アイマスにおける格差について

はじめに

SS3Aが楽しかった。おかげで喜多日菜子が非常に気になっている。

そんなシンデレラガールズであるが、SSR4週目やスシローの報酬などでまた声付き・声待ち問題が再燃している気がする。

階級間格差の問題は元々マルクス経済学をメインにやっていた自分にとってはかなり身近な話題なので今回は「格差」をテーマにシンデレラガールズおよびミリオンライブ!を研究する。

 

格差の指標-ジニ係数

ジニ係数(ジニけいすう、英: Gini coefficient)とは、主に社会における所得分配の不平等さを測る指標である。
Wikipediaより

 基本的には所得分配の不平等ということだが今回は参加楽曲数およびSSR実装数の不平等について計算していく。ジニ係数の計算はローレンツ曲線という曲線を基にしているが計算過程を説明してもわかりにくいのでとりあえず図を使って説明すると下の図のようになる。

 

図1.ミリシタSSR実装枚数を元にしたローレンツ曲線

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この図はミリオンライブ!のミリシタSSR実装枚数を元にしたローレンツ曲線である。あいにく図の作成時期が少し前(限定まつりガチャ)なので桃子と真美のSSR実装は反映されていない。とはいえ値自体にはそこまで影響を与えないので許してほしい。

 

オレンジ色の線が完全に平等な状態でのローレンツ曲線で、青色の線が実際のローレンツ曲線である。そしてジニ係数オレンジ色の線青色の線囲まれた領域の面積×2になる。
それではこの線がなにを示しているのかというと、各アイドルをSSR実装数が少ない順に並べて、それを累積分布として表したものである。
わかりやすく説明すると横軸の%が下から何%までに入るアイドルを選ぶかを示し、縦軸の0%〜100%の値がそれらのアイドルのSSR実装数の合計が全体の何割になるかを示している。

例えば上の図では横軸30%の点縦軸は20%となっているため、ミリシタのSSR実装枚数下位30%のアイドルのSSR枚数合計が全体のSSR枚数の20%ということである。

 

図は1×1の面積の正方形なので、ジニ係数は0〜1の値をとり、完全平等では0完全不平等では1になる。

 

 

SSR実装枚数を元にしたローレンツ曲線 

図1.ミリシタSSR実装枚数を元にしたローレンツ曲線 

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図2.デレステSSR実装枚数を元にしたローレンツ曲線

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SSRの実装枚数を元にローレンツ曲線を描くと上記の通りとなる。

ミリシタは限定まつりガチャまで、デレステは恒常卯月ガチャまでが反映されている。

 

見て分かる通りデレステの図の方がオレンジと青の線が離れておりその間の面積も大きい

ジニ係数を計算すると

ミリシタ 0.16

デレステ 0.56

となりデレステの方がかなり大きい値となっている。

 

世界のジニ係数

ジニ係数の値だけ見てもピンとこないので世界各国のジニ係数を確認してみる。

 

表1.世界のジニ係数

  ジニ係数
南アフリカ 0.62
中国 0.51
インド 0.50
コスタリカ 0.48
ブラジル 0.47
メキシコ 0.46
チリ 0.45
トルコ 0.40
米国 0.39
ロシア 0.38
リトアニア 0.37
イスラエル 0.36
イギリス 0.36
ラトビア 0.35
ニュージーランド 0.35
スペイン 0.35
ポルトガル 0.34
ギリシャ 0.34
オーストラリア 0.34
日本 0.33
エストニア 0.33
イタリア 0.33
カナダ 0.32
韓国 0.30
フランス 0.30
スイス 0.30
アイルランド 0.30
ポーランド 0.29
ハンガリー 0.29
ドイツ 0.29
オランダ 0.29
スウェーデン 0.28
オーストリア 0.28
ベルギー 0.27
ノルウェー 0.27
フィンランド 0.26
デンマーク 0.26
チェコ 0.26
スロベニア 0.25
スロバキア 0.25
アイスランド 0.25

 

(世界のジニ係数 国別ランキング・推移 - Global Noteより)

 

日本は0.33なのでミリシタより格差が大きくデレステよりは格差が少ないことがわかる。

 

デレステは中国や南アフリカくらいの格差指数である。

ジニ係数が0.4を超えたあたりから社会が不安定になると言われており、実際に南アフリカなどはかなり治安が悪い(中国は管理社会なのでなんとも言えないが)

 

世界平和度指数や殺人の発生率を並べて見ると以下のようになる。

 

