2018年6月8日、ドイツ・シュトゥットガルト、ツッフェンハウゼンにあるポルシェミュージアムで、ポルシェのスポーツカー誕生 70 周年を記念したイベントが盛大に行われた。1948 年6月8日に初めて“ポルシェ”の名を冠したスポーツカー「356“No.1”ロードスター」が登録されてからちょうど70年の歳月が流れたというわけだ。
このタイミングに合わせ、日本からドイツ・シュトゥットガルトの本社まで、自身が所有する1953年式 356(通称プリA)で、のべ53日間で8カ国をまたぎ、1万5463kmを走破した日本人がいる。ポルシェ本社公認の356オーナーズクラブ「ポルシェ 356 クラブ・オブ・ジャパン」の会長である鈴木利行さんだ。
偶然にもそのゴールの場に居合わせることができたのだが、ゴール地点のポルシェミュージアム前にはいつの間にか大きな人だかりができていた。まるでハリウッドスターでもやってきたかのような、現地の人たちの鈴木さんへの熱狂的な歓待ぶりにとにかく驚いた。
なぜこんな挑戦をしてみようと思ったのか、なぜそれほどまでにポルシェに魅せられたのか、ご本人に話を聞いてみた。
乗り継いだポルシェは21台
大変な偉業ですね。鈴木さんが初めてポルシェに乗られたのはいつのことですか?
鈴木さん(以下敬称略):22歳のときだから、約38年前かな。
20代でいきなりポルシェ。
鈴木:それまでクルマにはまったく興味なかったのよ。356を持っていた知人の助手席に乗って山道を下って家の方面まで送ってもらったことがあって。じゃあここでってクルマを降りて走り去っていくのを見て、「あれは一体なんだっ!」て。もう完璧に虜になった。
それでは、最初から356に?
鈴木:いや、さすがに356は高くて。でもその2週間後には911を買ってた。67年式の2リッターのS。中古車で160万円くらいで、もちろん安くはないけど、当時はまだ無理をすれば買えたんだよね。
そこからポルシェ歴が始まって、何台乗り継いでこられたんですか?
鈴木:このあいだ嫁さんがマカンを買って、その時に数えてみたらこれまで我が家に嫁いできたポルシェは21台だった。
ニ、ニジュウイチ台ですか……。この356はいつから?
鈴木:この356を手に入れたのは15年前くらい。かなり傷んでいて自分でレストアした。レストアが趣味なんですよ。板金塗装とかエンジンのオーバーホール以外は全部、自分でやってしまうんです。
でも、なぜドイツまで走ろうと思われたんですか?
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