2018年、若い「保守派」の論客による問題発言が、何度か批判されました。
2018年2月には、雑誌「正論」などで売り出し中の国際政治学者である三浦瑠麗が、フジテレビ系の番組「ワイドナショー」で、北朝鮮のテロリストが日本や韓国に潜んでいると発言して、それが一般の在日コリアンなどへの差別を煽るとして非難されました。
そして2018年7月、雑誌「新潮45」8月号が、自民党の杉田水脈議員による論考「『LGBT』支援の度が過ぎる」を掲載。それが性的少数者への差別を煽るとしてこれもネット上を中心に批判が起き、当初は静観していた自民党も杉田に対して注意を行いました。
しかし、同誌2018年10月号が開き直りともとれる特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」という特集を組み、特にその中でも小川榮太郎による論考が、痴漢の正当化としか思えない記述もあるとしてさらに強い批判を浴び、新潮社の出版社としての姿勢そのものが問われる事態となりました。
さらに新潮社の文芸編集部のツイッターアカウントは、2018年9月19日から多くの「新潮45」批判をリツイートし、さらに最上段に固定されるツイートに、新潮社の創業者である佐藤義亮の言葉「良心に背く出版は、殺されてもせぬ事」を設定するという「内部闘争」も起こっています。
三浦も小川も、雑誌「正論」が若手保守論客に対して贈る論壇賞である「正論新風賞」の受賞者であることから、元々イメージがよくなかったこの賞自体についてもさらに露骨に忌避する動きが見られ始めました。
このように、「保守系」の論客が次々と差別的な、または差別を煽るような言説を開陳し、批判されても周囲の論客によって擁護されることが起こるようになっています。
このような傾向は、近年になって顕著に現れています。
それは、それこそ「保守論壇」によって生み出された政治家の多い安倍晋三政権や現在の自民党が、森友学園・加計学園問題、公文書をめぐる諸問題によって信頼が揺らいでいる状況とパラレルになっているように見えます。
そしてそれは、現在の「保守論壇」を支える論理の限界が露呈していることの現れといえるのです。