拡大)。なお、登記簿からはアメレックスビルを倫理研究所が所有していることも判明している模様

東京都倫理法人会の広報誌『グッドモーニング』(2016年2月号)からは、アメレックスビルで頻繁に法人会の会議が開かれていることがわかる。そして、倫理研究所理事長の丸山敏秋は日本平和学研究所の監事に就いている

左下の写真は日本平和学研究所が今月(2016年5月)開いた月例講座の様子で、日の丸の隣には倫理研究所の旗が掛けられ、小川榮太郎の後ろの演台にも倫理研究所のマークが彫られている。右下の写真で中央左に座っているのは、日本会議の代表委員も務める倫理研究所の丸山敏秋理事長(これは日本平和学研究所とは別の場所)。

これも、日本平和学研究所が開いた月例講座で小川が講義する様子。左上には「・・・倫理の推進」と書かれた掛け字があるが、ここには倫理研究所の丸山竹秋が提唱した「地球倫理の推進」という標語が書かれていると思われる。

こちらは2013年に東京ドームホテルで撮られた写真。向かって左が丸山敏秋で、右は小川。左奥には長谷川三千子もいる。長谷川も日本平和学研究所の理事を務めており、青年真志塾や創誠天志塾の月例会では講師をしている。

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