『コロプラ』のアプリ『白猫プロジェクト』が、任天堂の保有する特許権を侵害しているとして、損害賠償とアプリ提供の差止を請求する訴訟を提起しました。
本記事では、訴訟内容に関する情報と、原因の考察と私の雑感を書いています。
(2018年1月 公開 / 2018年9月20日 更新)
訴訟内容に関する開示資料の情報
・訴訟が提起された年月日
平成29年12月22日
・特許権侵害に基づく損害賠償請求
44億円及び遅延損害金
・差止請求の対象アプリ
白猫プロジェクト
(コロプラ「当社に対する訴訟の提起に関するお知らせ」より抜粋)
訴訟にいたった経緯として、
- 平成28年9月、任天堂は特許権を侵害していると指摘したこと
- コロプラは説明をするも受け入れられなかった
- 1年経っても解決されず、任天堂は訴訟を提起した
- コロプラは自身の正当性を主張する方針である
ということもわかります。
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コロプラは「訴訟対応経験」のある人を募集
コロプラの採用情報『Be-ars』では、知的財産担当(特許担当)の人を募集しているようです。
【職務内容】
知的財産グループにて特許の出願、管理、調査、渉外対応などをご担当いただきます。【必須スキル】
・IT系、電気系、通信系の特許出願経験(2年以上)【歓迎スキル】
・弁理士資格保有者、一次試験合格者歓迎
・訴訟対応経験
(コロプラ採用情報「Be-ars」より抜粋)
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特許権を侵害しているとされる内容の考察
この項目は、2018年1月時点の私の推測と雑感であり、公式の情報ではありません。
任天堂が特許侵害であると訴えている5件については既に公表しており、下記にて解説しております。
コロプラは、『魔法使いと黒猫のウィズ』『白猫プロジェクト』などのスマホゲームアプリでおなじみのゲーム会社です。
私も白猫プロジェクトに一時期ハマっていましたが、思い返せば「これはパクリだったのかな…?」と言えなくもない点がいくつかあります。
「ぷにコン」という操作方法
白猫プロジェクトの特徴の一つとして、画面上の好きな場所をタップして引っぱることでキャラを操作する、「ぷにコン」という操作方法があげられます。
ぷにコンの見た目の特徴はコロプラの特許ですが、ぷにコンによってキャラを操作する仕組みが、任天堂の『ニンテンドー 3DS』のタッチパネル上でのキャラ操作『ジョイスティック』と同じ原理だったので特許権の侵害になる、と考えられるようです。
ちなみにこの「ぷにコン」は、コロプラの他ゲーム『白猫テニス』や『バトルガール ハイスクール』でも使用されています。
ぷにコンが仮に特許権の侵害と認められてコロプラは使用禁止になった場合、かなり大きな被害になることは間違いないでしょう。
白猫の「スー・スーブニール」というキャラクター
スーは、白猫プロジェクトの新キャラ追加イベント『フォースター☆プロジェクト』の14thで登場しました。
(クリック・タップすると拡大します)
この「スー」というキャラクターが、「任天堂の大人気ゲーム『Splatoon』のパクリではないか」という意見はよく耳にします。
カラフルな色彩にツインテール、「ストリートペインター」というプロフィール、「ペイントショット」というスキルなどから、「インクを塗って戦うスプラトゥーンに似ている」と感じる人がいるのでしょう。
ちなみに、スプラトゥーンが発売されたのが2015年5月28日、スーが新登場したイベントは2015年7月31日です。
ですが、最初に任天堂が指摘したのは2016年9月とされていますので、主な原因ではない可能性があります。
「コステロサーキット」というミニゲーム
白猫プロジェクトの「100億トライドルイベント」にて、「コステロサーキット」というレースのミニゲームが登場しました。
(クリック・タップすると拡大します)
任天堂の有名なレースゲーム『マリオカート』シリーズに似ているとの意見がありますが、スタートダッシュや加速パネルなどはレースゲームでは珍しくない要素であるため、何とも言えません。
このイベントは2016年6月27日に開始されましたので、任天堂が注意した時期と近いですね。
「白猫テニス」というアプリ
『白猫テニス』もコロプラの人気ゲームアプリで、『白猫プロジェクト』と同じ桜井日奈子さんのCMを見たことがあるでしょうか。
こちらも、任天堂の『マリオテニス』シリーズと似ているから特許権の侵害に関係しているのではないか、と考えている人がいるようです。
確かに私も「テニスのゲームと言えば?」と聞かれれば、ゲームキューブで遊んでいた「マリオテニス」を一番にあげますが、「白猫テニス」もプレイしてみた感想として、「テニスのゲームって大体こういう感じになるのかも…」という気もしました。
それはつまり「マリオテニス」シリーズの完成度が高いからだ、とも言えますので、パクリかどうかをプレイヤーの第三者が判断するのは難しいですね。
