ボクシングのWBCバンタム級指名挑戦者決定戦が11日、東京・後楽園ホールで行われ、同級10位の井上拓真(22)=大橋=が同級3位マーク・ジョン・ヤップ(29)=六島、フィリピン=に12回判定3-0で勝った。兄のWBAバンタム級王者“モンスター”井上尚弥(25)が声援を送る中、5回にダウンを奪い、その後も打ち終わりへの左フックがさえて文句なしの判定勝ちをものにした。
12戦全勝(3KO)とした井上拓は「作戦通り。左フックはずっと練習していた。世界への切符を手に入れられてよかった」と汗をぬぐった。
世界戦実現は早くて来春。ジムの大橋秀行会長によると、現在空位のWBC王座は10月中に1位と4位が王者決定戦を行う予定。新王者はまず現2位と対戦、井上拓はその勝者と指名試合を行うという。
「理想を言えば、尚弥が出ているワールドボクシングスーパーシリーズ(WBSS)バンタム級の決勝と同じ日に拓真の世界戦もできたら」と同会長。WBSSはWBC以外の3団体王者が参戦、優勝者は統一王者になる。井上尚が優勝し、井上拓がWBCベルトを奪えば、兄弟で同級メジャー4団体のベルト独占となる。井上拓は「これから守備、集中力を磨いて一発で世界を取りたい」と世界へ照準を合わせた。 (藤本敏和)