民主、自民、公明3党は15日夜、社会保障と税の一体改革関連法案をめぐる修正で合意した。自公両党は同法案に賛成する方向で、現行5%の消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる法案は成立に向けて大きく前進する。野田佳彦首相は20日にも自公両党との党首会談を検討。今国会の会期末の21日までに衆院で採決したい考え。政府・与党は参院審議をにらみ8月までを軸に会期を延長する方針を固めた。
民自公3党の実務者は15日、税制、社会保障の修正協議をそれぞれ断続的に開き、夜に社会保障、税制の両分野で合意文書を交わした。
税制分野は消費増税の際に「名目3%、実質2%」の経済成長率を目標とする景気条項を法案の付則に残す方針で一致。所得・相続増税は年末の来年度税制改正論議に結論を先送りした。消費増税時の低所得者対策では、税率を8%に引き上げる条件に現金給付の実施を明記したほか、公明党の主張に配慮して軽減税率の余地も残した。
社会保障分野では民主党マニフェスト(政権公約)の主要政策である「最低保障年金の創設」「後期高齢者医療制度の廃止」の扱いについて、両政策の「撤回」方針を明示せず、新設する「社会保障制度改革国民会議」に検討を事実上棚上げする。
公明党は法案提出を定めた閣議決定の取り下げなど「撤回」を求めてきた。しかし、15日夜の3党合意の際、年金・高齢者医療制度改革について「あらかじめ内容などについて3党間で合意に向けて協議する」と明記した確認文書を交わして折り合った。3党は国民会議の設置などを盛った「社会保障制度改革推進法案」を国会に共同提出する方針だ。
このほかパートへの厚生年金の適用拡大について、対象者を民主党が主張していた45万人から25万人に圧縮することで合意。基礎年金の国庫負担割合を50%に維持する財源の「年金交付国債」の発行を取り下げることも盛り込んだ。
3党実務者による正式合意を受け、民主党執行部は18日に開く会合で党内了承の手続きに入る。首相がメキシコで開く20カ国・地域(G20)首脳会合から帰国する20日にも3党党首会談の開催を検討する。
自民党の谷垣禎一総裁は15日夜、党首会談について都内で記者団に「(修正協議が)まとまればそういうことがあると思う。決められない政治をどう動かすかを話す」と語った。
一方、民主党内では小沢一郎元代表ら増税反対派の間に最低保障年金などの棚上げにも反発する声が上がっている。反対派の動きが強まれば党内が緊迫し、調整作業が難航する可能性もある。
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