「動物といっしょに暮らしたい」と決めたときに、みなさんはどこで入手しようと考えるだろうか? 猫は保護するケースも多いが、犬の場合は、圧倒的にペットショップやブリーダーでの購入が多い。また、動物愛護団体からの入手は、下記を見てもまだまだ少ない。
また、犬の飼育者の68.2%、猫の飼育者の63.2%は、動物愛護団体などの保護施設の存在を知らず、犬の飼育者のうち22.3%、猫の飼育者27.9%は動物愛護団体などの保護施設の存在は知ってはいたけれど、入手の検討はしなかったと答えている。最近、“保護犬・猫”を取り上げるメディアは増えてきているが、現実としては、犬猫と暮らすときに選択肢として多くの人が考えるのは“ペットショップ”なのだ。
過去にペットショップの接客をリサーチしたことがあった。すべてのペットショップが同様ではなかったが、もっとも代表的なケースをご紹介しよう。
場所は、東京都23区内の繁華街にある某人気のペットショップ。繁盛店で、店に入ると、壁際にショーケース、店内中央のサークルとかなりの数の子犬・子猫が並んでいた。サークルの中で飛び跳ねている大きめの子犬と目が合った。ポメラニアンとプードルのミックスで、売れ残ってしまい少し大きくなり、値札には7万円と書かれていた。
即座に店員が近づいていて「抱っこしますか?」と聞かれた。これは、ペットショップ業界では、“抱っこ商法”と呼ばれ、多くの店が活用している売り方だ。ペットと暮らしたいと思っている人が、目が合って抱っこをしたら、そこに“縁”を感じてしまう。だから、犬種の特性や飼育法などの説明よりも前に、まずは抱っこをさせて、“運命の出会い”を体感させてしまうのだ。
友森「かわいいですね。何ヵ月ぐらいですか?」
店員「ほかの子は2ヵ月弱ぐらいですけど、この子はちょっと大きくて5ヵ月ちょっとですね」
友森「仕事が忙しくて毎晩11時ぐらいに帰宅するから、犬を飼うのは難しくて……」
店員「そんなこと問題ないですよ、子犬はほとんど寝ているので、お仕事でいらっしゃらなくても大丈夫なんですよ」
友森「でも、子犬は何回もゴハンを食べるでしょ? 不在だとできないし……」
店員「3食はあげていただきたいですが、朝起きてあげて、お仕事から帰ったらあげて、寝る前にあげれば、3食ですから。それで全然平気です」
友森「……、そんな3食でも問題はないんですね。でも、散歩に行く時間もないし」
店員「お散歩は、むしろ小型犬は体力がないのであまりしないでください。お休みの日に家の周りをぐるっと一周まわるだけで、十分なんですよ」
子犬の飼育法としてはありえない情報を次々と告げられ唖然とするばかりだった。小型犬でも適度な運動は必要であり、