家事はタスク管理がまず大変で、それからひとつひとつのタスクが意外と難しいのだ、ということはわかってもらえたと思う。会社でも実務は何もしない部長の給料が、平社員より高い。
タスク管理というのは馬鹿にしてはいけない仕事なのだ。平社員がどんなに頑張ったところで、所詮は平社員分の仕事しかできない。
奥さんは旦那さんがそのレベルに来てくれないかなぁと漠然と思っている。実は、ここに書いてきたようなことを自ら理解できている奥さんはほとんどいない。むしろ、自分がやっていることはすぐにできるほど簡単では全然ないことはわかっているものの、旦那さんにもちゃんとやればできるはずなのに、と思っている。
「子育てが大変だ」という話を旦那さんにしている奥さんは、必死で全体像を説明している。
「あれが大変だ」「これが大変だ」「それも大変だ」ではない。「あれもこれもそれもあって、全部いっぺんに来るから大変だ」なのだ。これを理解してもらえれば、後は簡単なのだ。
一個一個のタスクを共有していって、一緒に考えてもらうことができる。その希望を胸に、奥さんは旦那さんに一生懸命説明するのだ。「あれしなきゃと思いながらそれやってたら子供がこうなってあれでそれでこうなってどうこうで仕事が増えてようやくあれに行こうとしたら今度はそれが子供のどうのこうの」
旦那さんはわからない。話が長い。いったいこれは何の話なのだ。結局どれの話なのだ。どれも簡単な仕事ばかりに見えるのにこいつは何をこんなに訴えているのだ。そうか、つまりこんなに大変だから何かやれって言っているのか。しょうがない。仕事で忙しい俺がイクメンになって、家事をひとつふたつちょちょいと片付けて負担を減らしてやろう。
「で、俺に何を欲しいの?」
この質問はあくまで、平社員が、お前がやってることなんて誰にでもできるんだから俺にも仕事振れよって言ってるだけであることはどこからどう見ても明白なのだ。そこには奥さんの説明に対する理解はおろか、奥さんのやっていることへの敬意も感謝もまったくないことがありありとわかってしまうのだ。
だから「一番つらい」のだ。
奥さんに感謝されるレベルの家事とは、つまりこのタスク管理までできるようになるということなのだ。ひとつひとつの家事ができるのは当然。タスクの途中で相手にパスするとか、いつでも代われるように待機するとか、いまあっちがこれやってるからその間にこれをやっておこうとか判断できる。子供がぐずったら、いまどっちが子供に行くべきなのかアイコンタクトもせずに意思疎通できるようになる。仕事から帰って、部屋の状態を見ただけで今日子供の機嫌がよかったのか悪かったのか、絵本の散らばり具合でわかるようになる。
このレベルになってはじめて奥さんから本当の意味での感謝と尊敬を得ることができるのだ。このひとと子育てすることができて本当によかった、と。
逆に、そのとき旦那さんはこう思っているかもしれない。
「こんなに大変なことをひとりでやってくれていたのか。本当にありがとう。」
「おれはイクメンだろ?」「結局何にもわかってないわ…」
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