アベノミクス開始後の5年半に株価が10倍以上に大幅上昇した企業が67社ある。約2.2倍の日経平均株価を超えるこれら企業は独自の強みを構築している。コスト競争や人手不足を背景に進む人材ビジネス、先端技術での協業拡大など、日本経済の変化を映す。
(日経ビジネス2018年7月16日号より転載)
顧客は、企業の商品に何を期待しているのでしょうか。そこを明確にしないと結局間違えてしまう」
「結果にコミットする」のコマーシャルで一躍有名になったRIZAPグループ。瀬戸健社長は、運動と食事を一体にした徹底指導で顧客のダイエット目標の達成を目指すという独特の仕組みを作り上げた発想の原点をこう語る。
同社の2018年3月期の売上高は1362億円で、ここ5年間に約7.6倍、営業利益は135億9000万円で同じく約16.4倍と急成長した。そして株価は58倍となった──。
本誌は今回、安倍晋三首相が政権に復帰した12年12月26日以降のアベノミクス5年半余りの間に株価が10倍以上に伸びた企業(67社)を抽出し、その大幅上昇の秘密を分析した。米中の通商摩擦の激化もあり、足元で揺らぎも見えるが、この間、日本経済は戦後2番目の長期景気拡大となり、日経平均株価は約2.2倍に上昇した。だが、個別企業で見ると、その伸びをはるかに上回る「株価10倍企業」がある。これらの企業群はいったいどんな強さを持ち、日本経済のどのような変化を映し出しているのだろうか。
冒頭のRIZAPはランキング1位。その最大の特徴は、大々的な広告戦略を通じて「顧客の目標を必ず達成する」という印象作りに成功したことだろう。「やせたいと思っていても、多くの人は途中で“挫折”する。でも我々は一緒にゴールを目指して達成する」と瀬戸社長。「結果」へのこだわりを強調することで、従来のフィットネスジムとの違いをアピールしてみせた。
順位 | 社名 | 倍率 | 時価総額 (億円) |
株価 (円) |
---|---|---|---|---|
1 | RIZAPグループ | 58.0 | 4408 | 1602 |
2 | ディップ | 57.6 | 1588 | 2859 |
3 | 北の達人コーポレーション | 51.4 | 1115 | 798 |
4 | ペッパーフードサービス | 50.2 | 979 | 4710 |
5 | リミックスポイント | 49.6 | 660 | 1158 |
6 | 夢の街創造委員会 | 47.9 | 997 | 2461 |
7 | 日本ライフライン | 40.3 | 2126 | 2644 |
8 | マルマエ | 38.3 | 163 | 1372 |
9 | ジャパンマテリアル | 30.4 | 1771 | 1726 |
10 | エスプール | 29.2 | 215 | 1363 |
11 | アウトソーシング | 28.1 | 2053 | 2013 |
12 | トリケミカル研究所 | 26.8 | 343 | 4395 |
13 | エムビーエス | 23.9 | 133 | 1835 |
14 | 平田機工 | 20.6 | 878 | 8230 |
15 | ベクトル | 20.5 | 1081 | 2344 |
16 | シーティーエス | 20.0 | 500 | |
17 | レカム | 19.8 | 199 | |
18 | GMOペイメントゲートウェイ | 19.1 | 4736 | |
18 | フルキャストホールディングス | 19.1 | 1024 | |
20 | インフォマート | 19.0 | 1669 | |
21 | SAMURAI&J PARTNERS | 18.9 | 132 | |
22 | グリムス | 18.7 | 232 | |
23 | UTグループ | 17.5 | 1672 | |
24 | 寿スピリッツ | 17.0 | 1774 | |
25 | リンクアンドモチベーション | 16.9 | 1450 | |
26 | ヤーマン | 16.8 | 1075 | |
27 | 日本商業開発 | 16.7 | 330 | |
28 | アドテックプラズマテクノロジー | 16.6 | 139 | |
28 | ビリングシステム | 16.6 | 185 | |
30 | イー・ガーディアン | 15.9 | 312 | |
注: 対象は全上場企業。第2次安倍内閣発足の2012年12月26日から18年6月27日までの株価上昇率を高い順にランキング。時価総額100億円未満は除く。株価と時価総額は2018年6月27日終値
出所:大和証券の資料を基に本誌作成
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