商品が必要になったらいつでもどこにでも来てくれる無人店舗。外出先からスマホで商品を注文すれば帰宅時に駅まで届けてくれるデリバリーサービス。自動運転車の実用化によって、未来のショッピングが便利になりそうだ。

ネットショッピングの台頭によって、買い物の体験や、私達のライフスタイルは大きく変わった。欲しいものはいつでも簡単に購入でき、直接自宅に届けてくれる。とはいえ、日常生活に必要な消耗品などは無くなったらすぐにでも補充して使いたいだろう。人はいつでも注文したい商品が決まっているわけでもなく、陳列された商品を見ながら手に取って確認して買いたいことも多い。すべての買い物をネットショッピングで済ませる、というわけにはいかないだろう。

一方で、日本は過疎化によって、買い物が不便になっているという側面がある。地方のみならず都会でも、歩いて行ける範囲にスーパーマーケットなどの店舗がないケースさえある。車を使って買いに行かなければ生鮮食品などが手に入らない買い物難民の課題は、すぐには解決されそうにない。また、自然災害によって避難生活が長引いている被災者支援を考えると、必要な物資を必要なタイミングで届けることも重要である。

このような背景から期待されるのが、自動運転による移動型店舗だ。その実用化に向けた試みが国内外で進められている。取り組みの例を見ていこう。

生鮮食品を運んできてくれる自動運転ワゴンショップ

2017年創業のスタートアップRobomartが発表したのが、野菜や果物などの生鮮食料品を運んでくる完全自動運転の無人型移動販売店舗「Robomart」だ(写真1)。ワンボックスカーのような外観を持つRobomartの側面には、スーパーマーケットの食料品売り場のように野菜や果物を陳列する冷蔵システムが搭載される。陳列スペースは約2立方メートルで、50~100品目の食品が置けるという。Robomartの最大スピードは時速40km程度で、連続走行距離は約130kmとなっている。

(写真1)自動運転で生鮮食品を届ける無人型移動販売店舗「Robomart」
(Robomartのホームページから引用)

利用者は近くで走行しているRobomartを専用アプリで探し、場所を指定して呼び出す(図1)。Robomartが到着すると専用アプリで操作してドアを開け、商品となる野菜や果物を取り出す。利用者が商品をバッグに入れるなど購入する様子がカメラで認識され、事前に登録した支払い情報に従って精算される。

(図1)Robomartを呼び出す専用アプリ
(Robomartのホームページから引用)