学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、大阪地検特捜部が迫田英典元国税庁長官を任意で事情聴取していたことが2日、関係者への取材で分かった。財務省近畿財務局と学園が売却交渉を進めていた当時、迫田氏は同省理財局長で、背任容疑などで告発されている。特捜部は国有地を約8億円値引きして売却した経緯などの説明を求めたとみられる。
問題となっているのは学園が小学校建設用に取得した大阪府豊中市の国有地。近畿財務局は2016年6月、鑑定評価額から約8億2千万円と見積もった地中のごみの撤去費用を差し引いた1億3400万円で学園に売却した。
しかし、近畿財務局が売却に至る過程で国土交通省大阪航空局に対し、撤去費の見積額を増やすよう要請した疑いが浮上。問題が発覚した17年2月には、理財局職員がごみの撤去について虚偽の説明をするよう学園側に持ちかけており、値引きの正当性に疑問が指摘されている。
迫田氏は17年3月、国会で「理財局長当時、この件について報告を受けたことはない」と関与を否定。「政治的な配慮をするべくもなかった」として政治家の働きかけを否定していた。
特捜部は17年、迫田氏らが不当な安値で国有地を売却し国に損害を与えたとする背任容疑などでの告発を受理。これまでに財務省や近畿財務局の職員から任意で事情を聴いており、迫田氏にも改めて国有地売却の経緯や認識について説明を求めたとみられる。
一方、特捜部は国有地売却に関する決裁文書の改ざん問題でも、迫田氏の後任の理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官らから任意で事情を聴くなど捜査を進めている。
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