シャルティアが精神支配されたので星に願ったら、うぇぶ版シャルティアになったでござる   作:須達龍也
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この話の方向をどうするか
決定するのにちょっと難産でした。


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「いえ、そこからはあまり参考になりそうにないので、もう結構ですよ」

 

 

 

 バッサリだった。

 

「きーーーー!!!!」

 一人地団駄を踏むシャルティアをよそに、アルベドとデミウルゴスは今後の予定について相談を行っていた。

「あー、シャルティア、私は聞いてやるからな、うん」

「アインズ様!」

 もう参考にならないとデミウルゴスに言われたのに、それでも聞いてくれるというアインズに、シャルティアがキラキラとした眼差しで感謝をささげる。

 むしろ参考にならないなら、気楽に聞けるなと思ったアインズには、そのキラキラな感謝は逆につらかった。

「そうそう、帝国の舞踏会にも誘われんした」

「ほう、さっきの貴族の娘に習ったのかな」

「そう、アルシェに習いんした。アインズ様はすぐにダンスを習得なさりんした」

「ほほう」

 アインズにダンスのスキルなどない。レベルも100であり、別の職業を取る余裕もない。そのアインズがダンスのスキルを取得できたという話は、実に興味深い。

「帝国の舞踏会に参加するアインズ様と妾。会場中の注目の的でした」

 

「なんであんたがアインズ様のパートナーなのよ」

 

「妾がナザリックで一番美しく、アインズ様の正妻でありんしたから」

 キャッと頬を染めて言うシャルティアに、イライラするアルベド。

「ま、まあまあ、アルベドはいないらしいですし、アウラはまだ子供、シャルティアしかいなかったのは事実でしょう」

 アルベドがこっちに来たからか、デミウルゴスも会話に参加する。

 おいおい、お前ら話し合いはいいのかよ…と、他人事のようにアインズは思った。

「帝国の全ての貴族が見つめる中、アインズ様のリードで踊る妾…最高の時間でありんした」

 恍惚の表情で、シャルティアが述懐する。

「グギギギ…」

「アインズ様が皇帝と連れ立って、挨拶回りに行っていた際に、愚かな貴族が妾に声をかけるなどという、不埒を行いんした」

「…そのまま愚か者同士で、どっかに行ってしまえ」

 ボソッと呟くアルベドの呪詛に対して、シャルティアが余裕でニンマリと笑う。

「困り果てていた妾の様子を察して、アインズ様が舞い戻って来てくれたのです。

 

 更に、妾を抱き寄せて、その胸に掻き抱いて下さって…」

 

「なっ!」

 

「更に更に、アインズ様が、これは俺のものだと宣言して下さって」

 

「はぁっ!」

 

「本当に、夢のような時間でありんした」

 

 ほぅ…と恍惚のため息をつくシャルティアの姿は、嘘と断言するには、あまりにリアルで、嫉妬のあまり、ぶち殺したくなった。

 ちなみに、実際はともかく、シャルティアの中ではそうなっていた。

 

「さて、他には何かあるか?」

 

 アインズは話を変えるために、話を進めた。

「他にはですか…そうですね。アインズ様が帝国の学園に通われてました」

「学園にか?」

 舞踏会はわかる。貴族だからな、必要だ。…だが、なぜに学園?

 

(行きたかったのかな、学園…)

 

 向こうのアインズが何をしたいのか、よく分からなくなった。

「それで、学園で何をしていたかわかるか?」

「すみません。妾は連れて行ってもらえんしたので、よくわかりません」

「ふむ、ではその後はどうだ?」

「申し訳ありません。妾の記憶はそこまででございます」

 

 WEB版シャルティアの記憶は、そこまでのようだった。

 

 

 

「さて、どうするかな…」

 

 それは特に問いかけでもなんでもなく、ただの独り言だった。

 

「もうこちらのシャルティアの用は、済んだのではありませんか?」

 

 アルベドが怖いセリフを返してくる。用済みって、極道かよ!…いや、もっとやばい組織だった。

 助けを求めるように、チラリとデミウルゴスを伺う。

 

「私も、正直複雑な心境です」

 

 デミウルゴスが、そう切り出した。

「自分がシャルティア…こちらのシャルティアの立場になったと考えると、別世界の自分が代わりを務めていたとしても、精神支配されたままで置かれるというのは、…イヤですね」

 そのデミウルゴスの言葉に、アインズも納得する。

 

 代わりに異世界のあなたがやるから、あなたはいらないよと言われても、納得はできない。

 

「…ですが、今、こうして、ここにいるシャルティアの立場になったならば、本来の自分に戻したいから、消えろと言われるのは、…納得しかねるでしょうね」

 

 あなたはこの世界の人間ではないから、この世界から消えろ、自分の世界に帰れ、…そう言われても、自分は今ここに居るんだ。…そう思うわな。

 

 

 特に、こちらの世界の、このアインズこそが自分だと思い始めている俺には、とっとと現実に帰って、鈴木悟に戻れと言われても、…そう、困る…な。

 

 

「心情的にはどちらも選べませんので、私としてはナザリックの利益という観点からのみ判断したいと存じます」

「ふむ」

「正直申しまして、こちらの世界のシャルティアと今のシャルティア、ナザリックの戦力という意味では、あまり変わらないでしょう。

 で、あるならば、シャルティア復活にかかるユグドラシル金貨5億枚、…正直、痛いですね。それでナザリックの財政が傾くわけではありませんが、決して少ない額ではないです。特に現在ユグドラシル金貨を効率的に増やす算段がついていない以上、その出費は避けるべきだと判断致します」

 アルベドを見る。

 アインズの視線を受け、アルベドがふー…と息をついた。

 

「デミウルゴスの言が正しいでしょう。

 危険性と言う意味では処断したほうがいいと考えますが、ユグドラシル金貨5億枚をかけるほどかとなりますと、そこまでのものではないと思われます」

 

 アルベド、デミウルゴスの意見が出揃った。

 そんな二人の意見を聞いても…自分の事を言われているのに、シャルティアは喜びもしなければ、悲しみもしない…普通だった。

 どんな結論でも受け入れる。そんなことは当たり前だと言わんばかりだった。

 

「…シャルティアよ、結論としては、保留となった」

 

 アインズのその言葉に対して、シャルティアはかしこまりましたと頭を下げた。

 

「ただ、だからと言って何もしないと言うのは、こちらのシャルティアに対してあまりに申し訳がない」

 

 アインズが言葉を続ける。

 

「シャルティアの精神支配を解く方法、殺す以外のその方法を探す。

 そして、見つかったならば即座に実行する。…その結果、今のお前がどうなるかは…悪いが無視させてもらう」

 

 アインズが迷わずに、そうキッパリと言った。

 

 

 その、死刑宣言とも取れる…残酷な言葉に対して、シャルティアはむしろ微笑んで、頭を優雅に下げた。

 

 

 

「私も、そうされるのが宜しいと思います」




なりゆきにまかせ、アインズ様に結論を任せてみました。

皆様にはこの結論はどう受け止められたでしょうか?






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