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いつまでたっても前倒しできない人のための、前倒し筋の鍛え方

<今回の目次>

なぜ前倒しすべきなのか?

 前倒しというと、何か特別なことをやっている印象を受ける。しかし、実際には「前倒ししたぜ!」と思えるレベルまで前倒しするのが、仕事のバランスとしては丁度良い。前倒ししたから偉いというよりは、前倒しできて当たり前。それが仕事のあるべき姿だと捉えるようにしている。
 なぜなら、仕事をしていると、予期していない仕事が突然降ってきたり、色々な緊急事態が発生したり、思わぬトラップが仕事の中に潜んでいたりする。それによって、事前の計画が大幅に遅れるリスクが高まり、場合によっては正規の残業に加えてサービス残業をすることになってしまったり、徹夜をする羽目になる。しかも、それでも終わるとは限らない。終わったとしても、ぎりぎりに滑り込ませた、質の低い成果物になるので、「なぜもっと前倒しで準備を進めなかったのだろうか」と毎回のように後悔する。生活リズムと体調が崩れる。大きな仕事の後は抜け殻になる。その結果、数日が無駄になり、次の仕事に着手するのが遅れる。悪循環はどんどん加速する。
 つまり、前倒しは特別なことではなく、正常に仕事を回すための必須スキルとも言える。

前倒しできれば、仕事の質がピカピカになる

 もし恒常的に前倒しができるようになれば、仕事の質がピカピカになる。なぜなら、締め切りよりも随分前に一旦仕上がるし、その後何度も見直すことができる。不十分なところをさらに磨くこともできる。例えばプレゼンの準備であれば、先輩・後輩や同僚、上司、社外の信頼している複数名に相談してフィードバックをもらうこともできる。そうすればPDCAループを何度も回すことができる。一旦は全体像を把握しているし、心に余裕も生まれるので、新たなアイディアがフワッと湧いてきやすくもなる。

なぜいつまでたっても前倒しできないのか?

 もちろん頭ではわかっている。前倒しは素晴らしい。次こそは前倒しをする。そう思っていても、前倒しできない。なぜなら脳が邪魔してくるからだ。例えばこんな声が脳内に響き渡る。「まだまだ時間があるのに、いま始めるのはもったいないよ」と。他にも、「直前まで放置した方が、追い込まれるから集中力が上がるよ。そうすれば短時間で終わって生産性が高まるよ。お前がいつも気にしてる生産性だぞ?」と。でもこれらはすべて、脳が私たちを騙そうとしているのだ。脳はなるべく楽をしたいので、一見もっともらしい言い訳を並べるのが非常に得意だ。しかしそこはよくよく考えてみて、そういう声を追い払わなければならない。
 また、「今は忙しくて前倒しどころではない」という真っ当な脳内VOICEもあるかもしれないが、その場合は、後述のトレーニングを行うことで少しずつ前倒しを実現すべきである。

なぜ実際に前倒ししようとしても、前に倒れないのか?

 そして、脳内の声をなんとか追い払い、意思の力を振り絞って実際に前倒ししようとしても、それでもなかなか上手く行かない。なぜなら、随分と前もって取り組んでいるので、なんとなく集中力が上がらない。追い込まれていないので気持ちが入らない。今日終わらせる必要がないので、簡単な部分だけはやるが難しい部分はすべて飛ばしてしまう。難しい部分をやるほどコミットできない。メールをチェックしたり、色々と気が散る。突然、今までやりたくなかった、もっと遠い締め切りの仕事が魅力的に見えてきたりする。「それこそ今、私がやるべきことでは?」のような青い鳥症候群に陥るのはなんとも不思議だ。

前倒しは小さいことから始める

 私の場合は、せっかく前倒しをしようと思っても、上記のようになかなか前倒しはできるようにならない日々が続いていた。前倒しは意外にもレベルが高いライフハックなのである。だが、色々と試す中で、効果が少しずつ現れてきたようなので、ここでノウハウをまとめておきたい。最も大事なことは、「小さいことからはじめる」ということである。
 小さいことというのは、仕事のように大きな物事ではなく、家事や買い物、メールの返信、会議の設定のような実行したらすぐに完了しやすいものである。大きな仕事を前倒ししようと思えば、前述のようにかなりの意思力・集中力を持ち続けなければならないのだが、小さいタスクになると、「前倒ししよう!」と思って、そして実行したらすぐ終わる。行動した人には結果がすぐについてくる世界だ。買い物は買ったら終わり。メールは返信したら相手に届く。始めてから終わるまでのプロセスが大変に短い。

