年金がどう運用されているか知っていますか
巨大なクジラ「GPIF」の知られざる実像
20歳以上のすべての人にかかわる、公的年金。あきらめ気分の人を除けば、気にならない人はいないでしょう。多くの人が気にするのは、「将来、自分は年金をもらえるのか?」「毎月の保険料はいくらか?」という2点です。ファイナンシャルプランナーのテキストにも、年金の入り口と出口については書かれているのですが、その中間、払った保険料がどうなっているか、詳しい解説はあまり書かれていません。
私が「払った年金保険料はその後、一部運用されている」という話をすると、「え!そうなの?」と驚いた反応をする人が少なくありません。その年金運用について、呪文のように言われているのが、「GPIFはESGを重視し、オルタナティブ投資もしている」。一般の人にしてみるとチンプンカンプンかもしれませんが、この意味を解説していきましょう。
運用されているのはどのお金?
毎年、誕生日のおよそ2カ月前に届く「ねんきん定期便」。50歳以下は今まで払った保険料に対する年金が、50歳以上は今と同じ条件で60歳まで保険料を払ったら、将来にもらえる年金が載っています。
これを見ると、私たちの年金は自分で積み立てた分を将来受け取る「積立方式」と思いがちですが、日本の年金制度は年金を受け取っている人に集めた保険料を仕送りする「賦課(ふか)方式」です。つまり、保険料がすべて将来のために運用されているのではなく、現役世代から退職世代に仕送りされて残った一部が「積立金」として運用されています。
厚生年金の財源の年金の内訳は、およそ2割が国庫から、7割が現役世代の保険料から、1割が積立金からです。受け取っている年金のすべてが、現役世代からの仕送りではありませんし、すべてが積立金の取り崩しでもありません。現在の積立金の総額はおよそ160兆円! 日本株の時価総額ランキング1位のトヨタから順に10位までの銘柄を足してもおよそ100兆円、2018年の国家予算がおよそ97兆円ですから、まだ余裕でおつりがくるくらいの大きな額です。