医学部の徹底調査を求める 日本学術会議が声明

東京医科大学の医学部不正入試を受け、日本学術会議(会長・山極壽一京都大学総長)は9月20日までに、幹事会による声明を発表した。医学部医学科のある大学の徹底調査や医師が働きやすい職場環境の実現を求めている。

声明は、東京医科大学の入試で発覚した女性の受験生が不利になる得点調整の背景には、医師の長時間労働をはじめとする医療現場の構造的な問題があると指摘。入試に対する受験生の不安払拭(ふっしょく)のためにも、公正性の確保と徹底調査は緊急性が高いと強調した。

その上で医学部医学科のある各大学に対し▽文科省の緊急調査にとどまらず、自主的な徹底調査を実施し、説明責任を果たす▽医学部の男女共同参画の実現に向けた問題の精査と改善を進める▽医師のキャリア形成や復職の支援充実――を要請した。

特に入試については、面接試験で固定的な性別役割に肯定的な考え方や妊娠出産を負荷とみなす価値観などに基づいた質問や評価の偏りがなかったか、評価の質にまで踏み込んだ検証を求めた。

声明は、医学教育や女性医師の活躍支援について意見を表明してきた日本学術会議自らについて「そのフォローアップが必ずしも十分ではなかった」と説明し、入試結果の性別不均衡や医師国家試験における女性合格率の停滞が指摘されてきたにもかかわらず検証を怠ってきたことに触れ「真摯(しんし)に反省しなければならない」と自己批判した。