「『週刊少年ジャンプ』は、ジャンプという雑誌自体をブランド化している。1つのサイト内で他誌と横並びにするようなことをジャンプ編集部はやらない」(赤松さん)
赤松さんはこうした現状を踏まえ、まだ出版社が取り扱いを続ける「現行作品」と、出版契約が切れた「絶版作品」に分けて対策を練る。絶版作品はマンガ図書館Zで収集を続け、広告収入を作家たちに還元していく。
現行作品は、主要な電子書籍ストアの販売物を自動でクロールし、サイト・アプリ横断の「公式リンクサイト」として更新したい考え。“合法”無料漫画のリンクサイト「漫画ビレッジ」のようなイメージだ。
津田さんに「ちなみに横断プラットフォームが実現できた場合、価格設定はどう考えているか」と問われると、赤松さんはしばらく思案した後、「月額の定額制の場合、4桁だったら私は入らない。kindle Unlimitedは月額980円。もし500円を切れれば国民的な動きになるだろう」と回答。「その価格は安すぎるのでは?」と、登壇者らが驚く一幕があった。
「まずは無料でいろんな作品を読んでもらい、現行作品にはお金を払ってもらえるようにしたい。絶版作品と現行作品は分けて考えている」(赤松さん)
続いて、マンガ図書館Zと実業之日本社が8月1日に始めた実証実験の途中経過を発表した。
マンガ図書館Z(運営はJコミックテラス)と実業之日本社は、8月1日に“海賊版サイト対抗”の実証実験を始めた。
実業之日本社で過去に発行した作品のうち、現在販売していないものをマンガ図書館Zで配信し、収益化を図るというもの。zipファイルの投稿は作家以外の第三者からも受け付ける。権利者、提供者、出版社が収益の一部をインセンティブとして受け取れる仕組みだ。
1カ月間で、計92冊の漫画と文芸作品が投稿されたという。投稿者はインセンティブの他、作家からサイン入りの感謝状をもらえる可能性がある。赤松さんは「サイン入り感謝状を贈れるのはうちならでは。漫画村に投稿するのとはわけが違う」と自信を見せる。
赤松さんは「今のままでは(実証実験の対象である)全9000冊は集まらないだろうが、誰かが大もうけして話題になれば、同じようにもうけたい人が集まって投稿数も増える。いつかその瞬間が訪れると信じている」とし、「今のままでは海賊版サイトには勝てないが、追い付きたい」と意気込みを語った。
本イベントは、ニコニコ生放送の「ゲンロンカフェ完全中継チャンネル」にて、9月14日まで有料で視聴可能です。
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リコージャパンが開発するAIツール。AIチャットbotを活用した「リモートワーク申請」「電話伝言メモ」などより身近なところから始められる土壌が整ってきている。