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【プロ野球】

北海道に野球が戻った 震災後初の札幌D試合でハム逆転勝ち

2018年9月15日 紙面から

募金活動をする(右から)日本ハムの栗山監督、オリックスの福良監督ら

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◇日本ハム4-3オリックス

 日本ハムは0-1の4回、清宮が押し出し四球を選んで同点、鶴岡が中前に勝ち越し打を運んだ。鶴岡は6回には左前に適時打。ロドリゲスが6イニング1失点で2勝目を挙げた。オリックスは9回に1点差に迫ったが、反撃及ばなかった。

    ◇

 北の大地に野球が帰ってきた。投手が投げ、打者が打つ-。その一挙手一投足にやんややんやの大歓声。当たり前と思っていた風景が、この夜だけは特別に見えた。

 「普段は『気持ちで打つ』って、僕はないと思ってました。でも今日は気持ちで打ちました」。勝ち越しを含む2本の適時打を放った日本ハム・鶴岡は胸を張った。

 最大震度7の大地震から8日。被災地が復興へ向け大きな一歩を踏み出した。「節電という中、ナイターをやって良いのかなという思いはあった。野球ができる喜びを感じてプレーしたかった」。スタンドには勝利の凱歌(がいか)が響き、万雷の拍手。これを見たベテランは、チームの思いを代弁した。

「共にがんばろう北海道」の横断幕が掲げられたスタンドで、勝利を喜ぶ日本ハムファン

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 勝利への思いは細部にも宿った。1点を追う4回1死一塁、中田は遊ゴロ。くしくも折れたバットも同じ方向へ飛んでいった。安達は一瞬、スローとなり併殺を狙ったが、一走・近藤、打者・中田の全力疾走でオールセーフに。「誰が打っても良い。すべては勝てば良い」と中田。その後の逆転劇につながり栗山監督も「ああいう一生懸命な走りが勝ち切ることにつながる」とうなずいた。

 試合前には急きょ撮影された動画が大型ビジョンで流された。全選手、首脳陣が映し出され、代表して選手会長の中島とキャプテンの中田がメッセージを送った。中田は「北海道のファンの皆さまの大きな温かさに包まれ、このグラウンドでまたプレーできる幸せを今全員でかみしめています」と語り、最後に「微力ではありますが、今日を復興へのプレーボールとすることを誓います」と締めくくった。「9・14」。逆転Vへの道はここから始まる。 (土屋善文)

◆特別な日

 ▽日本ハム・清宮(4回1死満塁から同点の四球を選ぶ)「特別な日だということはチームで共有していた。勝てたのが一番良かった」

◆栗山監督ら募金活動

 試合前には札幌ドームのオープンテラスで栗山監督、中田、中島、上沢、有原が義援金の募金活動をした。オリックス側からも福良監督や増井が参加し、ファンひとりひとりとハイタッチをして募金を呼び掛けた。

 栗山監督は「早くみなさんが普通の生活に戻れるように願うしかない」と話した。

◆節電20%で営業

 道内の電力供給不足を受け札幌ドームは、20%の節電を行った。右翼と左翼の後方にひとつずつ設置されている大型ビジョンのうち左翼側は使用せず、場内の照明も減灯。

 さらにコンコースでは出店の看板の明かりが消されるなど、通常より省エネ営業となった。自家発電設備も利用し、2011年の東日本大震災後の開催とほぼ同じ節電体制となった。

 

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