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【大相撲】

稀勢、横綱相撲には程遠くても、何とか1敗死守 初日以外は苦戦

2018年9月16日 紙面から

千代の国の土俵を割ってからの投げであおむけになる稀勢の里(手前)(伊東昌一郎撮影)

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◇秋場所<7日目>

 (15日・両国国技館)

 横綱、大関は安泰。稀勢の里(32)=田子ノ浦=は攻めあぐんだが千代の国を寄り切り、連敗を免れて6勝目を挙げた。白鵬(33)=宮城野=は遠藤、鶴竜は正代を退け、ともに7連勝。高安も玉鷲を下して7勝目。豪栄道は1敗を守り、大関かど番の栃ノ心は5勝目。大関とりの御嶽海(25)=出羽海=は土俵際の逆転で貴景勝を下した。平幕では北勝富士が7連勝。

    ◇

 横綱相撲には、ほど遠かったかもしれない。それでも、稀勢の里が踏ん張った。何度も千代の国に突き起こされては、いなされて揺さぶられた。上手投げは右足1本で我慢した。最後は、左下手で引いたまわしを離して体ごと寄り切り、遅れて出た相手の投げで土俵上にあおむけ。6勝目をもぎ取り、何とか1敗を死守した。

 「まあ、しっかりやることをやった」

 悲鳴が優勢だった苦戦の中でも、前半戦を支えてきた重い足腰は健在だった。取組直前、土俵下に控えていた横綱の間近に、191キロの千代大龍が押し出されて落下するアクシデントも。右脚の膝から足首をさするようにして心配させたが、突き押しに後退する場面もなく、いなしに体勢を崩されることもなかった。場所前から「体を作ってきた」とこだわってきた頑健な足腰で、連敗のプレッシャーを力強くはねのけた。

 親方衆が問題視したのは、攻めの組み立て。八角理事長(元横綱北勝海)は、頭からぶつかる立ち合いに「気合が入ってるんでしょ」と評価しつつも、詰めの場面から「最後は膝が突っ立っていた」と課題を挙げた。

 土俵下で見守った藤島審判部副部長(元大関武双山)は「辛抱したという見方もある。てこずったという見方もできる。申し訳ないけど、千代の国相手にあれだけの相撲を取っているのは問題」とぴしゃり。「全体的に上ずっている。もっと下から攻められれば右も使える。早く圧倒的な強い勝ち方を見てみたい。そうなれば次のステップを踏める。初日以外は苦戦。内容で稀勢の里らしさを見せてほしい」と期待も込めて分析した。

 再スタートか、と問われた横綱は「う~ん」と間を置いてから、かすかにうなずいて「明日、しっかり集中していきます」。横綱相撲に近づけば、進退問題クリアがおのずと見えてくる。 (志村拓)

笑顔で観戦するテニスの大坂なおみ(左から3人目)

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◆女王なおみ つかの間スー女

 大坂なおみが秋場所7日目の取組を観戦した。全取組終了後には日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)と歓談。相撲協会広報部によると「とても楽しかったです」と伝えたという。

 大坂はもともと大相撲に興味があったという。一躍スターとなった20歳の女王が客席に姿を現すと観客は席から身を乗り出し、携帯電話のカメラを向けた。八角理事長は「優勝おめでとう」と祝福し、握手を交わした。理事長自身が北海道出身で、大坂の祖父が北海道根室市に住んでいることに触れ「根室にはよく行きます」と、言葉をかけた。

 

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