Corneliusが世界で認められるまで。海外進出のカギは何だった?
Cornelius『Ripple Waves』- インタビュー・テキスト
- 金子厚武
- 撮影:森山将人 編集:山元翔一
昨年6月に発表され、国内外で大きな話題を呼んだCorneliusの10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Mellow Waves』。リリース後は国内の主要フェスに多数出演し、秋にはライブハウスツアーを敢行。今年3月には、メキシコ&北米ツアーも行っている。
そのアメリカ滞在時、ラジオ局「NPR」の人気企画『Tiny Desk Concert』に出演した際のライブ音源や、ニューヨークにあるSpotifyのスタジオで録音されたDrakeのカバー、さらには坂本龍一、細野晴臣、Hiatus Kaiyoteらによる『Mellow Waves』収録曲の再構築など、この1年の様々なワークスを収録したのが、新作『Ripple Waves』だ。10月にはホールツアー、11月には初となる台湾と香港でのライブも決定するなど、『Mellow Waves』の余波は今もさざ波のように広がり続けている。
Corneliusが初めてUSツアーを行ったのは、今からちょうど20年前。インターネット黎明期の当時と比較して、音楽を取り巻く環境は大きく変わり、海外に対する目線もまた変わってきたが、この20年でいかにして「世界のCornelius」は形成されたのか? それを紐解くことは、これからの日本の音楽シーンにとって大きなヒントになるはずだ。
Beckと最初に会ったのは、初来日のライブを観に行ったとき。楽屋に行ったら、中原昌也さんが紹介してくれた。
—今回の取材では、Corneliusの存在がどのように海外に、特にアメリカに知られていったのかを改めてお伺いしたいです。まず、1997年発表の『FANTASMA』が、翌年に「Matador Records」(アメリカを代表するインディーレーベルの1つ)からリリースされたのは、どういった経緯だったのでしょうか?
小山田:1997年に日本武道館でライブをやったときに、「Matador」の人が観に来て、そのライブの打ち上げで「うちから出したい」って話をされて。
—1990年代後半には、Pizzicato Fiveやギターウルフが「Matador Records」から、Buffalo DaughterやCibo Mattoの派生ユニットであるButter 08が「Grand Royal」(Beastie Boysが主宰するレーベル)から作品を発表するなど、ちょっとした日本人ブームがありましたよね。そういった流れのなかで、Corneliusも発見されたのでしょうか?
小山田:そうなんじゃないかな。マニー・マーク(Beastie Boysのコラボレーターとしても知られるプロデューサー)はまだ『FANTASMA』のアメリカ盤が出る前にリミックスを頼んできてくれたし、Beastie Boysもライブを一緒にやったり、リミックスもしたし。
「Matador」と「Grand Royal」はどっちもニューヨークが拠点で、「Matador」で働いていた人が、もともと「Grand Royal」の人だったんですよ。あと日本人の女の子が1人働いていたんだけど、その子は両方のレーベルを兼任してて、僕やBuffalo Daughterの宣伝をやってくれて。今、その子は「4AD」(イギリスのインディーレーベル)にいますね。
—へえ、そうなんですね!
小山田:あとサンフランシスコだけど、Fantastic Plastic Machineや嶺川(貴子)さんとかも出してた「Emperor Norton」もあったよね。でも、2000年を過ぎたらそのブームってなくなっちゃって。日本でスウェディッシュポップが急に流行ったりとか、ああいうのあるでしょ?(笑) きっとそういう感じだったんじゃないかなって思うんだよね。
—ちなみに、Beckとはいつどのように知り合ったのですか? 2017年のBeckの日本武道館公演にはゲスト出演されていましたし、1990年代から親交がありますよね。
小山田:最初に会ったのは、初来日のライブを観に行ったとき(1994年)。前座が暴力温泉芸者(中原昌也によるノイズユニット)で、楽屋に行ったら、中原さんが紹介してくれたのかな。それからしばらく会ってなかったんだけど、『FANTASMA』のツアーのロス公演に来てくれて、そのあとに向こうの雑誌かなんかで対談をして。そのときに彼の家に行って、それで仲よくなって、リミックスやったり、日本来たときに会ったり。
—武道館のときが久しぶりの再会でした?
小山田:いや、その前の年に『フジロック』で来てたから、そのとき一緒に飯食って、それが結構久しぶり。たしか腰を悪くしてたんだよね? それでしばらく日本に来てなかったから。
小山田圭吾とBeck。CorneliusのInstagramより—同年代ということもあり、やはりシンパシーを感じますか?
