“イスラエル経由、世界行き”。世界のトップを目指す“サムライ“。榊原健太郎氏インタビュー

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榊原健太郎氏
1974 年愛知県名古屋市出身。関西大学社会学部卒業。97 年日本光電工業株式会社 入社。2000 年株式会社アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)入社。01 年株式会社インピリック電通(現電通ワンダーマン) 入社。02 年株式会社アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)復帰。07 年 グロービス経営大学院経営研究科入学。08 年Samurai Incubate Inc.設立。主にスタートアップと呼ばれる事業を立ち上げて数ケ月以内のベンチャー起業を包括的に支援するインキュベーター。

2014年5月に日本を飛び立ち、サムライインキュベートinイスラエルを立ち上げた榊原健太郎さん。実は榊原さんとは、なでしこベンチャーサミット(サムライベンチャーサミットの女性版)を私が運営していたご縁で親睦があり、今回はイスラエルの情勢やIT事情などに対しての榊原さんの本音に迫ることができました。

イスラエルは人口の3分の2が起業家。まさに「次世代のシリコンバレー」

杉本「榊原さん、お久しぶりですね! イスラエルは、いかがでしょうか?」

榊原「いやー本当に鍛えられましたよ」

杉本「精神面ですか?」

榊原「そうですね、情勢が安定していないのもそうなんですが、物流や、不動産が大変で。家を借りてからもう3カ月経ちますけど、まだポストの鍵がもらえていないし、窓が壊れている、ドアの鍵が壊れている、お願いしてから1週間はこない。連絡もない(笑)。テクノロジーは最先端なのに、進んでいる部分とそうでない部分のレベルの差が激しいですね。あと、外食は高くて、マックの普通のセットは1200円です」

杉本「高い! でも、そんなイスラエルに、榊原さんはなぜ拠点を置くことにしたのですか?」

榊原「Facebook、Google、Appleと、その創業者の起源を追っていくと、実はイスラエルやユダヤ系の方ばっかりですよね。僕は今40代で、最速で世界をとりたいんですよ。もう人生が半分しかない。だったら、直接学べばいいんだと思いました」

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イスラエルでの榊原氏の様子

杉本「なるほど、活躍している方が多いですよね」

榊原「そうなんですよ、イスラエルの名物は、起業家! 人口350万人中200万人は起業家で、『次世代のシリコンバレー』と呼ばれ、世界から注目されているんです。それ以外の人は、政府や移民で商店をしている人たちですね」

杉本「人口の3分の2ですか! 国全体がまさにベンチャーですね。榊原さんは、イスラエルへは、チームでいったんですか?」

榊原「1人です。イスラエルに住むパートナーのジャパンイノベーションセンターの岡田一成さんにフルサポートいただきながら、まずは、家を借りて、サムライハウスを借りて、全然買い物する場所がないから、IKEAに6回ぐらい通って…(笑)。それから会社を作るための銀行口座開設して。家賃や食事に消費税18%かかるんですが、それが一部キャッシュバックがあるってことも、つい昨日知りましたよ(笑)。何か手引きがあるわけじゃないから、イスラエルに来てもこんな苦労はしなくて済むように、マニュアルを作っているところです」

日本企業としてのミッションを全うしたい

杉本「開拓してますね。榊原さんはイスラエルに行く前にこんなことを書いていましたけれど、新しいことに挑戦することが、怖かったんですか?」

榊原「Samurai House in イスラエル設立に、ぶっこみます! 僕らとしては、SSI設立以来の大きな資金のぶっこみです。正直、めちゃんこ、怖いです。『なんで、わざわざ遠い天王洲アイルなん? 誰も来ないんじゃない?』って、たくさん、ご助言いただいたのSSI設立時に似た怖さです。“できるできないでなく、やるかやらないかで世界を変える”。これがサムライインキュベートのミッション。僕らは、今後も、どんなに、怖さがあろうとも、そのミッションに従い続けます

イスラエルという場所を選んだのも、それに繋がっています。英語で話しかけたれたら、英語で話せないじゃないですか。そういう風に日本と異なる環境で、すぐに相手の思いに応えられないんじゃないかって怖さがありました」

