特典映像がほぼスピルバーグの仕事ぶりのドキュメンタリー風だったということ。
特典映像は5項目くらいに分けられていて、1時間以上あったと思う。
全部にスピルバーグが写っていて、後世の人がこれを見たら、彼の仕事ぶりがとてもよく分かるというようになっている。
彼は三百人以上の人々が動く巨大なプロジェクトを精力的に取り仕切り、それぞれ伝説になるだろうスタッフたちの偉大な仕事ぶり(あの衣装担当の女性とかカメラマンとか美術担当の人とか)、なにより、スタッフたちは、スピルバーグのためにものすごく頑張っている、そういう感じがビンビン伝わってくる。
役者たちも同様で、それは端役の人にいたるまで、短期間で人物の徹底リサーチをしている。
メリルとリサーチを競争した誰か(忘れた)が、メリルに負けたと。(70才のメリルに負けても、それはおかしくない。彼女がアクターズスタジオに出演した時言っていたのだけど、自分は直観像記憶の持ち主だ、と。だから頭は悪いけど大学に行けたのよ、みたいなことを話してた。)
で、スピルバーグはメリルとトムには一切指示を出さなかったらしいが、他の俳優に指示している様子が写っていた。
それと、ほぼ一回撮りという彼が珍しく人差し指を立てて、「もう一回」って言ってる様子が写ってた。
彼が言ってるのだけど、「本物のニクソンの声を使えて良かった。全部、本物だから」と。(ウォーターゲイト事件の録音テープ、多分公表されたやつかな?)
わたしはニクソンの映画、2つくらい見ていて、結構同情してたのに、がっかり。
現場のトム・ハンクス が面白かった。みんなを笑わせたり、元気付けたりとても闊達。
この映画の予備知識や評論は深爪さんのところを読むといいです。
で、メリルが演じたキャサリンのこと。わたしは彼女の話を知ってたんだよね。本を読んだのか、ドキュメンタリーをみたのか覚えてないけど。
わたしはメリル・ストリープは「クレイマークレイマー」 がものすごく好きで、後は別にぃ、って感じなんだけど、歳を取ってからの彼女はなにせ演技がうますぎて生々しくないというか(上手く言えないけど)、でも、この映画でおもいだすのは、彼女のシーンなんだよね…。
徹底的にリサーチしたというので、キャサリンを知っている人が見たら、「ああいう人でした」と言うんじゃないかと思う。なにせ、就任して、2年後くらいの出来事だと思うし、えらい実業家たちから相手にされてないのは映画の通りだったと思う。彼女は、息子に新聞社を残したくて就任したんだろうけど、あの決断は、全てを失う可能性があったわけで、息子に残すどころの話ではなく、刑務所に入れられるかもしれなかった。
やっぱり、メリルの演技を見て、彼女の決断というのは、ただただ、「良い事をしよう、みんなのためになる事をしよう」、そうゆうものだったんだと確信した。
メリルの作り出したキャサリンを見る限り、聡明だったかもしれないけど、まったく、普通のお母さんでおばさん!
そういう人が下した決断だったんです。
はじめての金融関係者たちとの会議。勉強していて知っているけど、そもそも相手にされていないので、小さい声で言っても聞いてもらえない。あのキャサリンの顔…。
時間が経つと思い出して、わたしの(でかい…小さい)胸がズキッ。
「ポルト」、まだ消えない。くそぉ。ドキュメンタリータッチのざらついた画面の中で浮浪者になってしまった哀しいアントンがチラつく。
気を取り直して、TVドラマの「クリミナルマインド」を見る。
S2(11話 )「殺人衝動」。たぶん、はじめてアントン・イェルチンを見たのがこれ。強烈に印象に残ってる。
Dr.リード(彼目当てでクリマイ見てる)がT・Sエリオットを読む。
思想と現実の狭間、
衝動と行動の狭間に影がさす。