松雪:漫画家を挫折して、離婚もありましたけど、どんなことも人生経験だと思います。振り返ると失敗続きに見えますが、どれも自分の肥やしになっているはず。私なんかは、「どんどん経験していけばいいよ」と思ってしまいますね。離婚についても、そういう流れだったんだろうなぁと受け入れるだけでした。
滝藤:ふつう離婚すると思って結婚しませんからね。個人的な気持ちとしては、娘と孫が旦那抜きで帰ってきたのは嬉しかったです(笑)。もちろん、涼ちゃん(森山涼次・間宮祥太朗)のことは許していないだろうけど。あの離婚には、同棲(どうせい)しても売れるまで結婚を先延ばしする“俳優あるある”に近いものを感じたなぁ(笑)。でも、僕の価値観でいえば、仕事は二の次。家族がいちばんですよ。
鈴愛の顔つきが高校時代と全然違って見えます(松雪)
鈴愛は18歳で漫画家を目指して上京し、37歳で子どもと一緒に岐阜に戻って、再び上京していきました。そんな鈴愛の人生を「ピンボールみたい」と言う、放送ではカットされてしまった晴のセリフがありましたが、お二人はどんな印象を受けますか?
松雪:うん、家族がいちばん。だからこそ、楡野家も事情をあれこれ聞く前に、戻ってきた鈴愛を受け入れていましたよね。もちろん、ビックリしたし、心配もしたけど。鈴愛の気持ちを察しつつ、家族が大きな愛で包んでいるのを感じました。
滝藤:見守っている、常に味方である、という感じですよね。まぁ、鈴愛ももうアラフォーですし。
アラフォーの鈴愛と芝居をしてみての印象はいかがですか?
滝藤:まず、ちゃんと年齢を重ねて見えましたよね。ヘアメイクで大きく変わることに驚きました。永野さんも、たたずまいを意識しているんでしょうね。
松雪:疑似体験ではあるけど、東京に出て得た経験値がにじみ出ていますよねぇ。私たちとしても、会わない時間を含めて1年近くを彼女と過ごす中で、時の流れをそのまま感じているところがあって。鈴愛の顔つきは、高校時代を演じていた時と全然違って見えます。
滝藤:性格は小さいころから変わらないけど、成長が感じられますよね。いちばんは、子どもを持って責任感が出たことかなぁ。
楡野家は本当にいいチームになったなぁ(滝藤)
鈴愛には花野(カンちゃん・山崎莉里那)、草太(上村海成)には大地(田中レイ)が生まれて、晴と宇太郎はおじいちゃんとおばあちゃんになりました。
松雪:家族がどんどん増えていくのって、いいですよねぇ。カンちゃんと大ちゃんはかわいくてしょうがないです。
滝藤:孫に対しては無責任でいられるからいいですよね。「晴さん、鈴愛をあんま怒らんといて」と言っていた仙吉さんの気持ちが分かります(笑)。撮影の合間もついつい甘やかしちゃう。松雪さんの膝の上が二人の定位置になっていますよね。
松雪:私自身も子育てをする母親ですけど、子どもはそれを感じ取るんでしょうか。そんなに遊んであげるタイプでもないのに、気づいたら膝の上にいます。それでも特に気にとめないから、たぶん、動物の親子みたいになってる(笑)。
滝藤:ハハハ! ドラマの中でも、晴さんは孫たちに人気ですよねぇ。宇太郎は、二人を公園に連れて行こうとして忘れられたりしていますけど(笑)。
松雪:カンちゃんがお見舞いで来たときに、“千匹ガニ”を持って、アドリブでカニの動きをされたときも……。
滝藤:宇太郎だけが「カニカニ!」って踊って、一人で笑っていました(笑)。そういえば、最近は草太もアドリブするようになりましたよね。楡野家は、本当にいいチームになったなぁ……。(仙吉役の中村)雅俊さんが抜けてしばらく、ちゃぶ台の前のスカスカ感が気になりましたが、みんなで楽しいシーンを作っています。
宇太郎は晴さんのいちばんの味方でいるんです(滝藤)
晴と宇太郎のシーンでも、アドリブをすることが多いそうですね。
松雪:最近では、つくし食堂の営業中に、ウーちゃん(宇太郎)が晴さんからお盆を受け取って「ありがと晴さん」と言ったのがアドリブでした。私もニコッと笑い返しています。シーン終わりのなんでもない瞬間ですが、二人で勝手にラブラブな雰囲気にしました(笑)。
滝藤:「勝手にラブラブ」は多いです(笑)。晴さんと宇太郎は、いつまでも恋人みたいなところがすてきですね。
松雪:最近も、新婚さんみたいなシーンがありましたよね(笑)。晴さんが「昔は私も美人やったでな」って言ったら……。
滝藤:宇太郎は、両手を重ねて真剣な表情で「いまでも美人やろ」って。そして、二人で結婚写真みたいなポーズ(笑)。テストの段階で、「僕たち最高ですね」って話しちゃいました。
松雪:「お互い今日もキテますね」って。私たちのコンビネーションは、いつもすばらしいです(笑)。
晴と宇太郎の夫婦円満の秘けつはなんだと感じますか?
滝藤:やっぱり、奥さんをいちばんに考えているところかなぁ。
松雪:楽しいときも悲しいときも、どんなときでもウーちゃんは笑顔で横にいてくれるので、晴さんは甘えられるのかな。宇太郎さんの器に守ってもらっています。
滝藤:そうなんです! これ、(記事に)書いてください(笑)。僕の好感度も上がるかな……?
松雪:完全に上がってるでしょう~。
滝藤:本当ですか!(笑) もちろん、鈴愛と草太の味方でもあるけど、子どもたちは自分の家庭を作っていきますからね。やっぱり奥さんの味方であることが第一。宇太郎は晴さんをいちばんに考えて、常にいちばんの味方でいるんです。
鈴愛の人生は孤独じゃないんだ、と思えます(松雪)
鈴愛と律(佐藤 健)も、晴と宇太郎のようになれると思いますか? 第25週では、二人の男女としての距離がまた近付いた印象ですが。
滝藤:どうでしょうねぇ。再婚があるのかどうか……。
松雪:同じ日に生まれた幼なじみで、親友で、一緒に会社を起ち上げた仲間で……二人はきっと、もうずっと前から“ソウルメイト”なんでしょうね。お互いの存在が当たり前すぎて掛け違いもあったけど、いまは二人とも大人になって、相手の存在がいかに大切かを分かってる。最終的には、一緒にいるような気がしています。
滝藤:鈴愛と律はくっついても、くっつかなくても良い関係でいる気がしますね。
松雪:かたちじゃないんですよね。親友でも、同僚でも、結婚相手でもいい。大事なのは、鈴愛にとって律くんが「自分を100%分かってくれる存在」だということ。そんな人、普通は親以外には得がたいけど、鈴愛にはすぐ近くにいたんですよね。母としてはそれだけで、「あぁ、この子の人生は孤独じゃないんだ」と思えます……。あ、きれいにまとめすぎました?
滝藤:いや、そのとおり! 言いたいこと全部言ってくれました。ありがとう、晴さん(笑)。