システム構築で避けて通れない最初の難関――。それが見積もり作業だ。IT企業が提示するシステム構築費のカラクリがわかれば、見積書の見方が変わってくる。今でも知っておいて損はないと思える内容を、日経コンピュータ2003年6月16日号の特集「ITコスト99の謎」から抜粋した。より少ないコストで優れた提案を引き出すために役立てていただきたい。
※社名や製品・サービス名、人物の肩書、コメントなどは2003年執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
システム開発費の内訳は?
システムの構築費は、三つの項目に大別できる。①完成したシステムを動かすハードウエアの費用、②同じくシステムの動作に必要なソフトウエアのライセンス費、そして③システム(アプリケーション)の開発費――である。
20年ほど前のメインフレーム全盛期、ハード費、ソフト費、システム開発費の比率は、「3:1:6(1.5:0.5:3)」というのが相場だった。オープン・システムが主流になった今では、これが「1:1:3」に変化している。ハード費が占める割合が低下した分、ソフト費が増えた。
ハード費の比率が下がったのは、価格破壊が急激に進んだからだ。これに対して、ソフトの価格(ライセンス料/月額使用量と保守費用)は、ここ20年でそれほど大きく変わっていない。逆にオープンの時代になって一つのシステムに使うミドルウエアやツールの数は増えた。このことがシステム構築費全体に占めるソフト費の比率を高めている。「オープン系ソフトのベンダーは儲け過ぎ」との不満がユーザー企業から絶えないのは、このためだ。
システム開発費が全体に占める割合は、昔も今も全体の6割程度と変わっていない。この背景には、「日本企業は、パッケージよりも独自開発のアプリケーションを好む」という事情がある。米国では、ハード費、ソフト費、システム開発費の比率は「1:2:2」が相場とされている。
もちろん日本企業もERPパッケージ(統合業務パッケージ)などを使えば、開発費の比率は下がる。そのためには「過度のカスタマイズは禁物」であるのは言うまでもない。