ちなみに、『白猫テニス』は2016年7月31日にリリースされました。これも最初に任天堂が指摘したとされる9月と時期が非常に近いですね。
9月追記:任天堂が訴える特許 5つが明らかに
上記の、任天堂が訴えている特許侵害5件について、訴訟内容から明らかになりました。
特許3734820号
タッチパネルでジョイスティックを操作する ⇒ 「ぷにコン」に該当特許4262217号
タッチパネルを長押しした後、指を離すと敵キャラを攻撃 ⇒ 「チャージ攻撃」に該当特許4010533号
スリープから復帰する時に確認画面を表示し、スリープ直前の画面から再開 ⇒ 「スリープ機能」に該当特許5595991号
ユーザー間で相互フォローし、通信や協力プレイを行う ⇒ 「相互フォロー」に該当特許3637031号
障害物でプレイキャラクターが隠されてもシルエットで表示する ⇒ 「シルエット表示」に該当
(「https://tmiyadera.com/blog/1388.html」より引用)
1番目の「ぷにコン」に関しては事前情報どおりでしたが、その他の4件については驚きですね。
確かに任天堂の特許ですが、コロプラの『白猫プロジェクト』に限らず、多くのスマホアプリのアクションゲーム等で採用されている手法です。
ゲームに詳しくない方や、『白猫プロジェクト』をプレイしたことのない人にむけて、私なりに解説します。
(ジョイスティックとぷにコンについては、既に説明したので省略)
敵キャラの攻撃の仕方
ターン制のロールプレイングゲームやアクションゲーム等、ゲームの種類によって異なりますが、敵キャラの攻撃方法は主に3パターンです。
- メニュー画面の選択肢から攻撃先を選択 (昔ながらのRPG)
- 近くの敵を自動的に攻撃 (アクションゲームのオートモード等)
- 攻撃したい敵キャラをタップ (最近のスマホゲーム)
コロプラ『白猫プロジェクト』では、画面をタップすると近くの敵を攻撃、長押ししてフリックするとスキルを使った攻撃します。
プレイヤーは直感的に操作でき、攻撃するターゲットやタイミングを意図的に決定できるのです。
この「画面を指で触れて、離すと攻撃する」システムが、任天堂のゲームプログラムの特許を侵害をしている、ということです。
画面の省電力モード(スリープ)
スマートフォンやゲーム機は、電源を入れたまましばらく操作せずにいると、スリープモードとなり画面が消灯します。
コロプラ『白猫プロジェクト』などのゲームアプリの場合、プレイ中にスマホの電源ボタンを押してスリープモードにすると、ゲームもスリープモードとなり中断されます。
電源を入れてスリープモードが解除された時、「ゲームを続けるか」たずねる画面が表示され、「はい」を押すとゲームが再開します。
こうして、「たとえばポケットにスマホを入れた時、気づかずにゲームが勝手に始まったせいで死んでしまった」という事態を避けられるのです。
しかし、「スリープモードが偶然に解除されてゲームに戻らないように管理する」というプログラムも、任天堂の特許なのです。
ネットワーク上のゲームの通信システム
今やオンラインプレイできるゲームは無数にあり、ネットワークを介して友人と気軽にゲームを遊ぶことができます。
コロプラ『白猫プロジェクト』でも、プレイヤーをフォローする機能があり、相互フォローのフレンドとクエストをクリアすると報酬が増えるシステムがあります。
この無線通信を介してゲームをプレイできるシステムやフレンド機能なども、任天堂の特許となっています。
障害物に隠れたキャラのシルエット表示
奥行きのある3Dグラフィックのゲームでは、キャラクターが建物や壁に隠れて見えなくなる時があります。
この時、建物や壁にキャラクターの形をしたシルエットを表示させることで、「カメラの向こうに隠れているんだ」と直感的に理解できます。
シルエット表示は、コロプラ『白猫プロジェクト』以外のアクションゲームでも頻繁に採用されている手法ですが、この特許は任天堂が所有しています。
おわりに
私は『白猫プロジェクト』にハマっていた時期がありました。
ゲーム自体は面白かったのですが、イベントの度にたくさんの周回が必要で時間が奪われるため、リアルの生活が忙しくなったタイミングでアンインストールしました。
こんな形で再び注目され、少し複雑な気持ちになります。
特許権侵害とする5件の内容は、『白猫プロジェクト』に限定される話ではなく、様々な会社の数多くのゲームが「パクリ」として訴えられてもおかしくはないという認識です。
任天堂とコロプラとの間に、訴訟まで発展しまった何かしらの原因や問題があったのではないかと思います。
今後はどうなっていくのでしょうか、続報が入り次第、更新したいと思います。
ちなみに、任天堂の関わった訴訟のほとんどが任天堂の勝訴で終わっており、しばしば「任天堂法務部は最強」などと噂されています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
以上、任天堂がコロプラを特許権侵害として訴訟、経緯のまとめと原因の考察でした!