シャルティアが精神支配されたので星に願ったら、うぇぶ版シャルティアになったでござる   作:須達龍也
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段々難産になってくる。勢いがかげってきたのだろうか…

だが、まだ日刊継続だ!

感想にて、シャルティアがパンドラズ・アクターのことを知っているとのご指摘を頂きました。
おかしい、読んだはずなのに、なぜ見落とす…


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「私も、そうされるのが宜しいと思います」

 

 

 

 ある種の死刑宣告を受けたと言うのに、むしろその言葉を喜んでいるかのように、シャルティアは優雅に微笑んだ。

 

「聞いてもいいか?」

「もちろんでありんす」

「私の結論はお前には酷だったはずだ。…だが、お前はむしろ嬉しそうに見える。なぜなのか、それが知りたい」

 今居る自分よりも、別の自分を優先する。そんな言葉を、どうして受け入れることができるのか、アインズには理解できなかった。

 

「この世界のアインズ様が、この世界のシャルティア・ブラッドフォールンを優先して下さる。妾にはその事がとても嬉しいことでした」

 

 シャルティアは本当に嬉しそうに、そう答えた。

 

「逆の立場になった場合、向こうの…いえ、妾のアインズ様が妾ではなく、別の世界の妾を優先されたならば…いえ、もちろん、その事に反対するつもりはありません。

 ですが…

 

 

 …ただ、それはすごく、さびしいです」

 

 

 さびしいような、切ないような、はにかんだような、透明な笑顔だった。

 

「そうか、理解した」

 ごっちゃにしていたのは、こちらだけだったのだ。

 このシャルティアにとっては、ここは自分の世界ではないのだ。似ているだけで、あくまでも異世界に過ぎないと知っている…わきまえているんだ。

 

 そのシャルティアの覚悟に、アインズも覚悟を決めた。

 

「シャルティア、武装とアイテムを再び所持状態に戻しておくのだ」

「ですが、これらのアイテムは…」

「世界が違っても関係ない。それらのアイテムはお前の為にペロロンチーノさんが与えたものだ。つまり、お前が持っておくべきものだ」

 世界が異なろうと、親の愛の前には関係ない。

 

「宝物殿に行くか」

 

 

 

 宝物殿へ向かうメンバーは5人だった。

 宝物殿に、…いや、その領域守護者に用があるアインズにシャルティア、そしてそれに同行する形で新たに加わった者が、ユリ・アルファにシーゼットニイチニハチ・デルタ…略してシズであった。

 最後に強硬に同行を主張したアルベド、以上の5人だった。

 

 転移した先の光景に、皆が…一人だけ無表情ではあったが、感嘆のため息をつく。それは、ついこの間もここに訪れたことのあるはずのアインズも例外ではなかった。

(ギルド運営コストとして稼いだ金を放り込みに来た時は、ただの数字データでしかなかったが、こうしてリアルな財宝で見ると、壮観だな)

「…すごい」

「…ん」

「…数値では知っておりましたが、すごいですね」

「…すごいでありんす」

 NPCからの思わず出たと思われる賛辞に、気を良くしながらも、オヤ…と思ったので問いかける。

「シャルティアも初めて来たのか?」

「はい。初めてでありんす」

「では、パンドラズ・アクターという名前はどうだ、聞いたことはあるか?」

「はい。名前だけは聞いたことがあります」

「私も、守護者統括の知識として知ってはおりますが、会ったことはありません」

 向こうのシャルティアも、こちらのアルベドも会ったことはないようだ。

 

 さて、果たしてこれは、向こうでもひた隠しにしているのか、それとも向こうには居ないのか、どっちなのだろうな。

 

 最後の逡巡を振り払って、アインズは領域守護者と対峙する覚悟を決めた。

 

 

 

(…あー、やっぱりやめておくべきだったか…)

 

 沈静化と共に、ここに来て何度目かの思いにふける。

 意味深にタブラさんの姿で登場し、元の姿に戻った後も、いちいち仰々しい。うざい、ださい、恥ずかしい。三拍子そろってしまっている。会ったばかりなのに、もう帰りたい。

 アインズのTHE黒歴史、厨二心が詰まった、ぼくのかんがえたさいこうにかっこいいきゃらであるパンドラズ・アクターであったが、その優秀さはアルベドやデミウルゴスに匹敵する。

 特に宝物…アイテムに関する知識では、ナザリックでも一番であろう。元より、それを期待して…色々なものを捨てて、ここへとやって来たのだから。

「世界級アイテムの”傾城傾国”ですか」

「そうだ。それについて、お前はどれだけ知っている?」

「ナザリックにて保有しているアイテムでしたら全ての知識を持っておりますが、”傾城傾国”はナザリックで保有したことがございません。

 その為、アインズ様より与えられた知識以上のものは、持っておりません」

 

 ある意味予想通りの答え。

 

「アイテムの発動条件は不明。効果対象の精神支配が可能。

 はっきりと言えることは、この程度になります」

 アインズの知識以上のものは得られなかった。

「その精神支配を打ち消す方法として考えられるのは、そのアイテムの奪取…所有権をこちらに移すことでしょう」

 その程度のことは、教えられなくても理解している。

 

「…ただ、確実とは言い切れませんが…」

 

「可能性があることならば、全て言え」

 逡巡するパンドラズ・アクターの背中を押す。

「精神支配無効能力を持つものでも精神支配可能。なるほど世界級アイテムと言われるだけの能力です。

 ですが、その効果対象人数は何人なのでしょうか?」

 アインズが顎の動きで、続けるように指示する。

「…無制限? …さすがにそれほどの能力だったならば、二十に数えられているはずでしょう。通常の世界級アイテムの枠を超えております。

 では、数十人? 数人? …私の考える世界級アイテムの定義から考えると、そう多くはないでしょう」

「お前の考える、世界級アイテムの定義とは何だ?」

 そのアインズの問いに、パンドラズ・アクターが大袈裟なポーズをとる。普通にうざい。…だが、我慢する。

「一つ、破格の能力。そして、もう一つ。

 

 簡単には使用できない、心理的制限」

 

「ふむ」

 一理あった。

 世界級アイテムは、ほぼ全てがぶっ壊れ能力を持っている。

 そして、それゆえ、逆に、簡単に使用するのはためらわれる、制限がかかっている。

 それは超級にぶっ壊れ性能な二十にも存在する。使用回数が一回のみという、心理的制限が。

 

「私が考えるに、精神支配可能対象人数は一人のみ。…多くとも二人でしょう」

 

 パンドラズ・アクターがそう断言した。

 

「…となると…」

 

 パンドラズ・アクターが綺麗に一礼する。

 

 

 

「次に連中が別の相手にアイテムを使用する。ただそれだけで、シャルティア嬢の精神支配は解かれると思われます」




傾城傾国の効果、多分に捏造が混じってます。

このSSではこうしていると、割り切って考えてくれるとありがたいです。

確か絡みがなかったから、知らないはずだ…思い込みって、怖いですね。
前の話にも書きましたが、こういうミスをしでかすので、ご指摘頂けると幸いです。






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