2018年前半に浮き上がった事例で見逃せないのが「Coinhive」で逮捕者が出た事件と「Wizard Bible」削除の事件だ。どちらも件もいわゆる「ウイルス法」が関係している。Webセキュリティの第一人者である徳丸浩氏に、これらの事件について語ってもらった。2回にわけて掲載する。
逮捕者も出てしまった「Coinhive」とは
逮捕者も出てしまったCoinhive(コインヘイブ)というのは、どのようなツールなのでしょうか。
徳丸 Coinhive(図1)は簡単にいいますと、暗号通貨のマイニングをするJavaScriptのプログラムですね。登場人物が三人います。まず最初はCoinhiveを提供している会社。次にその仕掛けをWebサイトに置くサイトの管理者(サイトオーナー)の方、最後にサイトを閲覧する方。閲覧した人のパソコンの上でJavaScriptのプログラムが動きます。どのようなプログラムかというと、それを掲載しているWebサイトを見た人のパソコンやスマートフォンの上で仮想通貨を採掘する、というものです。
Webサイトに滞在していた時間、金額にすると、0.0001円といった非常に小さな金額なんですが、塵も積もればで、ある程度まとまった金額になりますね。それをサイト運営者とCoinhiveの提供元で7割3割で分けるというビジネスモデルです。
Coinhive自体は不正ではない?
一部のウイルス対策ソフトベンダーが警告を出していますね。
徳丸 トレンドマイクロなどはこういうものがあるから気をつけろ、というアナウンスをしていて、ウイルスバスターはこれをウイルスとして検知するという話をしています。
ただし、ここに来て、ネットで騒ぎが起きると、ウイルスとしてチェックはするけれども、あれは不正ソフトではないと考えているという声明を出していますね。どういう言い訳をするのかなと思っていたら、Coinhiveというのはサイト運営者が自ら設置するもので、分け前も半分以上は運営者に入るモデルである、と。
そこで、それとは別に不正アクセスでそういうプログラムを設置して、インターネットのサーバー上でマイニングをする、そういう不正アクセスとか、サーバー上ではなくて、仕組みとしてはCoinhiveとまったく同じ仕組み、あるいはCoinhiveそのものかもしれませんが、利用者のブラウザー上でマイニングをする仕組みを置いて、分け前は不正アクセスをした人がもらうというケースがある。つまり、不正アクセスの結果、Coinhiveが置かれるケースがあるので、注意喚起のために検知をしているんだと、そういう言い分です。その言い分を聞いて、怒っている人もいるわけです。
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