OVERLORD 不死者の王 彼の地にて、斯く君臨せり   作:安野雲
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正直、オーバーロードもGATEも設定を完全に把握できていないくせに始めてしまったことが途轍もなく不安ではあるのですが、一人で妄想するよりは色んな人の意見を聞いて書いた方が内容が練られるんじゃないかなぁ、と思って投稿しました・・・

それでは、プロローグからどうぞ。


プロローグ「支配者のいる風景」

 

―――――――2050年、地球はかつてないほどに平和であった。

 

科学の進歩と世界情勢の緊迫によって起こり得ると予測されていた第三次世界大戦のような戦争の気配もなく、以前の識者達の考えが大きく裏切られる結果になっていた。

当然、21世紀初めまで頻発していた紛争などの影もなく、そもそもにおいて紛争の原因となるような社会問題などはほぼ解決されており、数少ない課題である環境問題においても「とある発明」によって漸進的に解決へと向かっていた。

 

一方で、グローバル化の発展、国境という垣根を越えた人々の交流は大いに加速しており、その様子はさながら世界が一つの共同体として存在しているかのようにも見えることだろう。

最初に「宇宙船地球号」という言葉を発明したのは誰だったか。その元々の意味合いはさておき、現在の地球の様子を例えるにはふさわしい言葉のようにも思われた。

 

そして、その「宇宙」についても、人類は大きな進歩を迎えることになった。

 

遥か月面を越えてその先、火星への着陸が成し遂げられたのである。

また、その手前である月面においても、一時は夢であるとも思われていた人類の移住が開始されており、地球という一個の惑星を超えた人間の宇宙進出が始まっていた。

 

翻って、再び地球内部に目を戻すと、一つ特徴的な変化が見られた。

それは、各国首脳の名称である。

以前までは、日本は「内閣総理大臣」、アメリカ合衆国は「大統領」、ドイツやイギリスは「首相」、中華人民共和国は「国家主席」とその名称は様々にあった。

しかし、その呼称は現在「総督」という役職として統一されている。

総督という言葉が元々は一国の地方官を指すということを考えれば、この呼称には疑問を感じるかもしれない。

だが、それは決して間違った表現などではなかった。

総督という立場にある各国首脳の、その上に立つ者がいたのである。

 

そして、世界が多方面に渡って加速度的に発展し、世界平和の礎を築くという偉業を成し遂げた者でもあった。

その、至高なる名は―――――――――――

 

 

 

 

 

規則正しい電子音が鳴り響く。

頭から布団を被って更なる惰眠を貪ろうとしていた少年は、5分後に今度は布団を引っぺがされるという結末を迎えることになった。

 

「良介、早く起きなさい!いつまで寝てるつもりなの!」

 

母親から良介と呼ばれたその少年は、未だ寝惚け眼のまま、寒さからか小さく身を縮める。

 

「もう5分だけ・・・」

 

そう懇願した良介だったが、直後母親の鉄拳が飛んだことで、願いは聞き遂げられなかった。

 

「今日から新学期なんだから、いきなり遅刻なんてしたら駄目でしょ。チャッチャと起きて、チャッチャと朝ご飯食べちゃいなさい」

 

良介は殴られたところを抑えつつ、渋々起床して登校の準備を始めた。

 

準備を終えて居間の食卓に向かうと、先に朝食をとりながらテレビで朝のニュースを見ていた父親の姿があった。

 

「今日は新学期なんだから、遅刻するとまずいだろう。急ぎなさい」

 

いつもは温厚な父だが、今日ばかりは少しだけ表情が険しいように感じる。

良介は朝から何ともいえない心持ちのまま、父の向かい側の席に座った。

その時、父が箸を止めてテレビに目を向けていることに気づき、良介も移されたニュースに目をやる。

 

『――――――様が、昨日夕方、初の来日を果たされました。本日は午後から官邸にて田邊総督との会談が予定されております―――――――』

 

そのニュースを聞いて、思わず良介は眼を見開いた。

 

「昨日来日してたのかよ!今日だと思ってたのに・・・」

 

良介は更なる不幸を感じて、落胆したように肩を落とす。

 

「私は昨日いらっしゃるって確かに言ったわよ?そもそもチケットが購入できなかった時点で生で見ることなんてできなかったんだから今更どうしようもないじゃない」

 

「それでも、中継とかはやってたんだろ?絶対生で見ようと思ってたのになぁ・・・」

 

洗い物をしていた母親のたしなめに対して噛みついたり、落ち込んだりと良介はコロコロと表情を変える。

そんな息子の表情を見て溜息をついた父が、「録画はしてあるから、好きな時に見なさい」といってくれたが、あまり耳に入っていないようだった。

 

昼食を食べ終えてもまだ、良介の表情はすぐれないままであった。

そこで母は夫と目配せをして、少しだけ悩んだ後、鞄を持って出発しようとしていた良介に後ろから声を掛けた。

 

「あー そういえば、離日される日の会場券は三人分取れたの、言うの忘れてたわ!」

 

それは、実は二日後の息子の誕生日プレゼントとして用意するはずのものだった。

父親が中流企業の社員ではあるものの、母親が専業主婦であるということから決してそのチケットを購入することが容易ではなかった筈だが、息子が以前から熱望していたこともあり、何とか手に入れることができたのだ。

本来は、サプライズプレゼントといって渡す気だったところからの、息子の様子を案じての発言である。

 

「・・・マジで?本当に!?」

 

その言葉を聞いた息子は、著しく思考レベルが下がったかのような発言を繰り返して喜んでいたが、父と母の二人は、苦労の甲斐あって息子が喜んでくれたことにほっと胸をなでおろす。

そのうちに気分がよくなったであろう良介は、先程とは打って変わってニコニコとした表情で家を出ようとした。

 

そこで、「あ」と何かを思い出したように玄関から戻ってきた良介は居間の奥にある「神棚」に向かって手を合わせる。

そこには、全長が1メートルほどの木彫りの像が飾られていた。

 

「ご利益、有難うございます」

 

「こら、そんな態度失礼でしょ!」

 

息子の態度を見て母親は叱るが、息子の横顔を見て安心する。

 

「それじゃ、改めていってきまーす!」

 

意気揚々と出発した良介は、燦燦と輝く太陽もまるで今の自分を祝福してくれているかのように見えて、思わず大声で叫んでしまった。

 

「――――――ああ、アインズ・ウール・ゴウン様万歳!」

 

 

 

それは、21世紀初頭、世界中の人間を震撼させ、そして畏怖された者の名。

 

 

 

これは、かつて「特地」と呼ばれる異世界に降り立った死の支配者(オーバーロード)が、「世界」を手に入れるまでの物語である。

 

 

 




さて、プロローグどうでしたでしょうか?
前書きにもある通り、滅茶苦茶不安な心境です。
実際、もしこうなったらどうなってただろう?という思いで書き始めたわけですが、何分書くよりも読む方が向いてるんじゃないかと思ってしまいました・・・

とりあえず、意見を確認しつつ続きを早く投稿できればいいかなと思っております。







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