こんにちは。ライターのルリ子(@ruricocoa)です。
新潟県の上越地方に住んでいる私は、隣の富山県が近いのでよく気分転換に出かけています。
富山は近代的な図書館やカッコいい路面電車が走っていて、私の住んでいるところからガラッと町並みが変わるんですよね。
魚がおいしいのはもちろんなんですが、新潟から来たらやっぱり富山ならではのものが食べたいわけです。
そこで足を運んだのが富山のブラックラーメン。通称富山ブラックです。
見た目は濃い口しょうゆの真っ黒なラーメンで、そこらの醤油ラーメンを想像して行くと「まじかよ…」と面食らってしまいます。
富山グルメの代表格としてテレビや雑誌でよく紹介されているんですが、どうやら富山県民のあいだでは物議を醸している問題児の模様……?
Twitterやネットでは、
「あんなのしょっぱすぎる」
「富山まで来てブラックラーメンを食べなくていい」
「富山に来たらまず寿司を食べろよ」
といった厳しい意見が並んでいます…(笑)
実際、私が富山で出会った方からもこんなことを言われました。
※注意 富山県民でもブラックラーメンが好きな人はいます。
新潟は地域によって多種多様なラーメンがあるラーメン王国で、ラーメン好きも多く、わりとどんなラーメンでも寛容な気がします。
それに比べると、富山県民は富山発祥のブラックラーメンに少し手厳しいのでは…。
果たして実際はどうなのか、ブラックラーメン発祥の店「西町大喜」さんにおじゃまして来ました!
創業昭和22年の西町大喜 本店へ
というわけでやって来たのが、こちらの西町大喜さんです。
両サイドの建物にぎゅっと挟まれるように佇む、創業当時から変わらない渋い外観がたまりません。
店内もこじんまりしているのかなぁ〜と想像したんですが、
意外にも両面カウンターで広々!
私がお邪魔している最中は、おひとりさまの男性客がひっきりなしに訪れていました。
さっそく券売機で「中華そば(並)」を注文します。
中華そばにブラックラーメンの名が付いたのは10数年前のこと。県外から訪れたお客さんがその見た目の黒さからブラックラーメンと呼びはじめ、富山のB級グルメとして全国にその名が広まっていったそう。
どん!
手切りのチャーシューの上に塩っ辛いメンマと粗切りネギ、そしてブラックペッパーがスパイスになった、このビジュアル、普通においしそうじゃない!?
麺、チャーシュー、メンマをよくスープと混ぜ合わせてから食べます。
すげー茶色い! いただきます!
ん〜!! しょっぺぇ!!
これ醤油じゃん!!
ブラックペッパーの辛さも相まって、見た目以上にパンチがある!!
これぞまさしく富山のブラックラーメン!
めしめし!!
ご飯を交互に食べると、ご飯の甘みでしょっぱさが緩和する。
いやむしろご飯がなきゃ無理!
そもそもブラックラーメンは大空襲に見舞われた富山市内の復興事業で、汗して働く労働者の塩分補給のために考えられた“ご飯に合うおかずとしてのラーメン”だったんですよ。
当時はドカ弁やおにぎりを持ち込むお客さんもいて、西町大喜 本店ではこれまでご飯の提供がなかったんですが、2015年からはようやく店内でご飯を注文できるようになりました。
私のような外から来た人間にはありがたい。
水がうまっっ!
ブラックラーメンが富山の水のうまさを際立たせている。いっそのこと、すべての席に水道の蛇口を付けてほしいぐらい。
けどメンマも自家製の極太麺もしっかり食べごたえがあるし、しょっぱいんだけど不思議とまた口に運びたくなる。醤油のインパクトに具材が全然負けてない。
富山の人に言われた「富山ブラック食べる人は病気よ!」の意味がわかる気がする。
味以外にも普通のラーメンと異なる点があるのにお気づきだろうか? そう、ブラックラーメンにはレンゲがない。スープを飲み干す必要がないのだ。
注文時にスープを薄めで頼むことも可能だが、せっかくならこの強烈なしょっぱさを味わってほしいところ。
余談だが私の来店中は店員さんの趣味なのか、ずっとバンプオブチキンが流れていた。
スープをまろやかにしたい場合は60円で生卵もトッピングできる。店長さんによると本来の食べ方ではないので、常連客や地元の人は頼まないらしい。
私はあえて別皿にしてもらい、すき焼き風に卵に麺やチャーシューをからめて食べたりもした。
邪道ではあるんですが、これはこれでウマい。
ブラックラーメンの醤油の量は?
これだけしょっぱいと、スープの原料が気になってきます。特別に店長さんに調理場を見せてもらいました。
これが数種類の濃い口しょうゆをブレンドして煮詰めたスープ。見るからに濃い。
醤油の量は「明確には言えない」とのことだったんですが、写真を見ると1杯のどんぶりにかなりの量が入っています!
インスタントの醤油ラーメンだと小袋ぐらいの量なのでこれは多い。
このあとに鶏ガラのスープも合わせます。
食べてる間はしょっぱさに気を取られていたけど、癖になる旨みの要因はここにもあったのか。
店長さんによれば、西町大喜は他店と比べて1,5倍しょっぱいと言います。
富山県民のあいだで起きているブラックラーメンの是非に対してはどう思っているんでしょう? 聞いてみました。
店長 富山にも色んなラーメンがあるからね。人それぞれ好きなラーメンがあるだろうし、特別ブラックラーメンを取り上げることに違和感を覚える人もいるかもしれない。
でもうちの常連さんはこの強烈な味を好んで週に3、4回足繁く通ってくれる人もいるんだよ。塩分を気にして食べたことがないって人にも一度は食べてみてほしいよね。
ーー 一部では西町大喜のブラックラーメンはしょっぱすぎるとも言われていますが、今後もこの味を守り続けていきますか?
店長 そうだね。昔のブラックラーメンを知っている年配の方が何十年ぶりに店に来た時に、舌が変わる事はあるにしても『味が変わったね』って言われるのは嫌なんで、昔のままやっていきたいと思ってるんですよ。
ーー たしかに。時代に合わせることは簡単ですけど、昔の味を守る店があってもいいですよね。
ちなみに新潟はラーメン大国なので、ブラックラーメンの店があったら流行る気がしているんですが、6店舗目を新潟で出すってのはどうですか?
店長 うちは富山の水や空気だからこそ出せる味だと思ってるから、富山でやることに拘っていきたいんですよね。だからそれはないと思います(笑)。
ーー 残念…!
西町大喜の強烈なブラックラーメンを味わいたければ、富山に行くしかないぞ!
取材したお店
西町大喜 本店
住所:富山県富山市太田口通り1丁目1−7
電話:076-423-3001
時間:11:00〜20:00(L.O 20:00)
定休:水曜(祝日の場合は翌日)
駐車場:なし
WEB:http://www.nisicho-taiki.com/
富山駅からは富山駅前店か、駅ナカのとやマルシェ店が近いです。
筆者プロフィール
五十川 ルリ子
フリーライター,フォトグラファー。新潟のおいしいものを発信。
アイドル好きで、SHOWROOMの視聴が日課。
Twitter:@ruricocoa
Blog:毒いちご - 新潟グルメや日々のブログです。