【大相撲】稀勢、連勝5で止まる…いなされ体勢崩す2018年9月15日 紙面から
◇秋場所<6日目>(14日・両国国技館) 進退を懸けて初日から白星を重ねてきた稀勢の里(32)=田子ノ浦=は、千代大龍(29)=九重=のいなしに崩されて土がついた。白鵬(33)=宮城野=は差し違えの際どい勝負で正代を退け、鶴竜は玉鷲を突き出してともに6連勝。高安も魁聖を下して勝ちっ放し。大関昇進を狙う御嶽海(25)=出羽海=は豪栄道に屈して初黒星を喫した。 不完全燃焼の初黒星となった。稀勢の里が左から踏み込んだ立ち合い、千代大龍は自慢のかち上げを出してこなかった。突き押しに応戦すると、相手はあっさり後退。釣られたように突っ込んだところを、いなされた。土俵際、上体が起き上がり、しかも半身では万事休す。あっさり押し出されて土俵下へ。座布団が舞う中、口元を真一文字に結んだ。 痛い1敗で金星を配給したが、組み負けたわけでも、5連勝を支えてきた粘りが陰ったわけでもない。取組後の支度部屋では「明日は明日で」と切り替えを強調。「うん」と声を上げ、自らに言い聞かせるように「またやっていきたいですね」。しっかり前を向いた。 周囲も、今後に響く一番ではないという見方で一致している。八角理事長(元横綱北勝海)は「稀勢の里は悪くなかった。頭からいっている。いなされて、流れに乗っちゃった感じ。前に出られたから、そのままいったけど。ま、明日からでしょ」とサバサバと振り返った。 結びの一番を、勝負審判として土俵下から見守った師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は「攻めようという気持ちは出ている。上体が上がったまま前に出てしまった。これからの方が大事。修正できると思う」と、先を見据えた。 報道陣を遠ざけた支度部屋、横綱は浴衣を羽織る前に立ち合いを確認するような動きを見せ、力強くうなずいた。8場所連続休場明けで試練の場所となるのは、誰よりも分かっている。 7日目に迎え撃つ千代の国とは、過去1勝1敗。昨年九州場所では不戦敗、初顔合わせだった同夏場所では、何度も土俵際に追い込まれながら粘り、最後は押し出した。強気の挑戦者は、攻めの姿勢を貫くのにはこれ以上ない相手。必ず立て直す。 (志村拓)
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