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 パナソニックと東京電力グループで電柱広告事業を手掛ける東電タウンプランニングは2018年9月13日、LPWA(ローパワー・ワイドエリア)の通信モジュールを内蔵した電柱広告を東京都墨田区内で試験導入した。検証期間は2019年3月末までの約半年で、機器類の耐久性や広告媒体としての価値などを検証する。

コイン駐車場に設置したLPWAのゲートウエイ(中央右の白いボックス内に格納)
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 同区内の向島地区にあるコイン駐車場にゲートウエイ(親機)を、近隣の電柱に子機をそれぞれ設置。駐車場の満空情報をLPWA回線経由で伝送し、電柱広告の「満」「空」の表示を切り替える。子機の電源は東京電力の送電線から分岐させ供給する。通信方式は「LoRaWANにマルチキャストの通信プロトコルを追加した独自方式」(パナソニック)という。液晶ディスプレーなど光る表示デバイスを電柱広告に使うと東京都の屋外広告物条例に抵触する恐れがあるため、表示部は大日本印刷製のカラー電子ペーパーを採用。電柱広告の鉄板の一部をくり抜き、電子ペーパーの表示部をはめ込んでいる。

「満」「空」の表示が切り替わるコイン駐車場の電柱広告
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 LPWA搭載の電柱広告は1年半ほど前から検討を進め、東電の施設内での検証などを経て試験導入に至った。今後について東電タウンプランニングは「電線の地中化で電柱が減っているとはいえ、東電管内には今も約600万本の電柱がある。LPWAを活用することで、病院の待ち時間を表示したり、災害時に行政からの情報を表示したりといった、電柱広告のさまざまな応用を考えていきたい」としている。