前倒しオタクへ

 こういう努力を続けていると、前倒し筋のようなものが鍛えられてくる。「実行→完了」というテンポの良さが気持ちよく癖になる。それが習慣になってくる。少なくとも私はそういう気持ちになってくる。逆に、そのような小さいタスクを前倒しできていないと、非常に気持ちが悪くなってくるようになる。
 そのような日々を数ヶ月続けると、今度は数時間から10時間ぐらいかかる、中規模のタスクも前倒ししないと気が済まなくなってくる。人間は欲張りだ。もっともっと「実行→完了」のプロセスを回したくなってくる。そういった慣性力が体に染みついてくる。私は今はこの段階であるが、さらに極めていけば、小規模・中規模タスクの前倒しで生まれた余裕から、数十時間以上かかる大規模タスク・仕事についても前倒しできるようになってくると期待している。

前倒しの筋力を鍛えるコツ

 トレーニング内容は、小さいタスクであれば何でも良い。やらないといけないことで、小さい単位の仕事やタスクは全て前倒し。いつかやらないといけないこととか、買わないといけないものなど、色々あると思う。判断基準は簡単で、「全てを前倒し」「なんでもかんでも前倒し」と考えれば良い。
 もちろん前倒しできないこともある。例えば明後日の分まで寝だめしておくことはできないし、今日の夕食を朝に食べるわけにも行かない。そういった例外を除いて、すべて前倒していく。

Toricago式 前倒しトレーニングを公開

 前倒しトレーニングで私が重視しているのが、仕事が終わってから帰宅してから寝るまでの時間帯だ。家に着くと、「ふぅ。疲れたぜ。」と脱力してしまい、「とりあえずスマホで色々チェックかな」となり、気付けばネットに一時間使ってしまっていた、ということが多かった。
 だが、帰宅してからは間髪入れずに次のリストに着手し、完了するまでは他のことは一切しない、という方式を試したら、非常に良かった。家に帰宅した直後は、実は脳も体も戦闘モードになっている。電車に乗ったり歩いたりした直後だからだ。その慣性力を使うと、リストが次々に片付いていく。結果的に、「しんどい時にもタスクを片付ける」ようになり、「もっと工夫できることはないか?」と考えるので、前倒し筋も鍛えられる。前述のように、脳が前倒しをどんどん求めるような好循環が少しずつ発生する。
 ということで、そのメニューを公開しよう。ポイントは、次の日の朝にやることを前日の晩にやるようにすれば、良いリストが作れる。なぜなら、それにより半日だけ早めることになる。次の日の朝にバタバタすることがなくなり、脳に不必要に大きな負荷を与えない。マークザッカーバーグやバラクオバマが毎朝、服を選択する時間や労力も惜しむ話は有名だが、服だけでなくあらゆることを済ませておく事ができる。これを実施すれば、前倒しの良さをすぐ実感できるようになるので、習慣化もしやすい。
 「必ずしも前倒しと関係ないのではないか?」「普通なことばかりではないか?」と思われるかもしれないが、「後でやっても良い」と思ってしまいがちな「小さいタスク」であることが、前倒し初級レベルのトレーニングのポイントであるのだ。

(リストの量としては、1時間以内に終わるぐらいが良い。あまりに充実させると、飲み会帰りなど遅い日にはリストを回せなくなる。)

 ちなみに、前倒しとは別の話として習慣の話をしたい。新しい習慣を身につけることは一般的に難しいが、私はこの方法で筋トレや瞑想を習慣化することができた。個別のやることを意識してしまうと、「色々とやらないといけない!」という気持ちになるが、「リストを片付ける」と考えればその1点だけに集中すれば良いので、複数の習慣を身につけたい場合にも効果があると考えている。

終わりに

 「前倒しできるようになりたい!」とずっと思っていた。でも、大きな仕事を前倒しするのは非常にハードルが高い。私は何度も挑戦し、失敗してきた。しかし、このように小さいことから初めて外堀を埋めていき、徐々に大規模タスク(数十時間以上かかる仕事)を前にぶっ倒していけるのではないか、と考え方を改めた。もしかしたら直接、どんどん前倒しできるスーパーマンもいるかもしれないが、凡人ライフハッカー、一般ビジネスパーソンにとっては、小規模・中規模の仕事やタスク、雑務がすべて前倒しできている状態になってから、まだ攻めてこないだろう、と思っている大きな敵(タスク)を叩きのめすのだ。
 人によって色々な生活パターンがあるので、皆さんのリストは私とは異なる内容になると思うが、前倒し力を鍛えてみたい人は是非試してみてはいかがでしょう?

追記:前倒し筋を鍛え終えたら、新年力を鍛えましょう。
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