小山田:そうだね。知り合ってからだいぶ時間も経つし。武道館のライブは「ヒットメドレー」って感じだったなあ。今また来てるんじゃない?
—ああ、『SUMMER SONIC』に出演しますもんね(取材は8月16日)。会う予定ありますか?
小山田:今のところはないんだけど、ちょうどエドガー・ライト(『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ベイビー・ドライバー』などで知られるイギリスの映画監督)もSparksのフィルムを撮るために来日していて、「Beckも来るから、もしタイミング合えば」って連絡はもらってる。
エドガー・ライトと小山田圭吾。エドガー・ライトのInstagramよりリリース情報
- Cornelius
『Ripple Waves』(CD) -
2018年9月19日(水)発売
価格:2,592円(税込)
WPCL-129231. Audio Check Music
2. Audio Architecture
3. Passionfruit(Recorded at Spotify Studios NYC)
4. If You're Here(Recorded at Spotify Studios NYC)
5. Sonorama 1
6. Not Bad, This Feeling
7. Inside a Dream
8. In a Dream(NPR Music's Tiny Desk Concert)
9. Audio Architecture(Studio Live)
10. The Spell of a Vanishing Loveliness(Beach Fossils Rework)
11. Helix / Spiral(Reginald Omas Mamode IV Rework)
12. Mellow Yellow Feel(Hiatus Kaiyote Rework)
13. Surfing on Mind Wave Pt2(Liquid Fairy - A Sound Collage by Lawrence)
14. In a Dream(Haruomi Hosono Rework)
15. If You're Here(Ryuichi Sakamoto Rework)
- Cornelius
『Mellow Waves』(アナログ盤) -
2018年9月19日(水)発売
価格:3,240円(税込)
WPJL-10106[SIDE-A]
1. あなたがいるなら
2. いつか / どこか
3. 未来の人へ
4. Surfing on Mind Wave pt 2[SIDE-B]
1. 夢の中で
2. Helix/Spiral
3. Mellow Yellow Feel
4. The Spell of a Vanishing Loveliness
5. The Rain Song
6. Crépuscule
イベント情報
- 『Mellow Waves Tour 2018』
-
2018年10月3日(水)
会場:福岡県 福岡国際会議場 メインホール
料金:指定席7,800円
※学生証の提示で1,000円キャッシュバック2018年10月5日(金)
会場:大阪府 オリックス劇場
料金:指定席7,800円
※学生証の提示で1,000円キャッシュバック2018年10月8日(月・祝)
会場:東京都 有楽町 東京国際フォーラム ホールA
料金:指定席7,800円
※学生証の提示で1,000円キャッシュバック2018年10月19日(金)
会場:岡山県 岡山市立市民文化ホール
料金:指定席7,800円
※学生証の提示で1,000円キャッシュバック2018年10月21日(日)
会場:愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
料金:指定席7,800円
※学生証の提示で1,000円キャッシュバック2018年10月24日(水)
会場:北海道 札幌市教育文化会館 大ホール
料金:指定席7,800円
※学生証の提示で1,000円キャッシュバック2018年10月27日(土)
会場:宮城県 電力ホール
料金:指定席7,800円
※学生証の提示で1,000円キャッシュバック『ヘリオス・グルーヴィーナイト vol.28』
2018年10月13日(土)
会場:富山県 南砺市福野文化創造センター 円形劇場ヘリオス
料金:1階(スタンディング)5,000円 2階(指定席)5,500円『Mellow Waves Tour 2018 – Taipei』
2018年11月9日(金)
会場:台湾 Legacy 台北
料金:NT$ 2,000(前売)NT$ 2,200(当日)『Clockenflap 2018』
2018年11月9日(金)~11月11日(日)
会場:中国・香港 Central Harbourfront Hong Kong
※Corneliusは11日に出演
プロフィール
- Cornelius(こーねりあす)
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1969年東京都生まれ。'89年、フリッパーズギターのメンバーとしてデビュー。バンド解散後、1993年、Cornelius(コーネリアス)として活動開始。現在まで6枚のオリジナルアルバムをリリース。自身の活動以外にも、国内外多数のアーティストとのコラボレーションやREMIX。プロデュースなど幅広く活動中。
関連チケット情報
- 2018年10月3日(水)
- Cornelius
- 会場:福岡国際会議場 メインホール(福岡県)
- 2018年10月5日(金)
- CORNELIUS
- 会場:オリックス劇場(大阪府)
- 2018年10月8日(月)
- CORNELIUS
- 会場:東京国際フォーラム ホールA(東京都)