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「金魚電話ボックス」撤去したのに…美術家が提訴『目的は著作権を認めてもらうこと』

09/19 18:11

損害賠償と金魚電話ボックスの廃棄を求めて提訴

【山本伸樹さん】
「僕の著作権そのものだけを主張しているわけではなくて、最低限、僕の作品であることと認知していただいて、その上で協力できることを協力していきたい」

19日に会見を開いたのは福島県いわき市の美術家・山本伸樹さん(62)。奈良県大和郡山市にあった「金魚電話ボックス」を巡り、商店街組合などを相手に訴えを起こしました。

【山本伸樹さん】
「著作権を侵害されて苦悩している美術家は少なくありません。多くの場合、泣き寝入り状態です」

山本さんが裁判にまで踏み切った背景には、いったい何があったのでしょうか?

金魚の生産が盛んな、大和郡山市の柳町商店街に設置されていた、「金魚電話ボックス」2011年に京都造形芸術大学の学生が制作したものを、商店街が譲り受け、5年前に設置しました。

【観光客】
「びっくりしました!こういう状態にあるとは思わなくて。発想がすごいなと」

「金魚の町」のシンボルとして、人気を集めていました。…しかし!

【山本伸樹さん】
「僕の作品と同じなのに僕の作品じゃない形でひとり歩きしはじめて」

「金魚電話ボックス」が作られる前の1998年に山本さんが発表した「メッセージ」という作品。この作品と、「金魚電話ボックス」がそっくりだったことから、山本さんは、商店街に山本さんの著作物として「金魚電話ボックス」を設置し直すよう、求めたのです。

また、電話ボックスのデザインを修正する費用を山本さんが負担するという提案もしました。

【山本伸樹さん】
「実際管理している方と商店街の代表の方と一旦は合意したんですよ。著作権も認めます」

しかし、商店街は・・・
『金魚電話ボックスが貴殿の著作権を侵害しているとは認識しておりません』

山本さんの著作物とは認めずに、「金魚電話ボックス」の撤去を決定。さらにこの撤去の取り消しを求め、約900人分の署名が商店街に提出されるという騒動にまで発展したものの、撤去されてしまったのです。

そして9月19日・・・

【記者リポート】
「金魚が泳いでいた電話ボックスはこちらにありましたが、現在はこのような大きな水槽が設置されています」

2カ月ほど前から大きな水槽が設置され、新しい金魚が飼われていました。

【街の人】
「電話ボックスのほうがよかったけどな。あったら街の繁栄になったのになーって。」
「作った人にとったら作った人なりの気持ちがあるんでしょうから、ここではあれがひとつのシンボルになってたんだからそのままほっててくれてもよかったかな」

金魚電話ボックスが撤去され騒動が落ち着いたかと思いきや・・・
9月19日に山本さんは、著作物の使用料など、商店街側に対し損害賠償330万円と金魚電話ボックスを「廃棄」することを求めて提訴しました。

【山本伸樹さん】
「わたしは撤去自体をのぞんでいたわけではなく、地域の方々と強調して展示を続ける方向性を模索し、提案していました。それだけに今回の事態を大変残念に思っております。金銭的なことが目的ではない。目的はあくまで著作権を認めてもらうこと」

金魚の町で裁判沙汰にまで発展した著作権を巡る騒動。商店街側は「訴状が届いていないためコメントできない」としています。

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