9月13日(木)、“今最も愛されているWEBマンガ”を読者投票で決める「WEBマンガ総選挙」の結果発表が行なわれました。
トップ3の『四十七大戦』『うらみちお兄さん』『おじさまと猫』をはじめ、女性ファンの多い作品が上位に並ぶなか、皆さんは“明らかにほかの作品とは異なるオーラを放つ作品”があるのに気づきましたか? その光景は、マカロンやパンケーキにまじって、背脂ギトギトのこってりラーメンが鎮座しているかのよう。
その作品のタイトルは、『セレベスト織田信長』です。
『セレベスト織田信長』は、ジェントルメン中村さんがリイド社のWebサイト「リイドカフェ」にて連載しているバトルコメディ漫画。財団法人「第六天魔」会長・織田信長を主人公に、セレブの中のセレブ=セレベストたちが究極の贅沢を競い合う姿が描かれています。
読者投票で入賞作品を決める「WEBマンガ総選挙」。そこで上位にランクインしたということは「熱いファンがたくさんいる」ということなのですが、今回初めてこの作品を知った方も多いかもしれません。
そう、実はこの作品、「かなり読者を選ぶ漫画」なのです(このあたりも背脂ギトギトのこってりラーメンに似ていますね)。
どハマりして熱烈なファンになる人が多い一方、クセが強く、誰にでも気軽にすすめられるタイプの作品ではありません。「面白いポイント」と「苦手だと思われやすいポイント」が表裏一体になっているのです。SNSには「セレベストをおすすめしたらフォロワーが減った」なんていう悲しい報告もあるとかないとか……。
かくいう私も、人にすすめられて『セレベスト織田信長』第1話を読んだとき、「これはちょっとキツいな……」と思った一人でした。しかし読み進めるうちにどハマりし、今や信長の口癖を真似して盛り上がる立派な“セレベストファン”となっています。
そこで今回は、“セレベスト”未経験の方のために、比較的ソフトなシーンをピックアップしながら、『セレベスト織田信長』の魅力をご紹介したいと思います。
『セレベスト織田信長』に登場するのは、織田信長、伊達政宗、徳川家康、卑弥呼といった歴史上の偉人と同じ名を持つ“セレベスト”たち。世界有数の企業を経営し、莫大な資金と権力を持つ彼らは、“最高の贅沢”を追求するとともに、ほかのセレベストたちを“おもてなし”することで屈服させて、「セレベストの最高峰」となることを目指しています。
▼「ホッコリ」という効果音に全く似つかわしくない暑苦しい絵面。裸の中年男性の登場率が異常に高い作品でもあります。右が主人公の織田信長。
本作では、そんなセレベストたちの贅を尽くした日常や“おもてなしバトル”の数々が展開されるのですが、それらが読者の想像の遥かに上をいくぶっ飛んだスケールなのです!
いくつか具体例をあげてみると
・「ミロのヴィーナス」の彫刻(本物)を漬物石にして、きゅうりの漬物を作る
・甲子園決勝を翌日に控える高校球児の坊主頭を使い、ロッククライミングをする
ほかにも「屋敷を燃やして暖を取る」「“山ノ毛線”全線を貸し切って車内で仮眠を取る(その間一般市民にはタクシー乗り放題券を配る)」「最高級干しアワビ製の入れ歯をつける」など、もはやスケールが大きいのか小さいのかわからないようなのもありつつ、とにかく我々の想像の上をいく贅沢が次々に登場します。
この感覚は、いわば小学生男子的。おバカさあふれる奔放なアイデアが、頭の固くなった私たち大人を「次はどんな贅沢をするんだろう?」とわくわくさせてくれるのです。
『セレベスト織田信長』で描かれる“おもてなしバトル”には、基本となる「お約束の展開」があります。
①信長がいつも通り贅沢な日常を送っていると、
②そこに“おもてなしバトル”を挑むセレベストが登場
③相手の“おもてなし”を受ける信長
④信長は“おもてなし”を楽しむうちに理性を失い、屈服しそうに……
⑤反撃! 自らのおもてなし力を見せつけ大逆転
⑥みんなホッコリ
一度はピンチなのかと思わせておいて、最後は大勝利するワンパターンともいえる展開には、まるで「水戸黄門」を見ているときのような安心感があります。
その安心感を支えているのが、信長の圧倒的な強さと器の大きさ。
信長は相手のおもてなしを拒否することなく、100%受け入れ、臆することなくそれを心から楽しみます。そのうえで格の違いを相手に見せつけ、敗北を認めさせ、最後には相手を虜にしてしまうのです。
相手に敬意を払い、相手の魅力を最大限引き出してから、圧倒的な強さで倒す。堂々とした王者の戦いっぷりは、プロレスの試合を見ているよう。負けた相手もむしろ満足そうで、とても爽やかな読後感を与えてくれます。
『セレベスト織田信長』は、セリフが面白いのも魅力です。実は作者のジェントルメン中村さんは、ラッパーとしても活躍しているそう。作品でもそのスキルが遺憾なく発揮されており、思わず口にしたくなるセリフがバンバン登場します。
それに華を添えるのが「ルビ(ふりがな)」。「上等だ!!(ハイ・クラス)」「贅沢(ラグジュアリー)」「小僧(ボーイ)」といったわかりやすいものから、「東海の独裁者(トウカイテイオー)」「東海(ラテン)の血が騒ぐ」「奥手で内気(トゥーシャイシャイボーイ)」のような“そうきたか系”まで、天才的なルビセンスが、作品のおかしみを増幅させています
ぜひ皆さんも、ジェントルメン中村さんの“ルビ芸”を堪能してみてください。
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このほか『セレベスト織田信長』には、かっこいい女性キャラクターや、妙に愛らしい動物など、見どころが満載です。
たしかに、食欲がなくなるような描写も時々ありますが(笑)、それを上回る魅力とエネルギーにあふれた作品だと思います。勇気を出して読んでみたら、ひょっとすると“生涯の一作”になるかもしれない怪作です。
そして最後に紹介するのが、ジェントルメン中村さん自らが制作した「だろォ~セレベスト織田信長のテーマ~」。手作り感あふれるPVに、『セレベスト織田信長』の魅力がぎっしり詰まっています。まずは、試し読みとあわせてこちらもぜひご覧ください。
なお今回、「ほんのひきだし」をご覧の皆さんのために、ジェントルメン中村さんが『セレベスト織田信長』のイラスト入りサイン色紙を書いてくださいました! さすが“おもてなし”を知り尽くした中村さん、素敵なおまけもつけてくださっています。くわしくは【明日公開の記事】にて!
〉『セレベスト織田信長』ジェントルメン中村のサイン色紙&CDが当たる!Twitterフォロー&RTキャンペーン開催中
©ジェントルメン中村/リイド社