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日本出発前にサムライのメンバーと

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イスラエル到着後

杉本「今は、英語は話せるようになりましたか?」

榊原「VCさんとのMTGとか、日常会話は。1年いたら話せるようになると思いますね。英語をできる人って、いかに言いたいことを知ってる単語で置き換えて、伝えられるかってところだと思うんですよ。専門用語がでてこなくても、要は内容が伝わればいいんで」

杉本「通訳はいないんですね」

榊原「いないです。でも、『近く来たんで遊びにいっていいですか?』とサムライハウスにくる若者に、助けてもらったりもしています。英語が話せるようになりたければ、英語のMTGをとにかく入れたらいいんですよ。わからないところは、あとで辞書で引いて調べて。あとは、バイリンガルの動画もみていますね」

杉本「東京にいるときより、時間的な余裕ができたんですか?」

榊原「前よりもかなりできましたね。今は、毎週金曜日に日本とのMTGを1日20件入れています。そこでキャッチアップしている感じです」

杉本「20件もすごいですけどね! ちなみに、今はサムライハウスには人がは増えたんでしょうか?」

榊原「今は増えて、数名はこちらで起業予定です。イスラエルに行って1ケ月後、こちらがちょうど、情勢が不安定になりましたが、でも若者は結構くるんです(笑)。今や、日本企業が数少なく本当にラストサムライですよ(笑)」

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イスラエルの海

国連でスピーチをして、ノーベル平和賞を受賞したい

杉本「え、ラストサムライ!? 安全なんですか?」

榊原「僕は、むしろ戦争を止められる力を持ちたいと思ってるんですよ。Kentaroが言っているから仕方ないな、やめようっていうぐらい。3年後は国連でキング牧師みたいに『I Have a Dream』ってスピーチをしているイメージ、持っています。いつも想像してますよ。それから、僕は死ぬまでにノーベル平和賞を受賞したい」

杉本「ノーベル平和賞の話、以前からされていますよね? 三味線屋の内向きな子だった榊原さんが、インキュベーターになって、みんなに自信をつけてもらう、はわかります。でも、紛争を止める、ノーベル平和賞をもらう、っていうところまでは、なかなか想像がつかないんですが…男のロマン?」

榊原「そうです、ロマンです。世の中の何十億の人に、『こいつがいたから、世の中が変わった』って世界中で認められて死にたいんですよね。まあ、ただの目立ちたがり屋ですよ(笑)。でもね何かをなし得たいなら、人を巻き込む力はつけたほうがいい。こんな僕でも、……っていうと家入さんの本みたいだけどね。こんな僕でも、全然頭が良くない僕でもリスクをテイクすると、周りに人が集まってきて、前に進むんですよ」

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サムライハウスinイスラエルオープニング

杉本「今後のイスラエルでの構想は、ありますか?」

榊原「今は、日本人だけで起業するのではなく、イスラエルの天才的な技術者と一緒にチームを作って、最初からチームの状態でイスラエルの方から学ぶスタイルで、投資をしたいです。あとは、日本とやることは同じです。年間200件のイベントをして、3年以内に1000人規模のイベントをすること」

杉本「ラストサムライになっちゃ駄目ですものね(笑)」

榊原「そうですね(笑)。イスラエルも落ち着いてきましたし、みんなサムライになろうってことです。サムライハウスのオープニングで、『Kentaro、せっかく日本とイスラエルの架け橋になりにきてくれたのに、こんなことになってごめん』ってみんなに謝られたんですよ、僕。実際、イスラエルの人ってめちゃくちゃいい人ばっかりで、なのになんで、紛争って起きちゃうんだろうな、って。

イスラエルの北部の町にある超硬切削工具メーカーのイスカルでは、雇用を生み出し、宗教、人種関係なく一緒に働いてうまくいっているところがあって。そういうの目指していけたらいいな、と。

宗教とか、バックボーンとか、人種とか関係なく、僕は、最速でビジネスで世界を変えたいんです」

榊原さんは「僕は頭が良くないから、誰よりも動いて動いて動き回る」とよく言います。勢いがあってすごい人だとはもちろん思っていましたが、言葉だけではなく行動で表現するからこそ、榊原さんが若いベンチャー起業家に支持されているのだと思う取材となりました。今後のイスラエルでの展開が本当に楽しみです。

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イスラエルの首都・エルサレムでの落書き

(杉本綾弓)