「政府が海賊版サイト対策に本気なのは頼もしいが、ブロッキングという手法には不安が残る」──「ラブひな」「魔法先生ネギま!」などの作品で知られる漫画家の赤松健さんは、こう話す。
9月7日、ゲンロンカフェ(東京都品川区)で「合法的漫画村のつくりかた」と題するイベントが開催。赤松さん、メディアアクティビストの津田大介さん、批評家のさやわかさんが登壇し、漫画の海賊版サイト対策について語った。
内閣府の知的財産戦略本部が行う海賊版サイト対策検討会では、ISPが海賊版サイトのアクセスを遮断する「ブロッキング」の法制化の是非をめぐり、議論が続いている。
赤松さんは「海賊版サイトにされるがままになるのは怖いので、出版社がブロッキングという『魔法の剣』を欲しがるのは当たり前。そこは同情している」と理解を示すが、漫画家として「表現の自由」を脅かす可能性があるブロッキングには慎重な姿勢を見せる。
「一時期、電車に乗るとみんな漫画村で漫画を読んでいた。こんなに漫画を読む層がいるのだから、単にブロッキングで海賊版サイトをつぶして終わらせるのではなく、うまく取り込むなりして適切にマネタイズする方法を考えないといけない」(赤松さん)
イベントでは、海賊版サイトの現状や、ブロッキング以外の海賊版サイト対策、赤松さんが運営に携わる絶版漫画の無料配信サイト「マンガ図書館Z」と出版社が進めている実証実験の成果を発表。“前向きな”海賊版サイト対策について自案を述べた。
赤松さんは「海賊版サイトをつぶすには、まずは海賊版を知ること」と強調し、「明るいインターネットの世界ばかりにいると海賊版サイトとは戦えない」と指摘した。
赤松さんは海賊版サイトの現状を説明する。
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