トランプ大統領は、中国からの輸出品に対し、さらなる追加関税を課する方針とのことである。米中貿易戦争はなかなか終わりそうもない。識者の中には、この米中貿易戦争はトランプ大統領の中間選挙に向けたパフォーマンスという見方があるがこれは正しくはないと思われる(先日も、ニュースをわかりやすく解説することで評判の某ジャーナリストが司会をつとめるテレビ番組で、同様のコメントがなされていた)。
現在、与党の共和党だけではなく、野党の民主党においても、「中国封じ込め政策」は同意を得ているとの指摘もあり、もし、その指摘が正しければ、中間選挙の結果にかかわらず、米国の中国に対する強硬姿勢は変らないどころか、中国が妥協(資本や市場を開放するとともに、パテント料などもきちんと支払う)しない限り、ますます強まるのではないかと考える。
ところで、今回の「米中貿易戦争」だが、その趨勢を考える際に、リベラル偏重の傾向が強いメディアからの情報だけに頼ると判断を誤るリスクが高いのではないか。リベラル層は、トランプ大統領の存在を否定するところから議論を始めるので、「米中貿易戦争」についての議論も自然とトランプ大統領が主導する「悪政」のような内容になってしまう。
例えば、ノーベル経済学賞を受賞したこともある米国を代表する経済学者のポール・クルーグマン氏は、リベラル紙のコラムで「トランプ大統領の政策で米国経済はとんでもない事態に陥る」と毎回のように訴えているが、現実の米国経済は回復基調を強めている。色々な予言を的中させてきたクルーグマン氏だが、トランプ政権下の米国経済に関する氏の意見を鵜呑みにしていたら、米国経済の回復についていけなかっただろう。
とはいえ、トランプ大統領を支持する層もあまりに無条件にトランプ大統領を礼賛する傾向が強いことから、トランプ支持の保守の論客の話は信用するにはあまりに「胡散臭い」と思われる読者の方も多いだろう(この辺は不思議と日本における安倍首相の政策姿勢に関する議論に似ている)。
そこで、注目する価値のあるのが株価動向である。株式投資は、その損得(投資パフォーマンス)で勝敗がはっきりする。唱えるお題目がどんなに立派でも損すれば「負け」である。さらにいえば、特定のイデオロギーに拘泥すると「大ヤラレ」する。
例えば、トランプ大統領のことが大嫌いな著名投資家であるジョージ・ソロス氏が、トランプ大統領当選直後に米国株を大量に売り浴びせて大損したのは記憶に新しい(ただし、他の投資でかなりの利益を上げていたとの話もあるのでトータルではそれほどのダメージを受けていなかったとの話もある)。