出典元:TVアニメ『宝石の国』公式サイト
3半 フォス | (宝石の国) 28キャラを宝石屋が全力で解説する
「フォスフォフィライト」なんとも読みにくい名前ですが、宝石の国の主人公、フォスの正式名称がコチラ。あなたはこの名前をスラスラ言えましたか?
ミントグリーンの髪の色が美しいフォスは、口と度胸だけは一人前なのに、実際は役立たずという情けないキャラクター。宝石の国の28個のキャラクターの中では最年少の300歳です。
このフォス、実際の鉱物としてはどうなのでしょうか?
「不器用で意地っ張りな性格」というアニメ宝石の国の設定と、実際の石の関連性について調べてみました。
フォスの特徴とは
フォスフォフィライトの和名は燐葉石といいます。鉱物としてはとても貴重なレアストーン。透明なグリーンの美しい石ですが、宝石としてお店などでこの石を見ることはまず無いでしょう。
宝石の国のアニメの中でも、このフォスは度々戦いを挑みつつ、何度も体をバラバラにされてルチルに修復してもらっています。実際の鉱物としてのフォスフォフィライトもとても脆く、日常身につける宝石としては難しい石。
何と言ってもこのフォスフォフィライトの硬度は3半しかありません。硬さを比較する尺度「モース硬度」では、一番柔らかい硬さは2から2半。宝石なら琥珀やパールです。2の硬度がちょうど人間の爪の硬さですから、どれぐらいの硬さか想像つきますよね。
フォスフォフィライトは傷つきやすい
フォスフォフィライトの硬度は3半ですから、それほど丈夫な石ではありません。この硬度はちょうどサンゴと同じくらいです。もっとわかりやすく例えると10円玉と同じ硬さ。フォスは10円玉で触っただけで傷つきます。
宝石の国のフォスの特徴は?と聞かれたら「かなり脆い」ことでしょう。フォスが宝石の国の中でも一番弱いキャラクターとして描かれているのは、実際の石がかなり傷つきやすい石だからかも知れません。
フォスはダイヤモンドよりも貴重?
宝石の国の中で、フォスが尊敬して崇拝しているのがダイヤモンドです。金剛先生のNo.2の存在のダイヤモンドに、月人に襲われたところをフォスは度々助けられていますよね。
硬度10のダイヤモンドは実際の宝石としても最強です。値段も宝石の中では一番高価な石ですよね。しかしこのフォスフォフィライト、希少性でいえばダイヤモンドを上回る価値があります。
プロでも実物を見た人は少ないかも
何と言ってもこのフォスフォフィライトは、現在ではほとんど産出されていません。
カットに値するフォスフォフィライトの産出国として有名のは、南米の国、ボリビアです。マチュピチュの遺跡やウユニ湖(テレビ「世界の果てまで行ってQ!」で有名になりましたよね)のあるボリビアのセロ・リコ鉱山から産出されていましたが、1950年代末で採掘が終わってしまいました。
フォスフォフィライトの値段は
原石も希少、そして宝石にもカットしにくいフォスフォフィライト。宝石のプロでもカットされたフォスフォフィライトを実際にみた人は少ないはず。もしあれば、ダイヤモンドよりも貴重でしょう。レア中のレアの鉱物です。
1説によれば、10カラットの透明度の高いフォスフォフィライトは、値段もつかないほど希少性が高いとか。(しかし原石として研磨されていないフォスフォフィライトなら5cmくらいの大きさで16万2000円でネットで販売されていました。)
フォスは徐々に成長して行く
宝石の国のフォスは最初は弱く取り柄のないみそっかすでしたが、ルチルに修復してもらうたびに強く才能を開花して行きます。これは原石のフォスフォフィライトが宝石としてカットされるととんでもなく高価になるのと似ていますね。
宝石の国の中で、「インクルージョンの性質として、別の鉱物とでも共生がしやすい」という設定になっていますが、これはまさにフォスに当てはまる言葉でしょう。ルチルに手足を別の鉱物をくっつけて(共生)もらうたびにフォスは強力なパワーを身につけ、成長して行きました。
最後に
実際の鉱物で「別の鉱物とでも共生がしやすい」とは、例えばアメジストとトルマリンの混合石「アメトリン」のような鉱物を指すのでしょうか。
燐葉石と似た鉱物で燐灰石という鉱物があります。宝石の国のなかで、もしかしたらフォスと共生するキャラクターとして燐灰石が登場するかも知れませんね。
まだまだ目が離せない展開の宝石の国。月の世界を知ったフォスは最初のキャラクターとはどんどんかけ離れ、みんなのボス的存在になりつつあります。これから一体どうなるのか?フォスの成長が楽しみですね!
リカラット編集部 監修