意外にマジメだった! LIG社長にブログのバズの狙いを聞いた

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(プロフィール)
岩上貴洋(いわかみ・たかひろ) 株式会社LIG代表取締役社長 (写真右)
1983年生まれ。学生時代、モバイルマーケティング、ITベンチャー企業数社に参加する。在学中からアーリーステージを対象とした独立系投資会社にて、投資業務、コンサルティング業務に従事。 2007年、株式会社LIG創業。

高遠和也(たかとお・かずや) 株式会社LIG取締役最高技術責任者 (写真左)
1983年生まれ。大学卒業後、Javaプログラマーとしてのキャリアをスタート。 その後C#やCurlでの開発に携わった後、PHP、JavaScriptなどを使ったエンジニアとしての活動を開始。インフラからフロントエンドまで幅広い開発経験を持つ。2007年株式会社アストロデオを創業。LIGと合併後、2012年より現職。

自社ブログを作ることで、会社の雰囲気がクライアントさんに掴んでもらえる

HRナビを見ている人なら恐らく知らない人のほうが少ないだろう会社、それがLIG。これでもか、というくらいソーシャルでもバズっている。しかしながら、LIGはメディアの会社ではなく、トップページでも「東京都上野にあるWeb制作会社」と謳っている。一見「面白い会社」「メディアの会社」と思われがちだが、実際には、ディレクターがいてデザイナーがいて、そしてエンジニアがいる、れっきとした制作会社なのだ。今回はこれまであまり語られてこなかったLIGのエンジニアにスポットを当て、LIGの代表取締役社長である岩上貴洋氏と、最高技術責任者である高遠和也氏にインタビューをしてみた。前編では、岩上氏に自社メディア(LIGブログ)とメディアの将来を聞いた。

――はじめにLIGについてお聞きします。貴社はメディアを運営している企業という印象を受けますが、制作会社でブログを持つ意味とは何でしょうか?

岩上:LIGは今年で8期目を迎えました。この会社は私が23~24歳の時に作った会社です。LIGは「Life is Good.」の略で、この社名の通り「楽しく生きたい」と思っていて。でも、それを実現するにはお金が必要ですよね。起業した当初は、代理店から仕事をいただいたり、エンジニアの会社からデザインだけを受注したりしていました。その中で、LIGとしてしっかりとした組織やコンセプトを考えようとした時に、やはり直接クライアントからお仕事を取らないと次のステップに行けないと思ったんですね。そこで直にクライアントからお仕事をもらうにはどうすればいいのかを考えました。SEOでもないし、リスティング広告でもない。スタートアップの時期ですからお金もありませんし、都度支出するのではなく「資産」が持てるようにWebマーケティングの手法でやりたいなあと思うようになりました。そこでブログを書き始めたというのが最初のきっかけですね。

実はLIGのブログの8割は「真面目系」ネタ

――どういう会社かというトーンや雰囲気が伝えられるサイトを作ることで、クライアントからのお仕事をもらえるようにしたというわけですね。今、記事はどのくらいあるのでしょうか?

岩上:今は2200~2300記事くらいでしょうか。よく「LIGのブログは面白いですね」と言われるんですけれど、実際のところ、ネタ系とかお笑い系の記事は全体の1割~2割くらいなんです。残り8割は真面目系(「PHPer必見!最強PHPerになれると噂の『新言語Hack』を試してみよう! 」など)で、PHPなどの技術系の記事をポストしています。こういう技術系の記事って、企業のWeb担当者さんが読むんですよ。なので、直接クライアントにリーチできるんですね。ただ、技術系の記事だけだと爆発力と言いますか、スパイスが無いので、そこにお笑い系の記事を入れたらいいかなと思ってこの割合で記事を投稿しています。

――その施策の結果はどうですか?

岩上:Google Analyticsを見ていても、検索流入は右肩上がり。お笑い系の記事がある時はやはりポコンと跳ねますね。それだけだと継続力が無いですが、跳ねた後はアクセス数の全体的なベースが上がっている感じです。つまり、1割の面白コンテンツで集客しているというわけですね。

「LIGと一緒に何かをやりたい」と思ってもらえることが、良いコンテンツを生む

――貴社の面白コンテンツはSNSなどでバズっていますよね。

岩上:Web担当者さんにリーチする際、自動的に検索してくれる人もいれば、タイムラインに流れてきたものを目にするという受動的な人もいます。この受動的な人にどうやったら刺さるのかを考えると、面白コンテンツのほうが圧倒的にリーチする人数の幅が広いですし、SNSでも共感されやすい。共感というのがSNSでは非常に重要なファクターだと思っています。あとはWeb制作をやる時に、「この会社と何かやりたい」と思ってもらえるのが大切です。制作はチームでやるものですし。「LIGと一緒に何かをやりたい」と思ってもらえることが、結果的には良いコンテンツが作れるのではないかなと思っています。

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「サイトを作れる人」と「拡散できる人」の両輪を大切に

――では、今後のLIGの自社メディアは5年後、10年後にはどうなっていきたいのかお聞かせください。

岩上:LIGの自社メディアに関しては、現在月間250万PVくらいなのですが、これをできれば月間1000万PVくらいまで大きくしたいです。「LIGはメディアを作れるし、プロモーションもできる」というところを示したいですね。Web業界は波がありますから、今はどの会社もプロモーションの一環としてオウンドメディアを運営していますが、将来的には無くなってしまうかもしれません。でも、LIGはプロモーション手法のノウハウを蓄積しているというところは残していきたいです。弊社には60人のスタッフがいて、うち30人が制作(デザイナー、ディレクター、エンジニア)で、20人がメディア運営をしています。制作部として「サイトを作れる」、メディア部として「拡散できる」という両輪があれば、受注したサイトの立ち上がりは早くなるのではないかと。この「作れるチーム」と「広げるチーム」をそれぞれ高いレベルまで育てていきたいですね。

インタビュー後編はLIGを支えるエンジニアの仕事に迫ります。