表2.世界のジニ係数と殺人発生率・世界平和度指数

  ジニ係数 殺人発生率 世界平和度指数
南アフリカ 0.62 33.970 2.328
中国 0.51 0.620 2.243
インド 0.50 3.220 2.504
コスタリカ 0.48 11.900 1.767
ブラジル 0.47 29.530 2.160
メキシコ 0.46 19.260 2.583
チリ 0.45 3.460 1.649
トルコ 0.40 4.310 2.898
米国 0.39 5.350 2.300
ロシア 0.38 10.820 3.160
リトアニア 0.37 5.250 1.749
イスラエル 0.36 1.360 2.764
イギリス 0.36 1.200 1.876
ラトビア 0.35 3.360 1.689
ニュージーランド 0.35 0.990 1.192
スペイン 0.35 0.630 1.678
ポルトガル 0.34 0.640 1.318
ギリシャ 0.34 0.750 2.020
オーストラリア 0.34 0.940 1.435
日本 0.33 0.280 1.391
エストニア 0.33 3.190 1.732
イタリア 0.33 0.670 1.766
カナダ 0.32 1.680 1.372
韓国 0.30 0.700 1.823
フランス 0.30 1.350 1.909
スイス 0.30 0.540 1.407
アイルランド 0.30 0.800 1.393
ポーランド 0.29 0.670 1.727
ハンガリー 0.29 2.070 1.531
ドイツ 0.29 1.180 1.531
オランダ 0.29 0.550 1.574
スウェーデン 0.28 1.080 1.502
オーストリア 0.28 0.660 1.274
ベルギー 0.27 1.950 1.560
ノルウェー 0.27 0.510 1.519
フィンランド 0.26 1.420 1.506
デンマーク 0.26 0.980 1.353
チェコ 0.26 0.610 1.381
スロベニア 0.25 0.480 1.396
スロバキア 0.25 1.050 1.568
アイスランド 0.25 0.300 1.096

(世界の殺人発生率 国別ランキング・推移 - Global Note,

世界平和度指数ランキング - 世界経済のネタ帳より)

 

ジニ係数と殺人発生率の相関係数は0.715世界平和度指数との相関係数は0.615となり、ある程度相関があることがうかがえる。

 

デレステツイッターなどが荒れやすく治安が悪いのはやはり格差の存在が一因といえよう。

 

参加楽曲数を元にしたジニ係数

図3.ミリオンライブ!アイドル参加楽曲数を元にしたローレンツ曲線

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(参加楽曲数は志賀 on Twitter: "ヒマだったので前に作ったものの続きを作ってみた。
音源が出ている曲の中で瑞希の歌唱楽曲数は765 MILLION ALLSTARS中2位タイで、かなり多いです。
https://t.co/wnMn59VIbt… "
より)

 

図4.シンデレラガールズアイドルの参加楽曲数を元にしたローレンツ曲線

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(楽曲数はアイドルの名前から曲を探す デレマス楽曲DB ふじわらはじめより)

 

SSR実装枚数以上の格差が見て伺える。

ジニ係数

ミリオン 0.14

シンデレラ 0.76

となっている。

 

ミリオンライブは楽曲数が多い割にジニ係数が低く曲の分配がかなり公平なのに対して、シンデレラガールズは0.76という極めて大きな値となっている。南アフリカどころの話ではない。

 

結論

SSR実装数を元にしたジニ係数

ミリシタ 0.16

デレステ 0.56

参加楽曲数を元にしたジニ係数

ミリオン 0.14

シンデレラ 0.76

 

シンデレラガールズ声の差による参加楽曲数の格差が極めて大きな値となっている。加えてSSRの実装数格差に関しても社会が不安定となるとされている0.4を超えており、これらが様々な話題で荒れやすい原因となっていることが分かる。

反対にミリオンライブは765ASとシアター組と別れてはいるものの、楽曲数・SSR実装数という観点から見ると格差はかなり小さくなっている。

 

 

感想

当然ではあるがジニ係数は格差のみを表す指標であり、この大きさだけが社会やコンテンツの良し悪しを決めるわけではない

例えばシャニマスの楽曲数全員全体曲2曲+ユニット曲2曲なのでジニ係数が0ではあるがソロ曲もまだ無く「格差がないからミリオンよりも楽曲的にはいいコンテンツ」などと安直に考える人はいないと思う。

また例えばイルミネーションスターズの3人がソロ曲をもらったとした場合、格差が生まれるためジニ係数は当然上昇する。しかしこれが悪いことだと思う人は少ないだろう。

これはそのまま他のユニットのメンバーもソロ曲をもらえば再びジニ係数が減少するからである。

しかしシンデレラガールズはそのような状態ではない。もともとは全員声もついておらずジニ係数が0だった状態から0.76までジニ係数が上昇しているという点は格差が拡大し続けていることを表している。

 

個人的に声付きPによる声待ちに対してPの努力が足りないなどという趣旨の発言は貧困の自己責任論と同じ思想であり賛同はできない。

 

 トマ・ピケティの21世紀の資本が話題になったのは数年前だがこの本の結論はアイマスにも応用できると思われる。

 

r>g

 

これこそが21世紀の資本の結論であるが、これの意味するところはr=資本家の不労所得はg=経済成長率すなわち労働者の所得増加より大きい、つまり労働者がいくら働いて稼ごうとも資本家が不労所得で稼ぐ金額の方が大きく格差は拡大し続けるということである。

 

これは声付きと声待ちのアイドルにも応用できると考え、つまり声付きアイドルのデレステイベントや楽曲などによるプロデューサー・ファンの増加が声待ちアイドルの総選挙でのダイマやイベントでのプロデューサー・ファンの増加よりも多ければ担当Pがいくら努力しても格差は広がり続けるということである。

 

そのような状況で担当Pの努力が足りないなどということはナンセンスである。

 

これらの解決のためには貧困に対する社会保障のように「声待ちアイドルのためのイベント」のようなものが必要であると考える。

声優ライブが声付きアイドルしか出られないイベントである以上、同じぐらいまたはそれ以上に人々を引き込むような声待ちアイドルのためのイベントがない限り格差の拡大は避けられないと考えた。

21世紀の資本

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