「がん」というと

「なってしまったら死んでしまう」
「ずっと苦しむ恐ろしい不治の病」

という印象を持っている方が多いと思います。

医療技術の進歩により、様々な病気が完治できるようになって死亡率が低下する中、がん患者は年々増加しており、CMでもやっているように「2人に1人がんになる時代」です。

2018年9月12日、日本で初めて国立がん研究センターが がんに罹患した患者さんの「3年生存率」のデータを発表しました。

これまでがんの治療成績は「5年生存率」「10年生存率」で見ていくのが一般的でしたが、そのぶん長い時間を必要とします。

今回、3年生存率を公表することで、日進月歩で進化していく新しい医療をよりリアルタイムに表すことができるということです。

その他にも、これまで公表されてきた10年生存率と新しい3年生存率をしっかり比べることで、よりがんについての理解が深まるのではないか、と思いました。

今回はこの発表されたデータをもとに考察してみたいと思います。

がんの3年生存率」から分かること


この記事で使用している画像やデータは「国立がん研究センター」からの引用になります。


発表された3年生存率のデータについて

今回、国立がん研究センターが公表したデータはがんが発生した「部位別の3年生存率」です。

全国のがん診療連携拠点病院など268施設の患者、約30万人の情報を集計したものです。

がんが発生した部位別の3年生存率

発表されたデータによると、3年生存率がもっとも高い部位から並べると、

  1. 前立腺 99.9%
  2. 乳房 95.2%
  3. 子宮体部 85.5%
  4. 子宮頸部 78.8%
  5. 大腸 78.1%
  6. 74.3%
  7. 肝臓 53.6%
  8. 食道 52.5%
  9. 49.4%

となります。

最も3年生存率が低かったのは、やはりがんのチベット(未開拓の地)とも呼ばれている膵臓で15.1%です。

一方、2018年3月、同じく国立がん研究センターから発表されたがんの10年生存率を見てみると、

  1. 前立腺 92.4%
  2. 乳房 82.8%
  3. 子宮体部 79.0%

と3年生存率と、それほど大きく変わりませんが、肺30.4%、食道28.4%、肝臓14.6%、膵臓5.0%と、これらの臓器の10年生存率はかなり低くなっています。

もちろん、3年生存率と10年生存率で同じ人を対象にしているわけではなく、様々なファクターを考慮する必要があるため、単純に比べるわけにはいきませんが、このデータからでもいろいろなことが考えられると思います。

発見しやすい「がん」と、早期発見が難しい「がん」の生存率

今回発表された3年生存率のデータを見ると、発見しやすい場所にできたがんは生存率が高いことがわかります。

①発見しやすいがん

前立腺のがん

前立腺がんの3年生存率

前立腺がんになると「排尿障害」「残尿感」「血尿」など、わかりやすい症状が表れます。

また、前立腺がんにはPSAという感度が良くてわかりやすいマーカーがあるため、検査で簡単に調べることができるのです。

乳房のがん

乳房にできるがんの3年生存率

乳房にできるがんも比較的見つけやすいがんとして知られています。

乳がんは直接触れることができる数少ないがんの一つですから、そのぶんちょっとしたなにかの拍子で見つかることも多いのです。

子宮がん

子宮がんの3年生存率

子宮にがんができたときも、「おりものの異常」や「性器からの不正出血」という比較的ハッキリとした症状が表れます。

②早期発見が難しいがん

肺がん・膵臓がん

肺がん・膵臓がんの3年生存率

一方、肺がんや膵臓がんは自覚症状が表れにくく、症状が表れたときには手遅れという場合が多いのです。

肺がんの発見ステージ別の10年生存率を紐解くとわかりますが、ステージⅠの10年生存率が63.3%であるのに対し、ステージⅡでは28.5%、ステージⅢでは13.2%と著しく低下しています。

肺がんをステージⅠで発見できた、という人は他の病気のフォローアップのために定期的にCT撮影などをしている人や検診でたまたま見つかる、といったケースが多く、狙って発見することはとても難しいと言われています。

胃がん・食道がん

胃癌、食堂がん、の3年生存率

胃がんと比べて食道がんの生存率が低い一つの要因として、内視鏡の検査で見つけにくい場所にあるというのも一つの大きな原因となっているでしょう。

肝臓がん

肝臓がんの3年生存率

沈黙の臓器と言われる肝臓も同様ですが、肝臓にがんができるまでには「肝硬変」などの経過を経ているためすでに体中はボロボロです。

手術で「全摘出できる部位」と「全摘出できない臓器」

生存率には、手術で「全摘出」できるかどうかもかかわっています。

そして、こちらは10年後生存率にも大きくかかわってくることでしょう。

現在の医療において、早期発見という面では、「線虫」によるがん検査なども2018年7月に話題になりましたが、がんの根本的な治療は、がん化した部分を完全に取り除くことだからです。

人間の体の中には様々な臓器があります。

もちろんすべて大切なのは間違いありませんが、全部摘出してしまったとしても生命に支障をきたさない臓器(部位)もあります。

①全部摘出しても生命維持可能な部位

摘出してしまっても生命維持に問題がない部位として代表的なもので、「前立腺」「乳房」「子宮」などが挙げられるでしょう。

これらの臓器を切除してしまうとQOL(Quality of life:生活の質)が低下してしまうことは事実ですが、なくなったとして生きていくことは可能です。

②全摘出が不可能な臓器

一方、10年生存率が低い「肺」「肝臓」「膵臓」は完全に切除することは困難であり、なくなると生きていくことはできません。

肺がんの10年生存率は30.4%と意外と高い気がしますが、ステージⅠで運よく発見できた患者さんが平均値を大きく上げており、ステージⅡ以降に発見された場合の10年生存率は11.1%とかなり低いのです。

まとめ

今回は国立がん研究センターが今年から新しく公表した3年生存率を10年生存率と比べてみました。

がんの部位別3年生存率を把握することで、5年生存率、10年生存率というデータだけよりもより”がん”についての理解が鮮明になったのではないかと思います。

がんの予後にはこれまで言われてきたように、

  • 早期発見
  • 完全に切除ができるかどうか

が大きな影響を与えるということが言えると思います。

これまでの医療の進化は多くの人をがんの苦しみから解放してきました。

今後さらに医療の進歩が進み、いずれはがんで苦しむ人がいなくなることを期待しています。


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