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【大相撲】

稀勢、鼻血が口元まで 血染めの4連勝

2018年9月13日 紙面から

寄り切りで魁聖(左)を下す稀勢の里(神代雅夫撮影)=両国国技館で

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◇秋場所<4日目>

 (12日・両国国技館)

 8場所連続休場明けで進退が懸かる横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=は、苦しみながらも平幕魁聖(31)=友綱=を寄り切って全勝を守った。鶴竜(33)=井筒=が豊山(24)=時津風=を押し出し、白鵬(33)=宮城野=は千代大龍(29)=九重=を上手投げで下し、ともに4勝目。3横綱の初日からの4連勝は1989年春場所(北勝海、千代の富士、大乃国)以来、29年ぶり。大関とりの御嶽海(25)=出羽海=は関脇対決で逸ノ城(25)=湊=を押し出して4戦全勝。

      ◇

 血染めの4連勝だ。土俵際の逆転で2、3日目と白星を拾った稀勢の里が、1分近くの大熱戦に苦しみながらも得意の左四つの攻めから、魁聖を寄り切った。進退が懸かる試練の場所、横綱相撲の土台がようやく整ってきた。

 けんか四つで差し手争いが注目された立ち合い、横綱があっさり左を差したものの、右上手が遠い。左四つで組み合い、魁聖に先に両まわしを許したが慌てなかった。

 相手の上手を切り、1枚まわしながら右上手を引きつけ、ほぼ同時に左下手もガッチリ。そのまま、207キロの巨漢を土俵の外へ。振り返ると、鼻血が口元にも広がっていたが、まったく気にせずに鬼気迫る表情で勝ち名乗りを受けた。

 「まあ、一つ一つね。やっていきたいと思う」。過去11番全勝と合口の良い相手に手を焼きながらも、得意の形に持ち込んだ。周囲からも前向きな声が相次いだ。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「稀勢の里が重かったのかな。自分の左四つだから。今場所は結果だからね」。一番を土俵下で見守った藤島審判副部長(元大関武双山)も「最後は自分の形になって勝ったから、良い内容じゃないですか」と評価した。

 痛々しく見えた流血も、プラス材料だ。部屋関係者の「もともと鼻の粘膜が弱くて。全力を出し切れたんでしょう」という言葉が物語る。8場所連続休場、さらに直近3場所全休という崖っぷちから、目いっぱいアクセルを踏み込んだ証拠となった。

 「まあ1日一番、集中して明日やっていきたい」。初日から繰り返している締めの言葉を合図に報道陣を遠ざけると、付け人と話しながらわずかに笑顔を見せた。まだ前半戦。それでも少しずつ、土俵でも気持ちの上でも明るさが出てきた。 (志村拓)

 

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