経理って基本的に頭かたいと思われてるのか、あんまり話を聞いてもらえないんです。
特に月次の報告なんてまずみんな聞いてない。
まぁ別に僕はそれでもいいんですよ。
人と話すことは好きではないしそれも含めて経理という仕事が好きなので。
ただし最近はどうしても会議に出る機会が増えて、そうも言ってられなくなりました。役員さん方との雑談も多いわけです。
こういう時って何の話をしていいか分からない。
でも会社の数字の話なんて彼らは聞き飽きていて、それ系の話をしてもどうせツマラナイ奴と思われるわけです。
なんかちょっと残念だなと。
他社企業の話とかするとすごい喜ぶ
最近になって企業分析の書籍を読んでいます。
今までは決算書なんてみたところで全く面白くなかったんですが、こういった本に出会ったことで決算書を今までとは違う目線で見れるようになりました。
決算書の数字にはストーリーがあるんです。
それでここからが大事なんですが、こういった本に書いてあることをサラッと雑談の場で言うと「こいつ、結構知ってるやん」となるわけです。
これがまあとっても気持ちがいい。
楽天の話が出たら大勝利
例えば雑談で楽天の話が出て、役員さんが
「楽天市場はあんなにポイントばら撒いちゃって大丈夫なの?儲からないよね?」
とか言い出したりしたらもうこれは大チャンスです。
「ポイントは完全に撒き餌なんですよ。楽天市場はだいたい店舗から7%近い手数料とってるんでこれだけのポイント還元は正直いって割に合わない。
でもポイント目当てに楽天カードを作ってもらえれば何もしなくても楽天は勝手に分割やリボ払いの利息売上がガンガン入ります。
それにクレカって1回それに決めたらなかなか他にかえないじゃないですか?これもデカいです。
1円でも安かったら他にいくショッピングサイトとは違うんですよ。
FinTechは意外と息の長いビジネスで、楽天の狙いはそこなんです。」
↑以上めっちゃ得意げに早口で
こんな話をするとオジサンたちは凄く興味深く聞いてくれるわけです。会話も盛り上がります。
そうなると、今度は違うおじさんが「楽天の株持ってるけど…」みたいに話が続きそして今度は楽天の「のれん」の話へと移行します。
みんな「のれん?何それ?」ってなるからそこでまた場も盛り上がったりするんです。
決してドヤってはいけません。
あくまでサラッと雑談に混ぜていくわけです。
話が面白くなる経理の本をご紹介
上の知識は全て本の受け売りです。
そして実のところ楽天に未来があるかどうかについてはどっちでもいいんです。
でもさっきみたいな話をするとハッタリがきくんですよね。こいつ面白い事いうやんみたいに偉い人に思われるわけです。
となるとどうなるか。
今までは何を言ったところで相手の心に届いてなかった自分の言葉ですが、向こうから僕に話をふってくれるようになります。
「君はどう思う?」
とかもきかれたりするんです。"なんちゃって池上彰みたいなポジションの確立"。仕事が楽しくならないわけがないだろうと。
この記事ではそんな
・話を聞いてもらえないと嘆く経理の人
・ちょっと人より賢く見せたいんやって人
に対しておすすめの2つの書籍を紹介します。是非一度手にとって存分に語ってきてください。
東大式すごい決算書の読み方
東京大学の現役大学生が書いた企業分析の本です。
実際の企業の決算書を材料としながらも独自の切り口で企業の儲けのカラクリや未来の予想について書いています。
僕が特に面白かったのはサイバーエージェントの戦略についての話です。
電通儲からない。サイバー儲かる。何故か?
言わずと知れた電通ですが、意外と儲かっていないことを知っていますか?営業利益率は3%もありません。
それに対して広告事業でめっちゃ儲けてる会社があります。それがサイバーエージェント。
基本的に両者の本業は広告代理店。なので広告を出したい企業と広告を出すメディアをつなぐ仕事だということに変わりはありません。
ではなぜ、サイバーエージェントは儲かっているのか。気づいた方もいるかもしれませんが「Amebaブログ」のおかげです。
ほかの広告会社とは違ってサイバーエージェントはこの場所に自分の好きなように広告が出せるわけです。
月間数億PVを誇る自社コンテンツにお金を支払わずに広告が貼れる。
これがサイバーエージェントの強みです。
Abema TVが赤字でも本気出す理由
そしてそんなサイバーエージェントですが今あえて赤字を出しながら続けているビジネスがあります。
皆さんも一度は見たことがあるかもしれない「Abema TV」です。
年間200億の赤字を出して事業を続ける意味なんてあるの?なんて話はよく話題になりますがこんな夢のあるビジネスってなかなかありません。
だって考えてみてください。
ブログという媒体ですらサイバーエージェントは同業他社を圧倒的に引き離す営業利益を手にしたわけです。
これがもしテレビで同じことが起きたなら…。
広告業を根底から揺るがすほどのチャレンジをサイバーエージェントはしているわけです。
このほかにもサイバーエージェントの
・健全すぎるほどの財務体質
・ベンチャー企業を乱立させる意味
についてこの本には書かれています。
ネットフリックスやフェイスブックといった今を彩る米国企業や大学生らしい居酒屋ビジネスに対しての考察も見所がありました。
ニトリの平均年収の裏側とかも・・。
MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣
元楽天の執行役員で現在はアメリカで起業をしている方が書いたビジネスの本質を見抜く書籍です。
本の題名に「決算を読む」とありますがまったくもって会計の知識は不要です。
各章ではいくつかの今HOTな業界の構造を理解すると共に、そのビジネスモデルの中で重要視すべきリアルな指標の紹介をして各企業の今を比較しています。
僕が特に面白かったのはFinTechビジネスの話です。
クレカってどうやって儲けてんの?
