消費期限を数日過ぎちゃった牛乳を、あまり気にせずにごくごく飲んでしまうなんていうのは、意外と誰もが経験あるはず。そこで気になるのは、この日付って本当に意味あるの? ということです。
「消費期限が混乱を招くのにはわけがある」と言うのは、ラトガース大学食品科学学部ドン・シャフナー教授です。
「まず消費期限と賞味期限があるのですが、それらが一体どのような意味を持つのか、必ずしも多くの標準化があるわけではありません」
そもそも消費期限とは?
「消費期限は、汚染の危険性よりも製品の質を基準にしていることも多く、法律によって設定されることがあるとはいえ、その法律が常に適切な科学的エビデンスに基づいているかといえば、そうでもなかったりします」とシャフナー教授。
たとえば、シャフナー教授が住むニュージャージー州で生産された牛乳は、州内で販売されるものはすべて同じ消費期限になりますが、同じ牛乳が隣のニューヨーク州で販売される際には消費期限が異なるという事態も起きるのです。
そうはいっても、食品科学者が消費期限に気をつけたほうがよいと考える飲料があります。消費期限を過ぎると危険な飲み物は次の通りです。
1. 生の飲料品すべて
大腸菌は、低温殺菌されていない飲み物にみられる、もっとも一般的な病原菌です。しかし危険なのは大腸菌だけではありません。
「低温殺菌されていない牛乳は、たとえ冷蔵庫に入れていてもリステリア菌の温床となります」と言うのはウィスコンシン・マディソン大学食品研究機関副所長の、キャスリーン・グラスさんです。低温
殺菌とは、牛乳(およびその他の飲料)を細菌が耐えられない温度で熱することで殺菌処理を行う方法です。国際乳製品協会によれば、従来は巨大なタンクに入れた牛乳をおよそ63℃で30分間ほど熱していました。
最近もっとも一般的になっている技術は高温短時間殺菌法で、これは72℃で15秒ほど加熱してから急激に冷やすことで細菌を殺し、安全に飲めるようにするという方法です。
ただ興味深いことに、未殺菌のアップルサイダー(時間の経過とともに発酵するタイプ)に関しては、消費期限を過ぎるとさらに安全になるケースもあるようです。
「アップルサイダーが大腸菌で汚染されていても、常温保存されていたほうが早く菌が死ぬことがありますが、これはサイダーがアルコールに変化することで殺菌されるからです」とシャフナー教授は説明しています。
2. 100%野菜ジュース
フルーツジュースは、リンゴ、ブドウ、オレンジ、トマトという原材料からもわかるように、どちらかといえば酸性の飲み物で、酸は食品が媒介する菌を防御する、とグラスさん。酸が細菌の生存を阻害するためです。
その一方でも、フルーツジュースがブレンドされていない生の野菜ジュースは消費期限を過ぎると汚染されやすく、安全に飲めなくなります。
3. 冷殺菌飲料
冷殺菌とは、熱を使わずに食品中の細菌を殺すこと。
冷殺菌にはいくつかの方法がありますが、冷圧殺菌(HPP)がフレッシュジュースにもっともよく用いられています。
これは殺菌して賞味期限を伸ばすために、すでに瓶詰めにした飲料に高い圧力をかけるという手法ですが、熱を使った殺菌にとって代わるものではありません。
「冷殺菌はそれほど効果的ではありません」とグラスさん。「冷殺菌のジュースの賞味期限は、フルーツが含まれていないものは特に、熱で殺菌処理されたものにくらべて短くなります」
4. 適切に保存されていない飲料
食料品店で買った商品は、常温保存のものに比べて冷蔵コーナーに置いてあるもののほうが早く悪くなるというのは常識。正しい温度で保存することが重要です。
グラスさんは食料品店に行くと、食品の安全を教育する立場としての目で冷蔵庫の温度計をいつもチェックしてしまうそう。
「ちょっとおかしいなと思ったら、マネージャーを探して知らせたり、質問したりします」とグラスさん。
自宅の冷蔵庫でさえも問題になることがあるので注意して。
「私は常に冷蔵庫が3〜4℃の間になっているよう確認しています。それ以上になると細菌は簡単に繁殖してしまうのです」
Rebecca Straus/4 Beverages You Should Never Drink Past the Expiration Dat
マイロハスより転載(2018.8.6公開記事)
訳: Maya A. Kishida
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