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異世界で交換日記してた元女勇者レベル99が、リアルで彼女になりました。 作者:SchwarzeKatze

リノンの試験

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…そういえば、異世界にシャワーはあるのだろうか?

「二人ともご飯よ~。」


シルビィの返事がないまま、夕食の時間になった。


「「は~い!」」


リノンも心配そうな顔をしている。


「ご飯とお風呂終わったら、リノンの部屋に集まろうか?」

「…うん。」


そういって、僕たちはリビングに向かう。


「二人とも、席について!」

「うわぁ…今日はごちそうですね!」

「そうよ、リノンの前祝ね!」

「…まだ合格と決まったわけでは…。」

「リノンなら、大丈夫よ!」


母さんがリノンを励ます。

…まぁ、落ち込んでる理由はほかにもあるけど…。


「「いただきます!」」

「リノン、今日の試験はどうだった?」

「はい、現代社会以外は何とか…。」

「社会は今のリノンにとっては難しいかもね。

焦らずに覚えていけばいいよ。」

「ありがとうございます。」


今度は父さんから。

みんな、試験が気になるようだ。


「あ、これおいしいです!」

「それは鳥のから揚げね!」


少し暗かったリノンに明るい表情が戻る。

ご飯の力って偉大だな…。


「「ごちそうさまでした!」」


ご飯を済ませて僕は部屋に戻り、お風呂の準備をする。


「…。」


風呂場まで来て、今までの事を思い出す。

いつも風呂場でリノンとバッティングしてたし…。


「コンコン!」


ノックをしてみる。

返事がない。


「リノン?」


これまた返事がない。


「入るよ。」


僕は思い切って入ってみることにした。

リノンが居ないことを祈って…。

脱衣所は空だった。

その代わり、シャワーの音がする。


「あ、ゴメン!!」

「ユウスケ?」


今度は返事があった。


「ユウスケ、そこに居て…。」


リノンが心細そうに声をかける。


「どうしたの?」

「シルビィが心配で…。」


リノンはシャワーを浴びながら言う。

…そういえば、異世界にはシャワーなんてあったのだろうか?

などと、余計な思考にとらわれる。


「ユウスケだけがエンカウントするなんて、おかしいし…。

こんなに返事が遅かったこともなかったから…。」


リノンは続ける。

なんだかんだ言っても、シルビィの事が心配らしい。


「リノン、心配しても仕方ないよ。

もしかしたら、戻った時に日記に

何か書いてあるかもしれないし。」

「…そうね…。

心配しすぎかもしれないし…。」


少しだけ、リノンが元気になったような気がする。

シャワーの止まる音がして…。


「ガラ!」

「じゃあ、ユウスケ、私の部屋に行こ!」

「…。」

「…。」

「うわっ!」

「きゃうん!」


リノンはその場にへたり込む。

僕は慌てて外に出る。


「み~た~な~!!」

「いや、今のはリノンが悪い!!」


低い声でうなるリノン。

…さて、今日僕は眠れるだろうか…。


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