今や生活になくてはならないクレジットカード。
自分は楽天カードを使っているんですが、1%のポイントが付くのでなるべくならカード払いを心がけています。
ただクレジットカードを使っていて、こんなこと思ったことありませんか?
「どれくらいカード会社は手数料とってんの?」
本書にはそのリアルな数字がかかれています。
また読み進めていくと、カード会社が一番力を入れている部分が分かります。
それがあの悪名高きリボ払いです。
利用者がその仕組みに気付かなければ、延々と打ち出の小槌のように生まれ続ける利息収入。
こんなに割りのいい商売はありません。
そう…。何かを犠牲にしてもいいと思うほど。
楽天はECビジネス(楽天市場)でポイントをばら撒き続けることにより、着実にカード発行枚数を増やしていき他のサービスの波及も促しました。
いわゆる楽天経済圏もその一環です。
ヤフーショッピングを持つYahooも何とかそれに追随をしていく姿勢が見えます。
ECビジネスとFintechの親和性は非常に高いんです。
ZOZOTOWNがFinTech??
ECビジネスとFinTechの可能性は無限大です。
その一例としてZOZOTOWNが新たなFinTechを生み出したこともこの書籍にはかかれています。
それが”つけ払い”です
・これのどこがFinTech??
・ただ新しい買い方増やしただけじゃん
そう自分は思っていました。
しかしこのサービスは1回あたり324円の手数料がかかります。
ツケ払いの上限金額は54,000円。ですがZOZOTOWN利用者の購買平均額は1万円ほどです。また2ヶ月以内に購入者はお金を支払う必要があります。
つまりこのサービスを利用してもらうことでZOZOTOWNは擬似的な金貸しによる金利収入を得ているともいえるんです。
「お客さんに払われなければ意味なくない?」とも考えましたがツケ払いの与信審査は別会社となるGMOペイメントにより行われます。
これがまぁ割と厳しい。
またZOZOTOWNは衣服を届けるサービスです。どうしても住所がバレるので未回収の危険性も低くなります。
そしてツケ払いの導入によりZOZOTOWNは数百億円規模の売上UPも達成しました。
まさに一挙両得です。
この本の面白い点は、カード会社のテークレートにしてもZOZOTOWNのつけ払い売上にしても、あくまで企業が発表しているわけではないということ。
しかし著者自身が開示された決算書をもとにその数字の推測をしているんです。だからこそ表面的ではない業界や企業の本質が分かります。
まとめ
(この本も大企業没落の理由が分かって面白いです)
2つの本を紹介をして僕はいろいろ思ったわけですが難しく見える会社の決算や損益もこういう切り口で話をしたらみんな面白いんじゃないかなと。
たとえば「あの会社は自己資本比率何%」とか「営業利益率が高い」とか数字だけ言っても多くの人には届かないわけです。
じゃあ決算書を見ることは意味ないのか?って言われたらそれはぜんぜん違いますよね。
みんな「数字」を「知識」にできていないだけ。
その数字には理由があり物語がある。そしてみんなそれを聞きたいと思っている。
自社の決算なら尚更です。
僕が今回紹介をした本は、あくまで企業の決算書がベースに展開がされています。。
ただし今まで数字の羅列だけだと思われていた決算書に対してその本当の読み方そして伝え方を教えてくれます。
AI進化が叫ばれる中で、今後の経理のキモは絶対この部分。是非経理の方は本を手にとってみてください。
また紹介をした書籍は財務や会計の知識の本ではありませんが「経理のおもしろさ」がわかるエッセンスがふんだんに盛り込まれています。
現在経理でないけれどこの業界に興味があるなんて人がいれば一度読んでみてはいかがでしょうか。