「2021年までの非核化を」 米、北朝鮮との協議再開に意欲
マイク・ポンペオ米国務長官は19日、「2021年までの」北朝鮮の非核化を目標に、北朝鮮政府との交渉を再開する用意があると話した。
米朝間の協議は、6月にシンガポールで行われた首脳会談で大枠合意に至って以降、停滞していた。
しかし、18日から行われていた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と韓国・文在寅(ムン・ジェイン)大統領の会談が、米政府にとって安心材料となったようだ。
首脳会談の後、金委員長はミサイル実験・発射施設1カ所を閉鎖することで合意。さらに、朝鮮半島の「非核化達成に向けた道筋」でも一致した。
ポンペオ国務長官は、米国が「交渉に即座に入れるよう準備しておく」ことは「こうした重要な取り組みに基づいたものだ」と話した。
<関連記事>
声明でポンペオ氏は、来週にも北朝鮮の李勇浩(リ・ヨンホ)外相をニューヨークに招くほか、ウィーンで両国代表団が2回目の会談を行うことを明らかにした。
「これは金委員長が約束したとおり、2021年1月までに北朝鮮の非核化完了のための迅速なプロセスを通じて米朝関係を変更し、朝鮮半島に永続的で安定した平和体制を築くための交渉の始まりとなる」と、長官は述べた。
米朝いずれからも、政府高官が非核化の時期を明確に発表したのは今回が初めて。
南北首脳会談の成果は?
南北首脳会談の主題は非核化をめぐる問題だった。
金委員長は、米国が相互措置をとった場合に限り、北朝鮮の核実験の材料が生産されていたとされる寧辺(ヨンビョン)核施設を永久的に廃棄する用意があると表明した。
相互措置の詳細は明らかにされていない。
さらに、東倉里(トンチャンリ)のミサイル・エンジン実験施設と発射設備を、「関係各国の専門家の立会いの下」で永久的に廃棄することを約束した。
BBCのローラ・ビッカー・ソウル特派員は、この発表は大きな前進だと説明している。
ビッカー特派員によると、衛星写真では東倉里の施設で破壊プロセスが進んでいることが確認できるが、今回の宣言によって、査察官による確認が可能になった。
北朝鮮は6月の米朝首脳会談の直前、豊渓里(プンゲリ)にある国内唯一の核実験場で坑道を爆破したと発表していた。
米国の反応は?
ドナルド・トランプ米大統領は南北の合意を「とても大きな前進」だと歓迎し、ツイッターで首脳会談の成果に称賛を送った。
「金正恩は最終交渉を条件に核査察の受け入れに合意したほか、各国の専門家の前で実験場と発射台の永久的廃棄に合意した。この間は、ロケット実験も核実験も行われない。英雄たちの遺骨は引き続き、米国に帰還する。加えて、南北朝鮮は2032年五輪の共同開催に一緒に名乗りを上げる。とてもわくわくする!」と、大統領は書いた。
6月の米朝首脳会談では、トランプ大統領と金委員長が、非核化に向けた大きな枠組みで合意している。
しかしその後、進展はほとんど見られず、非核化に関する明確なプロセスや時期も明らかになっていなかった。
こうした行き詰まりを受けて米国は先月、進展が見られないことを理由にマイク・ポンペオ国務長官の北朝鮮訪問を取りやめた。
多くの専門家は、北朝鮮が核開発計画を終わらせるため有意な手続きを何も踏んでいないと警告していた。
しかしトランプ大統領は、金委員長が2度目の米朝首脳会談開催を申し入れてきたことを受け、金委員長と共に、成果を疑った「全員が間違っていたことを証明する」と話した。米朝両国は、この2度目の首脳会談実現に向けて動いていると発表している。