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政府の知的財産戦略本部は2018年9月19日、「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議(タスクフォース)」の第8回会合で、海賊版サイトへの総合対策の第1次中間まとめ案を示した。同時に、宍戸常寿委員や立石聡明委員など9委員が「本検討会議の外でブロッキング法制化を決定し、国会への法案提出を強行することを可能にする内容になっている」として、中間まとめ案に反対する意見書を提出した。
第1次中間まとめ案は101ページと別紙からなる。まず第1章(p5~p21)で海賊版サイトによる権利侵害の現状を、第2章(p22~p66)は11の総合対策を説明している。対策については前回の素案と順序や構成を変えているが、要素はほぼ同じである。ただしアクセス制限(ブロッキング)については、法制化の両論併記を含めて第3章にまとめた。
第3章(p67~p95)は、法制化の必要性について両論併記したうえで、「第一次中間まとめの時点で合意には至っていない」とした。続いて素案同様、仮にサイトブロッキング法整備の必要がある場合、どのような制度が適切かについて議論した。
第3章のまとめとして、ブロッキングの目的を「インターネットのカジュアルユーザーの閲覧防止」としたうえで、法制度の検討を進める場合には「上記目的が通信の秘密の制約を上回るほどに重大なものかどうかを議論する必要がある」と記述した。素案での「憲法上の問題が生じる可能性は低いと考えられる」と比べて慎重な記述となった。
別紙の形で新たに加わった第4章は、共同座長の村井純氏が座長案として提案したもの。第3章の法制度整備について合意が得られていないことを前提に、以下のように議論を進めることを提案した。
- ブロッキングについては、他に方法がない場合に限定し、その可能性を排除しない
- 正規版流通の環境整備やフィルタリングの強化、広告出稿の抑制、著作権教育などは、関係者が連携して直ちに取りかかる
- アクセス制限の法制化は会議を継続し、「第2次中間まとめ」または「最終まとめ」を答申する
- 海賊版サイトの違法性を明確化する法制化、広告主の情報開示と利益供与の違法化に向けた法制化、「ISP事業者が海賊版サイトへのアクセスを困難にし、またアクセスの情報開示を可能とするための法制化」を目指す
- 第2次中間取りまとめは2018年10月初旬に行う