結果オーライで蝕まれる「青い巨塔」のガバナンス 岡島正明(前JFA専務理事)インタビュー<2/2>
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■代表監督の解任は「会長の専権事項」なのか?
──さて、田嶋さんが再選を果たすJFA会長選挙の直後に、絶妙なタイミングでハリルホジッチ解任が発表されました。岡島さんは一連の流れをどう見ていましたか?
岡島 これは手続き的におかしいし、説明責任を果たしていない、というのが率直な印象。田嶋さんの会見の様子は見たし、新聞報道も読んでから、Numberでの独占取材記事にも目を通しました。Numberの記事については、田嶋さんがきちんと校正しているだろうから、あれが最もオフィシャルな内容だと思うんだけど、田嶋さんはハリルホジッチ監督の解任を「契約解除です」という言い方をしている。確かにそういう側面もあるけれど、どう考えてもあれは解任。代表監督の解任というのは、本来ならば理事会マターなんですよね。
──それくらい重要な案件ですからね。
岡島 誰がどう見ても解任なのに、それを「契約解除」と言い換えるのはなぜか、ということですよね。そもそも法的側面だけで言えば、田嶋さんの立場は会長ではなく「JFA代表理事」なんです。つまり、JFAの理事会で選ばれた代表理事。ところがあの記事の中で田嶋さんは「自分は選挙で選ばれた会長」と言っている。自分では「選挙で選ばれた会長」を自認しながら、ハリルさんの件に関しては解任ではなく「契約解除」という言葉を使っている。それは明らかなダブルスタンダードですよ。
──事前にいただいているレジュメによると、こうなりますね。田嶋さんは世間の受け止め方である「選挙で選ばれた会長」という立場をとりながら、監督の解任については「契約解除」という法的な側面を強調している。これがダブルスタンダードであると。
【世間の受け止め方】/【法的側面】
選挙で選ばれた会長/理事会で選任された代表理事
代表監督の解任/契約解除
岡島 田嶋さんが「会長」を名乗ってもらってもいいけど、「監督の契約解除は会長の専権事項」というのはおかしい。法人法が求めているのは、そういうことではなくて「理事会にきちんと通しなさいよ」という話なんですよね。
──そもそも「会長」っていう役職は、規約上にはない概念でしょうか?
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