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【首都スポ】

[バスケット]オコエ桃仁花、夢は兄・瑠偉と東京五輪 今年初めて代表入り

2018年9月18日 紙面から

練習後、笑顔を見せるオコエ桃仁花。東京五輪バスケ女子日本代表入りを目指す=味の素ナショナルトレーニングセンターで(武藤健一撮影)

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 兄よりも東京五輪に近づいているのかもしれない-。プロ野球・楽天のオコエ瑠偉外野手(21)で、バスケットボール女子の妹・桃仁花(もにか、19)=東京・明星学園高出、デンソー=が今年初めて日本代表入りした。五輪種目として復活した野球で日本代表入りを目標としているという兄とともに、2年後の大舞台を目指す期待の若手に迫った。 (平野梓)

 昨年までは到底、考えられなかった場所にいる。ことし代表デビューを果たした桃仁花は「今までにないくらい高いレベルでプレーできているし、モチベーションが上がります。東京五輪って自分の中では年齢も若いし、行けないと思っていた。けれど、ここで自信がついて目標に変わりました」と目を輝かせる。

 明星学園高(東京)を卒業してデンソーに加入したが、高校時代に痛めた左膝の治療が長引き、この年明けから戦線復帰。実戦経験を積むことができず、4月に初めて代表合宿に招集された時は「すぐに帰されてしまうんじゃないか」と不安だった。だが現在も女子W杯(22日開幕・スペイン)に向けた代表候補に名を連ねている。

全国高校バスケット桜花学園の馬瓜ステファニー(左)をマークする明星学園のオコエ桃仁花=2015年12月26日、東京体育館で(北田美和子撮影)

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 ナイジェリア人の父と日本人の母の下に生まれた。182センチの長身に当たり負けしない強靱(きょうじん)な体でセンターやフォワードを任され、代表入りしてからは得点能力にも磨きがかかった。兄・瑠偉は2015年夏の甲子園でブレークし、プロ球界へ。185センチの兄と同様、血筋にも恵まれた半生と思いきや「全然。エリートじゃなかった」と言う。

 バスケットボールを始めたのは小6のとき。それより前から習っていたフラダンスの方が好きだった。「その時は太っていて身長も小さく、運動できる体じゃないし…。動くこと自体そんな好きじゃなかった。なのに経験者の母に決められちゃって」と苦笑いする。

 地元の東村山六中は強豪ではなかったが、桃仁花の代はミニバスケ経験者が多く、3年夏に全国中学校総体に出場した。そこで衝撃を受ける。愛知の代表校にいた馬瓜(まうり)ステファニーのプレーを見た。16年に名門・桜花学園高を全国高校選抜大会(ウインターカップ、現全国高校選手権大会)史上最多の21度目の優勝に導いたエースだが、このころから注目株だった。「次元が違う。すごく大きいし強い。こういう強い選手を相手にちゃんと戦ってみたいと初めて思った」

 両親がガーナ出身で自分と同じ黒い肌を持つ逸材の、外国人のように編み込みをした髪形にも心を引かれた。「そういう外国人らしさってもっと出してもいいんだ、と。ただでさえ、私たちって肌の色で目立っちゃうじゃないですか。小さいころから目立ちたくなかったけど、彼女を見て吹っ切れましたね」。内気だった少女が徐々にプレーでも積極性を見せていく。その心境の変化が高校時代の成長につながった。

カナダ戦でシュートを放つ日本代表のオコエ(右)=8月7日、高崎アリーナで

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 明星学園高では2年春からセンターでスタメン入りした。その年の夏の全国高校総体で3位、3年時はベスト8の成績を残した。だが最後のウインターカップは予選敗退。この時から左膝が悲鳴を上げており、卒業後も響いてしまった。

 競技は異なるが、ライバルと思っている兄・瑠偉の存在は一番の発奮材料だ。母からは最近、兄が「五輪はモニカの方が近いな」と漏らしていたことを伝えられた。「うれしかったですね。私も兄の才能は信じていたんで、プロに入った時は本当にうれしかった。東京五輪に、本当に一緒に出場できたらいいですね」と朗らかな表情を浮かべる。兄と2人。夢の舞台に向けて進み続ける。 (平野梓)

◆東村山市出身19歳

<オコエ桃仁花(おこえ・もにか)> 1999(平成11)年2月7日生まれ、東京都東村山市出身の19歳。182センチ、82キロ。小学6年時に秋津東小ミニバスケットボールクラブで競技を始め、東村山六中、明星学園高を経て、2017年にデンソーに加入。今年4月に日本代表に初めて選出された。

◇桃仁花のア・ラ・カルト◇

 ●好きな食べ物「おすし。あと干し芋をトーストで焼いたのが好き。差し入れでもらうとうれしいですね」

 ●趣味「アロマオイルを混ぜてミストを作ってます。自分で手作りするのが好きなんです」

 ●尊敬する人「WNBAの選手でキャンディス・パーカー。子どもを産んで、現役でやっているところは尊敬します。パスが得意でドライブもできる。なりたい人ですね」

 ●好みの男性「自分よりも背が高くて、常識があって、人を気遣える人」

 ●妹から見た兄・瑠偉の性格「優しいし、人に気を遣える。でも急に連絡してこないでほしいな。LINE(ライン)でいいのに、いつも電話してくる。あとデンソーの寮に、スナック菓子1本を送り付けてくるというイタズラもされました」

 ●好きなアーティスト「洋楽が好きなんですけど、特に好きなのはリトル・ミックス。ワン・ダイレクションの妹分みたいな女性グループで、オススメですよ」

    ◇

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